「スマホ新法」を受けた日本のiOSの変更について、Epic GamesのボスがAppleを猛批判。「米国では違法」として、公正取引委員会に苦情申し立てへ
「スマホソフトウェア競争促進法」の施行を受けた日本でのiOSの変更について、Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏はAppleを批判している。

Appleは12月18日、先日配信開始したiOS 26.2における、日本での変更点について説明した。これは、本日施行された「スマホソフトウェア競争促進法」いわゆるスマホ新法を遵守するための対応が、iOS 26.2より導入されたことが背景にある。
一方で今回のAppleの発表の内容に対しては、Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏が批判しており、公正取引委員会への苦情申し立ても辞さないという。

スマホ新法、正式には「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」は、昨年6月に国会で可決・成立し、本日12月18日より施行された。スマートフォンの利用に特に必要なソフトウェアだとされるモバイルOS・アプリストア・Webブラウザ・検索エンジンについて、セキュリティの確保などを図りつつ、公正で自由な競争を促進するための法律である。
その施行を受けて、日本向けのiOS 26.2からは、代替アプリマーケットプレイスでのアプリの配信や、Appleのアプリ内購入以外によるデジタル商品やサービスのアプリ決済処理など、開発者向けに新たな選択肢が提供される。つまりユーザーにおいても、たとえばApp Store以外のストアにてアプリを入手するような選択肢が生まれる。
今回のAppleの発表は、そうした変更点についてアプリ開発者向けに説明する内容となっている。またこの変更に伴って、日本でのiOSアプリ向け取引条件が更新。デジタル商品とサービスの売上に基づき、開発者がAppleに支払う手数料の仕組みが一部変更される。多くの場合は手数料が減額されるが、後述するようにApp Store以外での取引に新たな手数料が導入される。
上述した手数料にまつわる取引条件の更新などについては、Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏がAppleを厳しく批判している。そもそもスマホ新法が生まれた背景には、欧州などで先行して制定されたプラットフォーム事業者を対象とする規制法の存在があるとされ、そうした法律制定のきっかけのひとつには、Epic GamesによるAppleやGoogleを相手取った訴訟があった。
Epic Gamesは2020年、モバイル版『フォートナイト』に、AppleやGoogleが提供するものに加えるかたちで独自の決済手段を実装するも、規約違反行為であるとして同作は各アプリストアから削除。これを受けてEpic Gamesは、AppleとGoogleを反トラスト法(独占禁止法)違反などで訴えた。その結果、両社は独占企業とは認められなかったが、メーカーへの反競争的な規制を撤廃するよう命令が下り、米国では『フォートナイト』の配信が再開されるに至っている(関連記事)。
Epic Gamesはスマホ新法の施行を睨み、2025年内に日本でモバイル版Epic Gamesストアの提供を開始し、『フォートナイト』などを配信するとしていた。ただ今回Tim Sweeney氏は、Appleによる妨害と違法行為によって年内の配信ができなくなったと案内した。なお、先日開催されたイベント「Unreal Fest Tokyo 2025」にて同氏は、2026年初頭に提供開始すると述べている(以下の映像の7分20秒辺りから)。
Sweeney氏は、今回Appleが(Epic Gamesストアのような)App Store以外のストアでの決済取引の21%を徴収し、またアプリ外決済には15%の手数料を課すとしたことなどについて、Junk fee(不当な請求)であると批判。さらに、そうした外部決済の利用時に表示される警告画面の内容が反競争的だとし、これらはいずれも米国での裁判にてすでに違法と認定された行為だと指摘した。
同氏は、Appleが公正な取引を妨害する限り真の競争は起こらず、消費者も利益を得られないとコメント。そして、日本の公正取引委員会に対して苦情を申し立てる予定だとした。米国で違法と認定されたとしても日本では効力がないため、公正取引委員会に対応を求めるということだろう。今後の動向によっては、モバイル版Epic Gamesストアの提供時期にも影響するかもしれない。
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