不条理夢世界探検ゲーム『ENA: Dream BBQ』、Steamで無料配信開始。レビュー9000件超・好評率99%
ENA Teamは3月27日、アドベンチャーゲーム『ENA: Dream BBQ』チャプター1「Lonely Door」をリリースした。本作はリリース直後から9000件を超えるSteamユーザーレビューを獲得、「圧倒的に好評」の評価を獲得している。

ENA Teamは3月27日、アドベンチャーゲーム『ENA: Dream BBQ』チャプター1「Lonely Door」をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は無料。また、特典コンテンツが収録されたサポーター向けエディション「Supporter Edition Upgrade」も税込1200円で販売中だ。本作はリリース直後から9000件を超えるSteamユーザーレビューを獲得、「圧倒的に好評」の評価を獲得している。
『ENA: Dream BBQ』はペルー在住のアニメーター、Joel G氏によるオリジナルアニメシリーズ「ENA」をもとにしたゲーム作品だ。アニメを原作としたスピンオフゲームではなく、アニメと地続きの「シーズン2」として制作されている。プレイヤーは、ふたつの人格を持つ少女「ENA」となり、不思議な世界を探索する。旅の途中で個性豊かなキャラクターたちと出会いながら、「ボス」を探し求めることになる。
本作は探索型のアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは主人公ENAを操作し、奇想天外な夢の世界を巡ることになる。かなりエキセントリックな演出も多く、たとえばゲーム開始後、ENAは登場まもなく「WHERE THE HELL IS THE BOSS⁈(ボスの野郎はどこだ?)」と絶叫。シュールな会話をはさみながら、人面カエル「Froggy」などと協力しつつ、ボスを探す旅に出ることになる。旅の中では、血の海に人の手足が浮かび、空には巨大な目が浮かぶ世界や、シャツを着たサラリーマン風の巨大な「木」が生えている荒野など、摩訶不思議な光景が待っている。
本作のゲームプレイはENAの主観視点で進行する。各地のキャラクターと対話し、時にはわがままなキャラクターたちの頼み事を叶えつつ、ボスを探していくというのが基本的な流れとなる。アニメ版と同じく独創的なキャラクターデザインと、感情豊かに動く高品質なアニメーションが特徴的だ。
また、本作ではショットガンのような武器や手持ちの扇風機のような道具も登場。不可思議なアイテムを活用してパズルを解く謎解き要素もある。なお、本作の説明文には「どのパーティーでも一番不人気な人物になる経験を味わおう」との一文があり、全編にわたって不条理な展開が待ち受けていることを示唆している。


本作は2021年9月にティザー映像が公開され、2023年1月にゲーム映像が初公開。当時もその摩訶不思議な世界観が話題となっていた(関連記事)。そして何度かの延期を経て、3月27日についにリリース。Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約9500件中99%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得し、アニメと同じく人気を誇っている。
レビューでは主に個性的なビジュアルや、高品質なアニメーション、突飛な展開が評価されており、「ENA」世界をそのまま体感できるような雰囲気が好評を博している。一部ではゲームプレイの単調さやオートセーブのみの仕様による進行不能リスク、ボリュームの少なさといった問題点を指摘する声もある。しかし「ENA」の続編を待ち望んでいたファンにとっては概ね好評となっているようだ。

ちなみにアニメ「ENA」のシーズン1は4話制作され、Joel G氏のYouTubeチャンネルで公開されている。うち3話の有志日本語吹き替え版(公式許諾済)が、国内YouTubeチャンネル「RASH A1M」にて公開中だ。ピカソの絵画やPS1の3Dアドベンチャーゲーム『LSD』に影響を受けたというサイケデリックな世界観と、シュールで不条理なストーリー展開が特徴で、各話が数百万~数千万回再生を誇る人気アニメとなっている。そしてシーズン2となる『ENA: Dream BBQ』では、アニメではなくゲームという形式でリリースされることになりファンを驚かせた。
なお、アニメ版では前述の『LSD』的なビジュアルデザインのほか、さまざまなゲーム関係のオマージュと見られる演出が存在。SEとして挿入されるPS1の起動音や、『ウィザードリィ』風の3Dダンジョンを探索するシーンといった要素が見られた。今回「ENA」がそうした世界観そのままに、逆輸入のようなかたちでゲーム化された格好だ。なお、デベロッパーのENA Teamは本作を開発するために設立されたとみられ、Joel G氏自身も開発に参加している。

なお現在、本作の字幕は英語のみ対応しているが、人面カエルFroggyのボイスのみ日本語で収録されている。これは、アニメ版でもキャラクターごとに英語・日本語・ロシア語・韓国語などが混在するという「ENA」独特の設定を踏襲したものだ。Steamのレビューには、「英語が完全に理解できなくても、Froggyのおかげでストーリーの流れを把握できた」という意見も見られる。そのため、言語の壁を感じている人も、本作のユニークな世界に飛び込んでみる価値は十分にあるだろう。また、公式のアニメは日本語字幕をサポートしている。ゲームにも同じく日本語字幕が実装されることを期待したい。
『ENA: Dream BBQ』はチャプター1「Lonely Door」がPC(Steam)向けに無料配信中。以降のチャプターは有料配信となる予定だ。また、コンセプトアートや開発初期のアニメーションに加え、開発者コメントや壁紙などが収録された「Supporter Edition Upgrade」も税込1200円で販売中だ。「ENA」の世界をより深く楽しみたい人は、ぜひチェックしてみてほしい。