『黒い砂漠』開発元、SIEから新作オープンワールド『紅の砂漠』のパブリッシングを打診されたけど断っていた。“自分で売った方が儲かりそう”として


韓国のゲーム会社Pearl Abyssは現在『紅の砂漠(Crimson Desert)』をPC/コンソール向けに開発中だ。そんな本作について、Pearl Abyssは投資家向けの発表にて、ソニー(SIE)からパブリッシングを打診されていたことを明かした。参加者の書き起こした内容を元に海外メディアPush Squareなどが報じている。

『紅の砂漠』は、MMORPG『黒い砂漠』の開発・運営で知られるPearl Abyssが手がける、オープンワールドアクションアドベンチャーゲームである。本作の舞台は、戦乱の中世ファンタジー世界「パイウェル大陸」だ。パイウェル大陸では、大陸を統一したデメニス王が病床につき、各勢力が独立を企んでいた。本作の主人公マクダフは、そんな世界で気性の荒い傭兵たちを統率。自らも一人の戦士として成長しながら、小さな傭兵団を率いて世界へ立ち向かうことになる。傭兵が痛みを抱えながらも時代を生き抜く、成長と挫折の物語が描かれるという。


Pearl Abyssは9月26日、韓国にて開催された投資家向けイベントに登壇。イベントに参加した投資ブロガーが伝えるところでは、『紅の砂漠』のゲーム内容や開発状況、パブリッシングについて語られたという。なかでも同作のパブリッシングについて、SIEよりかつて打診があったことが明かされたという。

SIEとの話し合いの中では、『紅の砂漠』の雰囲気やストーリーが『ゴースト・オブ・ツシマ』に近いとSIE側からたとえられていたようだ。同作はPlayStation Studios傘下のSuccer Punch Productionsが手がけ、2020年にPS4向けにリリースされ、のちにPS5/PC向けにも登場した。蒙古襲来をテーマとしたストーリーや、戦闘における攻略の自由度などから多くの好評を獲得。発売2年で全世界累計売上が973万本に到達するなど、高い人気を誇る作品だ。そんな同作にたとえられるということは、SIEの担当者からも『紅の砂漠』が高く評価されているのかもしれない。

『ゴースト・オブ・ツシマ』


そうしてSIEは『紅の砂漠』のパブリッシングに興味を示し、いくつかの好条件を提示したという。一方でPearl Abyssによれば、パブリッシングをSIEに頼む場合、コンソール向けのPlayStationでの1年間の時限独占のほか、PCでの販売権もSIEに委ねることになるといった制限が含まれていたそうだ。ただそれを加味してもマーケティング力や独自のインセンティブは非常に魅力的だったとしている。

しかしながら、Pearl Abyss側は予想される売り上げと、プラットフォームの手数料を除いた収益の分配について検討したとのこと。結果、セルフパブリッシング、つまりSIEからではなくPearl Abyssからリリースした方が、メリットが大きいと判断されたようだ。

ほか、Pearl Abyssは、同じく韓国のShift Upが手がけSIEよりPS5向けにリリースされた『ステラーブレイド』と比較しつつ、今回の決断について言及。Shift Upには必要になる(規模の)パブリッシングチームがいなかったため、SIEにパブリッシングを頼んだのだろう、との見解を伝えている。一方でPearl Abyssにはセルフパブリッシングできるチームがあり、海外にも拠点が存在しているため、自社のリソースでのパブリッシングをおこなう方針にしたとのこと。

『紅の砂漠』


なお本作については、正確なリリース時期やプラットフォームはまだ決定していないそうだが、2025年のリリースを目標としているようだ。本作は当初はPC向けに開発されており、現在はPlayStation版のQA(品質保証)の段階だという。また先述の通り、SIEからのパブリッシングを断ったとされていることもあり、PlayStationでの時限独占とはならない見込みだ。対応プラットフォームなどの詳細も含め、続報も注目される。

紅の砂漠』は、Pearl Abyssにより開発中。コンソール/PC向けにグローバルリリース予定となっている。