PlayStation Studios責任者、「『コンコード』と同じ失敗は繰り返さない」と決意あらわ。『Marathon』は成功させる
PS Studiosの統括責任者が『CONCORD(コンコード)』の顛末を振り返りつつ、現在は開発プロセスの「強化」を図っていると明らかにした。

ソニーは6月13日、ソニーグループ各企業の首脳陣によるプレゼンテーションを投資家向けに公開した。その中におけるとある談話で、PlayStation Studiosの統括責任者のHermen Hulst氏が『CONCORD(コンコード)』の顛末を振り返りつつ、現在は開発プロセスの「強化」を図っていると明らかにした。PC Gamerなどが伝えている。
今回公開された一連のプレゼンテーションでは、ソニーグループ傘下の各分野企業のCEOなど首脳陣が事業について説明。また、談話 (Fireside Chat)も公開されており、各人が経営にまつわるあれこれを語っている。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野においては、SIEの社長・CEOである西野秀明同社SVPなどを務めるLynn Azar氏、そしてPS Studiosの責任者を務めるHermen Hulst氏が参加。その中で、Hulst氏が『コンコード』の失敗について触れた。

『コンコード』は、PS Studios傘下スタジオだったFirewalk Studiosが手がけた対戦FPSだ。同作は昨年8月24日にPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5向けにリリース。発売直後からプレイヤー人口が不振となり、発売後わずか10日にして発売が停止。後に開発元Firewalk Studiosは閉鎖されるなど、稀に見る経緯を辿った。そうした経緯もあり、本作はSIE発のマルチプレイ用ゲームとして、コミュニティなどから“大失敗作品”の烙印を押されることとなった。
Hulst氏は今回の談話において、SIEが引き続きライブサービスゲームの提供に意欲をもっていることについて言及。その流れで、前述のような結末に至った『コンコード』について触れることになった。Hulst氏は同作について「開発陣はとてもよい仕事もした」と表現。その一方で「他作品との差別化が不十分だったために、プレイヤーの心を掴めなかった(insufficiently differentiated to be able to resonate with players.)」として同作のローンチ失敗を分析した。

そしてHulst氏は、『コンコード』の結果を受けて開発プロセスの見直しを推し進めているという。以前よりさらに厳格に、販促や開発計画の見通しなどを検証するプロセスを導入しているとのこと。「正しいタイミングで、正しい機会に投資するため」の施策だそうだ。『コンコード』の顛末は、SIEにて大きな教訓となっているようだ。
なお、現在SIE傘下スタジオのBungieは新作『Marathon』を開発中。マルチプレイ・ライブサービスゲームとなる同作についても、Hulst氏は触れている。同氏は『Marathon』について「とても大胆で、革新的かつ夢中になれる作品」と太鼓判。しかし前述のように開発プロセスには万全を期しており、クローズドアルファテストの分析をさらに追加で分析するといった入念な体制を伝えた。
また、Hulst氏は「あらゆる教訓を活かす」といった言葉を交え繰り返し開発プロセスの見直しについて触れ、変化を強調。「『Marathon』のローンチ時には、成功のチャンスを最大化して送り出せるだろう」と自信を見せている。『Marathon』については『コンコード』になぞらえた揶揄もコミュニティから投じられており、『コンコード』の元開発者が苦言を呈する一幕もあった(関連記事)。Hulst氏としては、そうした印象からも脱却したいところだろう。
『Marathon(マラソン)』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに、9月24日に発売予定だ。