ゲーム開発者たちがゲーム制作の“一番嫌いな部分”を明かしあう。宣伝するのが嫌いな人、時間がかかると嘆く人、十人十色


ゲームの開発では、さまざまな難所などが待ち受けていることもあるだろう。また特に個人開発であれば、作業の内容によってそれぞれ得意不得意も生じうる。そんなゲーム開発における「一番嫌いなところ」を紹介しあう流れが、海外掲示板Redditのゲーム開発に関する話題を扱うコミュニティr/gamedev上で生まれている。

きっかけとなったのは、Redditユーザーbenithemakerこと、beni氏による投稿。beni氏はゲームデザイナーで、ゲーム開発の進捗管理を手助けするツール「Game Design Checklist」を手がけている人物でもある。同氏は「ゲーム開発で一番嫌いなのは……(The one thing I hate the most about game dev is…)」というタイトルでスレッドを立ち上げた。ちなみに同氏の一番嫌いなところは「マーケティング」とのことだ。


beni氏による上記の投稿には本稿執筆時点で約180件と、多くのコメントが投じられており、各々のユーザーからゲーム開発における“大嫌い”な部分が寄せられている。一例としては、「時間が足りないこと」を挙げる声が多くみられ、賛同を集めている。具体的には、一日中作業したにもかかわらず、変更ログを確認すると、さほど多くの変更になっていないことに気づいた、という経験談などが見られる。そのほか時間を消費する作業として、完成度残り10%となったときの仕上げや、バグ修正などが挙げられ、各々が時間的制約を嘆いている。

また規模が小さい開発者にとっては、自分の不得手となる分野にも取り組まなければならないところが悩みだとする声もある。文章やアート分野での仕事をメインとしていても、個人開発ではコードを書かなければならず、簡単なコードを書くのにも苦戦する、といった声も散見される。


さまざまな「苦手」や「嫌い」が寄せられる本スレッドだが、投稿者であるbeni氏も含め、なかでも多く見られるのはマーケティングへの言及だ。たとえばビジネス面やユーザーからの反応を鑑みて計画を立てると、当初の予定から大幅に変更せざるを得なくなるといった点など、長期的な見通しを立てる難しさが理由として挙げられている。対象を絞るのか、それともできる限り多くの人に届けるのか。そうした販売戦略との兼ねあいなどを考慮しつづけなければならないのは、「ゲーム開発」に注力したい開発者たちにとっては時に苦痛となるのかもしれない。

ちなみに特にマーケティング費用については、過去にr/gamedevにて「マーケティング費用を減らして開発費に回し、ゲームの品質を高めるべきではないか」との意見が投じられ、実際に“適切な”費用配分はいくらなのか、といった議論が生じた事例がある(関連記事)。また綿密に練り上げた販売戦略も、人気作などのサプライズ配信で話題を奪われるといった不確定要素も生じうるだろう(関連記事)。いずれにせよ、マーケティング戦略は、特に個人開発では掴みどころがなく、苦手意識をもたれやすい側面もあるのかもしれない。


とはいえ一方では「マーケティング」がむしろ好きというユーザーもいるようだ。そのユーザーによれば、UIのデザインが嫌いだそうだ。見栄えをある程度仕上げ、体裁を整えればよいとするマーケティングに対して、UIはわずかな改善のためにデザインを変更し続ける必要があり、苦手意識があるのだという。

またほかにも共有される“悩み”に対してアドバイスなどを寄せるやりとりもみられる。たとえばゲームデザインの細かい場所について悩んでしまうというユーザーに対してbeni氏は、テスターにプレイさせて判断してみるべきだと提言している。ほかにも、ゲーム開発と並行してやらねばならない仕事があるという声には、別のユーザーが共感を示しつつも、アイデアを練る時間として使ったり気分転換の時間にしたりしてモチベーションを高めていると自身の取り組み方を紹介している。

スレッドでは多くの「苦手」や「嫌い」が共有されており、特に個人開発では得手不得手や、ゲームに向けたスタンス、開発者自身の性格などによって、取り組みたくないような部分がさまざま生じることも垣間見える。また開発者によって、同じ部分でも好き嫌いが分かれるのは興味深い。開発者間で意見交換やアドバイスなどが送られるような一幕もみられ、コミュニケーションの場として賑わいを見せたようだ。