Discord社の生みの親、CEOを退任へ。後任を「元Activision Blizzardの敏腕経営者」に託して

Discord社は4月24日、同社の共同創設者兼CEOであったJason Citron氏が退任し、後任をHumam Sakhnini氏が務めることを明かした。

Discord社は4月24日、同社の共同創設者兼CEOであったJason Citron氏が退任し、後任をHumam Sakhnini氏が務めることを明かした。

Discordは、PC・モバイルのほかPS5/Xbox向けにも展開されているコミュニケーションツール。ユーザーは自由にサーバーを立てて、ほかのユーザーとの集いの場にできる。同ツールではテキストでのチャットのほか、音声による複数人でのボイスチャットや映像配信も可能だ。

Discord社は、Jason Citron氏により2012年に設立されたゲームスタジオHammer & Chiselを前身とする企業だ。当初はモバイル向けのMOBA『Fates Forever』を開発したものの、同作の失敗を受けて方針転換。コミュニケーションツールDiscordの開発に専念することとなり、Stanislav Vishnevskiy氏を共同創業者として2015年に社名をDiscordに改めた。その後、さまざまな企業からの資金調達をしながらDiscordの開発・運営がおこなわれてきた。


今回、Discord社の生みの親でありCEOを務めてきたJason Citron氏が退任することが明らかとなった。公式ブログ記事にて、同氏が社員向けに送ったメッセージが公開されている。同氏は同社を築き上げてきたことは人生でもっともやりがいのある経験だったと振り返りつつ、CEOを退任する背景を説明。Discord社が新たなフェーズに進むにあたり、CEOとしてより大きなリーダーシップの課題に取り組むべく、この数年間は自らの仕事の引き継ぎをおこなってきたという。しかしこれからの数年間を見据えてDiscord社のCEOに求められるものを見つめ直し、文字通りの自分の仕事、つまりCEOを誰かに引き継ぐときがきたと決断したそうだ。

そして後任のCEOをHumam Sakhnini氏が務めることも明かされている。同氏はActivision Blizzardの最高戦略・人事責任者、Kingの社長などを務めていた人物で、ゲーム業界で15年以上のキャリアをもつ。Humam氏は現地時間4月28日にDiscord社に入社することとなり、Citron氏は同氏への引き継ぎやサポートをおこなっていくそうだ。なおCitron氏は今後も役員・アドバイザーとしてDiscord社に関わっていく見込みとのこと。

これまで非公開会社として、資金調達を経ながら運営されてきたDiscord社。Discordにおけるサブスクリプションサービスなどもマネタイズになっているとみられる。ただ昨年1月には従業員の17%を対象とするレイオフが実施。この際には、2020年から2024年にかけては従業員数が5倍に増加していたことも明かされていた。その後2024年4月には、Discordにおける初の広告としてクエスト型広告が導入。広告を確認/視聴したユーザーにゲーム内報酬などをプレゼントする方式の広告で、モバイルのDiscord向けにも今年6月から配信予定となっている(関連記事1関連記事2)。

なお2021年3月には、マイクロソフトが100億ドル以上でDiscord社の買収を検討していることも報じられていた(The Verge)。Discord社には、そうした提案を退けつつ資金繰りをおこないながら株式上場を目指してきた背景もあるとみられる。今後Humam氏がCEOとして率いる新体制で、どのように運営されていくのかも注目されるところだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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