宇宙MMO『EVE Online』開発元、新作のゲーム内経済責任者に「経済の専門家」を任命。本気の“金融政策”
『EVE Frontier』についてCCP Games は3月6日、元エコノミストのStefán Þórarinsson氏を「経済責任者」に迎え入れたと発表。ゲーム内の“金融政策”を手がけるかたちだ。

CCP Gamesが手がける『EVE Frontier』は現在PC向けにファウンダーアクセスと呼ばれる早期アクセス配信中だ。そんな本作の開発に関して、CCP Games は3月6日、アイスランド中央銀行でエコノミストを務めた経験のあるStefán Þórarinsson氏を「経済責任者」に迎え入れたという。
『EVE Frontier』はオンライン宇宙サバイバルゲームだ。対応プラットフォームはPC。舞台となるのは巨大ブラックホールによって歪んだ領域「フロンティア」だ。プレイヤーは「人類最後の遺物」としてカプセルから目覚め、衰退した文明を再建していくこととなる。開発を手がけるCCP Gamesは、人気宇宙MMO『EVE Online』の開発元としても知られている。
そして本作の特徴の一つとしては、コミュニティ主導のダイナミックな経済システムが挙げられる。プレイヤーによって生産された船、装備、そしてありとあらゆるアイテムが売買される。取引においては税率やブローカー料など、細かく税制が定められている点も特徴だ。前作『EVE Online』でもこのシステムが採用されており、その規模の大きさと重要度は、公式ホームページで「月例経済レポート」が報告されるほどだ。
『EVE Frontier』でもその方針を受け継いだうえで、新たにブロックチェーン技術を用いている。本作にてプレイヤーはゲーム内で各個人のマーケットや通貨を作り上げることができる。これをサポートするために、CCP Gamesは実際の暗号通貨の規格「ERC-20」に則った2種類の通貨を採用。CCP Gamesによれば、2種の通貨は、実用的なツールを制作した人への支援やゲーム外での通貨の取引、ゲーム内でのユーザー独自通貨の作成の流れを促すものとして位置づけているとのこと。ゲーム内のシステムのリニューアルだけでなく、ゲーム外にも開かれた金融システムの構築を目指しているようだ。

そんなCCP Gamesは3月6日、Stefán Þórarinsson氏を経済責任者(Head of Economy)に新たに任命したことを公式サイトで明らかにした。Þórarinsson氏はアイスランド中央銀行でエコノミストを務めていた経験があり、マクロ経済の分析、金融政策、市場力学に通じる経済のスペシャリストだという。また『EVE Frontier』の開発を続けていくにあたってÞórarinsson氏は、『EVE Online』で主任エコノミストを務めていたEyjólfur Guðmundsson氏の研究を引き継ぐとのこと。Guðmundsson氏の築いた経済モデルと金融政策を引き継ぐかたちで、『EVE Frontier』の経済/金融をシミュレーションし、構築していくそうだ。
なおCCP GamesのCEO、Hilmar Veigar Pétursson氏は今回の発表に際して、Þórarinsson氏の就任により、仮想世界における「真に開かれた金融システム」を構築するというCCP Gamesの目標を前進させるものだと、前向きな見解を示した。また『EVE Frontier』は「バーチャルな国づくり」を再定義する作品として、ゲーム内だけでなく、現実世界における経済にさらなる洞察をもたらすとしている。
今回経済の専門家を迎え、より“金融政策”を前進させると表明したCCP Games。『EVE Online』から注目されていた経済システムは、『EVE Frontier』によってゲーム外まで波及する、存在感の大きなシステムとして進化していくようだ。現在『EVE Frontier』は早期アクセス配信にあたるファウンダーアクセス期間であり、これからの本作の動向については、引き続き注目が寄せられるところだろう。
『EVE Frontier』はPC向けにファウンダーアクセスとして提供されている。
【UPDATE 2025/3/8 9:42】
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