EA、“スタッフの給与の中央値が低下した”と指摘される。役員報酬が軒並み増額した一方で
Electronic Artsは、現地時間6月24日付で発行した投資家向けの委任状勧誘書にて、CEOなどの報酬額を公表。役員報酬が増額している一方で、スタッフ給与中央値の低下が指摘されている。

Electronic Arts(以下、EA)は、現地時間6月24日付で発行した投資家向けの委任状勧誘書にて、同社CEOであるAndrew Wilson氏など経営陣に対する報酬額などを公表した。その資料によれば、Wilson氏などの報酬は増額されたことが判明したが、一方でEA従業員の収入の中央値が減少しているようだ。Game Fileが報じている。
今回公開された委任状勧誘書では、CEOのAndrew Wilson氏を含む、執行役員の、ここ3年における報酬が明らかにされている。資料によれば、Wilson氏の給与、そして株式やインセンティブ報酬などを合計すると、計3052万9835ドル(約44億円)にのぼるという。同氏の給与自体は据え置きながら、株式報酬が年々上昇しており、2024年度では約2564万ドル、2023年度では約2066万ドルと、だいたい500万ドルずつのペースで報酬が増額していることがわかる。またそのほかCFOのStuart Canfield氏などの報酬も軒並み増額している。

一方で、従業員の給与については、資料によると今年度のEA従業員の給与の中央値は11万7302ドル(約1700万円)とのこと。なお2024年度は約14万9000ドル(約2150万円)、2023年は約13万ドル(約1880万円)となっており、今年度では前年度比で3万ドル(約430万円)程度の減少がみられる。
Game FileがEAの発表をもとに、従業員の給与の中央値とCEOの報酬を比較したところでは、基本的に金額の増減はCEOおよび従業員ともに連動しており、2022年以降は双方とも上昇傾向にあったものの、2025年度の従業員給与のみが落ち込んでいる様子がうかがえる。なおCEOの報酬額は従業員給与の260倍となっており、EAはこのことについて、証券取引法のRegulation S-Kに準拠した妥当な見積もりであるとの見解を示している。
ところで以下にGame Fileの用いたデータをもとに、視認性を高めるため、弊誌で作成した給与額変動の比較用グラフを配置した。左右で目盛りの値が異なっており、同じ値のように見えても250倍の違いがある点には留意したい。

今回公開された従業員給与の数字はあくまで中央値となっているため、最低給与や会社全体の給与の平均値が上昇している可能性自体はありえる。とはいえ、Game Fileの報道をきっかけとして、SNSなど各所で「従業員の給料は下がったものの、CEOの給料は変わらず上昇している」として、XやReddit上で話題となっているかたちだ。
ちなみにEAの2025年度のGAAPベースの純収益は、EAの発表によれば74億6300万ドル(約1兆630億円)で、昨年度の75億6200万ドル(約1兆929億円)より微減。特に2025会計年度第3四半期の業績発表においては、『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』が予想を下回る結果であったことや『Apex Legends』が想定を下回るパフォーマンスであること、『EA Sports FC 25』の伸び悩みなどが報告されていた。さらには今年4月に300名~400名規模のレイオフも実施されるという一幕もあった(関連記事)。
一方で、今四半期については『Split Fiction』が400万本を売り上げる大好評を記録。またリリース当時には不調も伝えられていた『EA SPORTS FC 25』については、1月中旬のゲームアップデート以降、プレイヤーからのマネタイズについて、2桁の伸びを見せたと好調模様であることも明かされていた。2026年度ではそうしたセールス面での勢いが、従業員の給与にも還元されることが望まれるところかもしれない。