Dell、早くも主力の「法人向けPC」を値上げへ。大手各社にも迫る“世界的メモリ品薄”の影響
Dell Technologiesは現地時間12月17日より、法人向けのPCなど一部製品の価格改定を予定しているという。

Dell Technologiesは現地時間12月17日より、法人向けのPCなど一部製品の価格改定を予定しているという。Business Insiderが報じている。
Dell Technologiesは米国に本拠を置く、コンピュータテクノロジー企業だ。「Dell」ブランドにて、PCをはじめ多種多様な電子機器を販売している。
今回はDell Technologiesが社内向けに、法人向けのPCを含む一部製品の価格改定を通達したことが報じられている。Business Insiderによると、法人向けのDell ProおよびDell Pro MaxのノートPCおよびデスクトップPCについて、32GBのメモリを搭載する構成では130ドル~230ドル(約2万円~3万5000円)の値上げが実施されるとのこと。最上位の構成である128GBでは1台あたり520ドル~765ドル(約8万円~19万円)の値上げとなるという。

このほか、1TBのSSDを搭載するノートPCでは55ドル~135ドル(約9000円~2万1000円)の値上げとなるそうだ。NVIDIA RTX PRO 500 Blackwell GPUを搭載するAIノートPCではVRAMが6GBの構成では66ドル(約1万円)の値上げ、24GBでは530ドル(約8万2000円)の値上げとなる。また一部モニターも値上げの対象になっており、「Dell Pro 55 Plus 4Kモニター」が150ドル(約2万3000円)の値上げ予定とのこと。Business Insiderが従業員の匿名証言として伝えるところによると、契約内容によって値上げ率は10%~30%となる見込みだそうだ。
こうした値上げの背景には、AI分野におけるメモリの需要の急増を受けた、メモリなどの品薄状況があるようだ。なおDell Technologiesの最高執行責任者(COO)兼副会長を務めるJeff Clarke氏は11月25日に実施された同社の2026会計年度第3四半期の業績発表における質疑応答で、昨今のメモリの需要急増について言及(資料pdf)。見たことがないほど急速にコストが増加しており前例がない事態であるとしつつ、メモリ(DRAM)だけでなくSSDなどに用いられるNANDや、HDDのほか、半導体の供給ネットワーク全体において同様の影響がみられると伝えた。
Clarke氏はこの影響を最小限にすべく部品の確保を最優先事項として取り組んでおり、第4四半期のコストの見通しは概ね変わらないと説明。ただあらゆる製品カテゴリーが影響を被るといい、PCの買い替えサイクルが完了していないことも踏まえて、いずれ顧客にも影響が及ぶ見通しが伝えられていた。

そうした中で今回、法人向けのPCのうちメモリが32GB以上の製品を中心にまもなく大幅な値上げが実施されることが報じられている格好だ。法人向け製品はDell TechnologiesのPC販売事業において高い売上比率を誇っており、コスト上昇の影響がいち早く表面化したこともうかがえる。このほかBusiness Insiderはアナリストの見解として、そうした値上げはすべてのPCメーカーのあらゆる種類のPCに影響を及ぼす可能性が高いとし、2026年を通して(メモリなどの)供給不足が続く見通しであると伝えている。
なお先日には米国の半導体大手Micronが「Crucial」ブランドとして展開していたコンシューマー向け事業から撤退することを発表し、話題となった(関連記事)。AI分野でのメモリなどの需要増加を受けてコンピュータテクノロジーの大手各社が対応を迫られているようで、引き続きPC市場への影響が懸念されるところだろう。今回発表されたDell Technologiesの製品値上げはあくまで法人向けモデルながら、今後同社に限らず一般向けPCにも影響が及ぶかどうかは注目される。
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