AIアシスト機能で“誰でもゲーム開発可能”を謳うオープンソースプラットフォーム「EdenSpark」発表。人気ゲーム『War Thunder』開発元が打ち出す
Gaijin Entertainmentは10月20日、ゲーム開発プラットフォーム「EdenSpark」を発表した。

デベロッパーのGaijin Entertainmentは10月20日、ゲーム開発プラットフォーム「EdenSpark」を発表した。11月よりクローズドベータテストが実施され、正式リリースは2026年となる予定。
「EdenSpark」は、AIによる支援機能を備えたオープンソースのゲーム開発プラットフォームである。公式発表に基づけば、ユーザーはコンソールを含むさまざまなデバイスやプラットフォームに対応するゲームを作成することができるという。「EdenSpark」のソースコードはオープンソースとなる予定であり、ユーザーは「EdenSpark」で作成した自身のゲームを自由に公開できるようだ。
「EdenSpark」の特徴はAIアシスト機能を備えている点であり、ゲーム開発初心者でもゲームを作れるようになるとされている。グラフィック面も含めてAIで作ることも、自身で準備した素材を用いてプログラミングの部分だけをAIに支援してもらうことも可能。さらに、キーボードさえ接続すればPCがなくともゲーム機だけでゲームを開発できるとも謳われている。

公式サイトおよびトレイラー動画では、一人称シューターゲーム(FPS)、見下ろし視点のアクションシューター、サンドボックスゲーム、2D/3Dアクションゲームといった、多くのジャンルのサンプルゲームが開発されていることがうかがえる。ほとんどのサンプルゲームは開発者が1人であるとされ、開発期間も数日から2か月程度とごく短い。もっとも規模の大きいFPSについても、2人のパートタイマーが手がけており、開発期間は6か月となる見通しのようだ。
ロードマップによれば、今後は11月中に開始予定のクローズドベータテストを皮切りに、ユーザーのフィードバックを受け付けながら開発が続けられ、2026年の夏に正式リリースされる見通しだ。同年秋までにPC向けにソースコードが公開され、あわせてXbox/PlayStaition向けの公式サポートもおこなわれる計画だという。先述のサンプルゲームの多くは、11月のクローズドベータテストで実際にプレイできるようになる見込みで、FPSのデモは12月中の公開予定となっている。


ゲームエンジンとしては、Gaijin Entertainmentが開発を手がける『War Thunder』などのタイトルにも用いられたDagor Engineを採用。同エンジンのソースコードは、今回の発表の約2年前にあたる2023年11月に、BSD-3 ClauseライセンスのオープンソースとしてGitHub上に公開されている。オープンソース化に際して“大発表”があると言及されていたが、おそらく「EdenSpark」のことを指していたものと思われる。
なお「EdenSpark」ではAIの支援によりゲーム開発のハードルを大幅に下げることができるとアピールされているが、本稿執筆時点では不明瞭な点も多い。たとえば、本プラットフォーム上で作成したゲームが得た収益の扱いについてはこれといった言及はない。またAIアシスト機能が著作権的に問題ないかどうかも注目点であり、用いられている学習データなどを含めて、さらなる発表が待たれるところだ。
生成AIが普及するなかでは、学習データを巡る権利問題もたびたび耳目を集めてきた。たとえば10月には、内閣府の知的財産戦略推進事務局が動画生成AI「Sora 2」を開発したOpenAI社に対し、著作権侵害となるような行為をおこなわないよう要請したと発表したばかりだ。こうした事情も踏まえつつ、「EdenSpark」が利用者や業界の懸念を解消できるのかどうかには注目していきたい。