大人気だったダンジョンPvPvE『Dark and Darker』過去最低レベルの低迷中。開発者は“批判殺到アプデ”について連日謝罪、改善を誓う

Dark and Darker』のSteamでの同時接続プレイヤー数が過去最低水準となっている。背景には5月下旬より実施されてきたアップデートによってプレイヤーの不満が噴出したことがあるとみられ、本作のディレクターはユーザーに向けて連日謝罪を投じる事態となっている。

本作は、韓国のスタジオIRONMACEが手がける、一人称視点のマルチプレイダンジョン探索ゲームだ。基本となるPvPvEモードでは、プレイヤーは最大3人でパーティを組んでダンジョンに潜り、ほかのプレイヤーやモンスターと戦うこととなる。また4月には敵プレイヤーが参加しないPvEモードが実装された(関連記事)。いずれのモードでも、ダンジョン内で宝をかき集め、脱出ポータルから帰還することが目標。ただし死ぬと所持品は失われてしまう。

本作はシーズン制で運営されており、現在シーズン6が実施中。今シーズンでは6月26日にシーズン6.5として大型アップデートが配信され、新たな試みとなる「セミワイプ」が実施された。セミワイプは完全なワイプではないためクエストの進行状況こそ据え置きながら、所持アイテムやゴールドのほか、トライアンフレベルもリセットされている。8月後半に予定されているシーズン7に向けて、広範囲にわたって適切なバランス調整をおこなうための対応だという。

そんな本作にて、Steamでは大型アップデート後に多数の不評レビューが集まっている。本稿執筆時点で6月26日以降に寄せられたレビュー1170件のうち、不評レビューは1008件におよぶ。シーズン6.5以前よりおこなわれてきた、大規模バランス調整への批判が渦巻いている状況だ。


突然の大規模改変

特に批判を受けているのが、マッチング方式の変更だ。本作ではこれまでソロ・デュオ・トリオでそれぞれマッチングが分かれていたが、5月23日に実施されたHotfix 86によってすべてのマッチングキュー(待機列)が統合。これによりたとえばソロのプレイヤーが、トリオのプレイヤーと同じマッチで争うことになった。ソロのプレイヤーは人数差から大きく不利になるわけだ。本作をソロでプレイしていたというユーザーも多く、大きな批判が寄せられている。

さらにシーズン6.5のアップデートでは、装備におけるランダムエンチャントが廃止。プレイヤーの装備ごとの大きな格差をなくすための暫定措置とのことながら、一方で強力なランダムエンチャントの装備を集める点はエンドコンテンツ的な楽しみとなっていた。今後テストを経て復活する見込みも伝えられていたものの、突如撤廃された点は批判を受けている。5月以降はプレイヤー数も減少を続けており、シーズン6以降ピーク時に1万人~2万人を維持してきた同時接続プレイヤー数は6月に入って1万人を割ることに。本稿執筆時点ではピーク時でも約3000人にとどまっている(SteamDB)。


なぜ急に変えたのか

こうしたなかで本作のディレクターであるsdf氏は6月30日から7月2日にかけて公式Discordサーバー上で声明を発表。プレイヤーへの謝罪と共に、本作の今後の開発方針について細やかに伝えている。まず同氏によれば、本作では開発初期に取り入れられた作り込みの浅いシステム群がごた混ぜになっており、長期的なゲームプレイサイクルに向けた深みのあるコンテンツ構築ができなくなっていたとのこと。そのためそれらの調整とテストに時間を割かれ、その場しのぎの試行錯誤ばかりをしてきたという。

そこでランダムエンチャントのように、ゲームの長期的な成長を妨げると判断された要素を含めた構造全体を思い切って作り直す決断が下されたとのこと。しかしシーズン途中でユーザーへの説明が不足したまま大規模な変更が加わったことで、先述したように混乱が生じることになった。sdf氏はコミュニケーション不足かつ極端なアプローチで問題解決を断行したとして、声明において何度も謝罪を伝えている。

今後の開発方針としてはシーズン7までのセミワイプ期間を利用して、これまで開発してきた多くの要素を整理し、簡略化していくという。そしてソロプレイ体験の改善、戦利品獲得の意義と満足感の強化、戦闘システムの調整の3つの軸で開発を進めていくとのこと。特にソロプレイについては、デュオとトリオが混在する現在のマッチングシステムに不満が寄せられていることもあり、ソロキューを復活させることも視野に入れているそうだ。このほか本作では人数不利の状況でも逆転が可能になるようなメカニクスの導入など、さまざまな調整が模索されているという。

ダンジョンPvPvEの草分け的存在として、過去には爆発的な人気を博した本作。これまでにもシーズン終盤にはプレイヤー数が減少することはあったものの、一定のプレイヤーベースを維持してきた。しかし今回は最低水準を下回る同時接続プレイヤー数。危機的といえる状況を受けて、ディレクターは直々にコミュニティに謝罪と今後の方針を説明している格好だ。一方でこの期間を利用して本作史上最大とみられる“テコ入れ”がおこなわれているようで、8月後半に予定されているというシーズン7までにどのような改善がほどこされるのかは注目される。

『Dark and Darker』はPC(Steam/公式サイト)向けに基本プレイ無料にて配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

記事本文: 3134