Turtle Rock新作『Evolve』のDLC展開に批判の声 キャラ8体を個別販売

2K Gamesは先週、『Evolve』のシーズンパスやデジタルデラックス版の詳細を明らかにした。本作は4vs1の非対称対戦を特徴としたタイトルで、日本でも3月5日に発売予定となっている。シーズンパスやデジタルデラックス版に掲載された情報より、同作に大量のダウンロードコンテンツが存在することが判明し、海外ユーザーを中心に批判の声があがっている。現時点では、操作キャラクターであるハンターとモンスターがそれぞれ6人と2体、ローンチ後に個別で販売される模様だ。

 


現実となったDLC展開

 

「ハンティングのシーズンが来る!(Hunting Season is coming!)」
「ハンティングのシーズンが来る!(Hunting Season is coming!)」

発表されたシーズンパス「Evolve Hunting Season Pass」は、3種類のモンスタースキンと、4種類の既存クラスに追加される4人のハンターを収録する内容だ。通常別個に購入すると30ドルが必要となるが、シーズンパスであれば24.99ドルを支払うことで済む。ゲームのローンチ後、各ハンターはそれぞれ7.49ドルにて販売される。

これにくわえ、デジタルデラックス版となる”Evolve PC Monster Race Edition“などが発表された。このエディションは価格99.99ドルだが、131.88ドル分のコンテンツが収録されている。シーズンパスにくわえ、第4弾および第5弾モンスター、さらに第5弾と第6弾のハンター、4種類のモンスタースキンが収録される。モンスターの価格は、一体14.99ドルである。

今回の発表にて露見したプラン。それは、『Evolve』が2体のモンスターと6人のハンターをDLCとしてローンチ後に販売するというものだった。個別に購入する場合、総額74.92ドルを支払う必要がある。ゲーム本体よりも高いのだ。ピーター・モリニューがかつて語ったように、今回の発表は『Evolve』を真に楽しみたいのなら、シーズンパスかデラックス版を買えと迫っているのと同じである。Turtle Rock Studiosが過去に生みだした『Left 4 Dead』とは、明らかに異なるコンテンツ展開である。

思い起こせば、昨年7月にスタジオの設立メンバーChris Ashton氏は、このDLC展開を示唆していた。海外メディアOfficial Xbox Magazineのインタビューにて、Ashton氏は『Evolve』がモジュール型の構造となっており、多用なDLC展開が可能であると伝えていた。示唆していた内容は現実となり、ファンらは今回の発表に対し、「コンテンツの切り離しだ」とフォーラムなどで不満の声をあげている。

 


マップは無料だが

1つ記載しなければフェアでないことがある。『Evolve』が対戦マップをDLCとして販売する気はないということだ。MicrosoftのPhil Spencer氏は昨年11月、Turtle Rockはプレイヤーの分断に関して留意しており、『Evolve』で対戦マップを有料販売しないと発表した。『Evolve』において、購入者しか参加できない有料マップは永遠に存在しない。とはいえ、誰も8人分の操作キャラクターがDLCとして販売されるとは予期していなかっただろう。『Left 4 Dead』でTankやSpitterなどの特殊感染者が有料になるのと同じようなことだ。

『Evolve』がCo-opゲームならば問題はなかったが、同作は対戦型のマルチプレイヤーゲームである。格闘ゲームなどの”試しプレイ”が許されない構造であり、有料キャラクターの攻撃タイミングやスキルの特色をプレイして掴むには、購入しなければならない。ゲームイベントで実況者を立て、e-Sportsのごとく対戦を盛り上げていた『Evolve』が目指す境地からは、遠ざかる展開のように筆者は思う。F2Pタイトルであるとはいえ、スキンや武器のみに課金を限定している『Team Fortress 2』や、ゲーム内ポイントでチャンピオンを購入でき、購入していないチャンピオンも週替りで触れることができる『League of Legends』など、学ぶべき先輩は多かったはずだ。

多くのファンの批判に対し、設立メンバーのPhil Robb氏はフォーラム上で反論している。まず現時点で、シーズンパスなどに記載されているDLCは完成しておらず、コンテンツを無為に切り離しているわけではないと説明した。もしハンターやモンスターがすでに完成しているのなら、ローンチ時の『Evolve』に収録していると伝えている。またモンスターやハンターの開発には多額の開発費が必要であり、それをまかなうためDLCを有料販売するともした。DLCのキャラクターが突出した強い存在になることもないという。一方でRobb氏は、Turtle Rockは結局のところゲームを開発するデベロッパーでしかなく、ゲームの販売方法についてはパブリッシャーの決断を信頼しなければならないと、含みのある発言を残している。いまは亡きからTHQからIPを買収し、新規作品へと果敢に挑むTake-Twoを賞賛したいのはやまやまだが、今回のDLC展開は作品の寿命を縮めることにほかならないのではないだろうか。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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