『Elona』のタイトル無断使用疑惑の“Elona 2”販売元、「合法かつ適法」だとして反論。あくまでモバイル向けの『Elona Mobile』の続編と強調
『Elona 2~ドット絵×異世界×アドベンチャーRPG』(以下、Elona 2)の配信元HONG KONG KUNPAN CULTURE ENTERTAINMENT(以下、KUNPAN GAMES)は8月8日、「Elona 2ライセンスに関するご案内」としてX上に声明を投稿。同社によれば、『Elona 2』は「正規のIPライセンスを取得し、認証も公式に受けた」としている。
『Elona』は、個人ゲーム開発者noa氏が2006年、PC向けにリリースしたローグライクゲームだ。同作でプレイヤーは、ノースティリスへ流れ込んだ何者かとなって、自由に冒険を繰り広げていく。メインクエストに沿うだけでなく、プレイヤー次第で好きなことやとんでもないことができる自由度の高いゲームプレイが展開されていた。幅広いゲームプレイや自由さによる混沌とした内容が多くのプレイヤーから評価されている。
『Elona 2』は、公式Xアカウントでは「『Elona』のモバイル版の新作」と標榜。そしてプレスリリース(本稿執筆時点では削除済み)では“「『Elona』の最新後継作」として発表されたモバイル向けアドベンチャーRPGだ。しかし『Elona 2』発表後には、noa氏が「後継作ではない」「Elona 2というタイトルの使用を打診された際にも断った」とコメント。つまり『Elona 2』は、原作の開発者に無断で「Elona」を名乗っている状態とみられる(関連記事)。同氏としては「個人開発者なので戦う体力はない」との姿勢を示していたものの、ファンからは『Elona 2』への批判も寄せられていた。
これに対し、『Elona 2』公式Xアカウントは本日声明を公開。投稿では、「Elona 2は、モバイルゲームElonaの最新ナンバリング作品」だと強調した。またモバイルゲームとしての開発および配信においては「すべて正規のIPライセンスを取得し、かつ関連する公式の認証も受けている」として合法かつ適法であると主張した。
ここで述べられている「モバイルゲームElona」は、LTGAMES GLOBALから2021年にリリースされた『Elona Mobile』のことと思われる。開発は中国のデベロッパーDigital Dog(数字狗)が担当。なお『Elona Mobile』については、同作公式アカウントより、Digital Dogの担当者がnoa氏に許可を取って開発した旨が投稿されている。
一方で『Elona 2』では、『Elona Mobile』と同じくDigital Dogが開発を担当しているとのこと。『Elona 2』というナンバリングが付けられたタイトルは、『Elona Mobile』の続編という意味での「2」という考えなのだろう。ちなみに『Elona 2』は中国向けに『黑星勇者-自由鬼畜日式像素風RPG』(以下、黑星勇者)として展開している模様。Google Playストアを確認すると、『黑星勇者』と『Elona 2』で同じ構図のスクリーンショットが見受けられる。このことから、『Elona 2』は『黑星勇者』を日本向けにリリースするにあたって新たにつけられた名称のようだ。ちなみに海外メディア2gameは、本作は当初は“Elona Mobile 2”として展開予定だったものの、著作権上の問題とみられる原因から『黑星勇者』に改題されたと報じている。
いずれにせよ先述のとおり、当初の日本向けのプレスリリースでは『Elona 2』というタイトルに加えて“『Elona』の最新後継作”とされたほか、『Elona』の世界“イルヴァ”が舞台となることも示されていた。『Elona Mobile』ではなく、原作『Elona』の後継作であるように見えうるだろう。こうした種々の点が問題視され、今回KUNPAN GAMESはあくまで本作を『Elona Mobile』の続編と強調したかたちだ。同社は『Elona 2』を合法かつ適法と主張しているものの、noa氏が使用の打診を断ったという『Elona 2』というタイトルがそのまま使用された点には疑念も残るところかもしれない。
とはいえnoa氏は「個人開発者なので戦う体力はありません」としているころから、KUNPAN GAMES側が改名しない限りは『Elona 2』はそのままのタイトルでリリースされる運びとなりそうだ。なお本来の『Elona』の後継作としては、原作者noa氏自身が開発を手がけるサンドボックス系ローグライクRPG『Elin』がある。こちらは11月1日にSteam向けに早期アクセス配信が開始される予定だ。