「100%生成AIで作ったゲーム」がSteamに出現。プログラミングからグラフィック・音楽まで全部AI製

Crunch Fest氏は12月10日、『CODEX MORTIS』のSteamストアページを公開。本作はゲーム制作のすべての工程を生成AIで作成したことがアピールされており、デモ版ではいくつか課題も指摘されている。

ゲーム開発者のCrunch Fest氏は12月10日、『CODEX MORTIS』のSteamストアページを公開し、体験版の配信を開始した。本作の対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲームは日本語表示に対応する。本作はゲーム制作の全ての工程を生成AIで作成したとアピールされている。

『CODEX MORTIS』は、自動攻撃するキャラを操作しつつ装備を整え、押し寄せる敵を倒していく、いわゆる「サバイバー系」の作品だ。プレイヤーはネクロマンサーとしてアンデッドの大群に立ち向かう。そしてステージ上に存在するという5枚の古代のページを集め、守護者を倒すこととなる。オンライン協力プレイも可能とのこと。

本作は死霊術や召喚術などといった魔法の流派に分かれている。敵を倒して経験値を集め、レベルアップすることでランダムに提示される5つの強化要素のうちから1つを選択し、魔法を強化していく。それぞれ異なる効果があり、貫通効果があるものや爆発して周囲にダメージを与えるものなども存在するという。

そんな本作は、開発者のCrunch Fest氏によると、「100%生成AI」による制作がおこなわれたという。たとえばコーディングについては、バイブコーディング(Vibe Coding)がおこなわれたとのこと。これはAIに対し、実装したい内容などを言葉で指示することで、AIにコードを生成させる手法だ。本作ではコーディングをClaude Codeで、画像はChatGPTを用いて生成したといい、ゲームエンジンを用いた開発でないこともアピールされている。

Steam向けにリリースされるタイトルでは「AI生成コンテンツの開示」として使用している領域を公開するといった条件のもとで作中に生成AIの利用が認められている(関連記事)。違法なコンテンツや他社の権利を侵害するコンテンツを含まないといった条件付きではあるものの、ゲームの開発(事前生成)および実行(ライブ生成)の双方で生成AIを用いることができる。そのためゲーム内アートの作成や、テキストを入力することでAIと会話するといった風に、さまざまなかたちで利用されている。

とはいえ本作のように、ゲーム内の一部要素ではなくすべてを生成AIを用いて開発したと公言された作品はまだ珍しい。デモ版を確認する限りは、サバイバー系のゲームとしてプレイできるかたちにはなっているようだ。機械翻訳ではあるものの日本語表示を含むさまざまな言語にも対応。とはいえ直感的に操作しづらいUIや、敵などのオブジェクトの見分けが難しいなど少しプレイするだけでも課題点はさまざま見受けられる。

また生成AIの商用利用については学習データの権利を巡る議論も絶えず、各国で法整備も進められている段階。Steamでも生成AIを利用する作品は一部ユーザー間で忌避される傾向もみられ、発表されたばかりの本作のフォーラム上には、デモ版の品質面への指摘も含めて批判的な意見も寄せられている。

ちなみに“生成AIですべて作ったゲーム”としては、過去にxAI社が公開した「Grok 4」を用いたバイブコーディングにて“サバイバー系”ゲームのプロトタイプを制作したユーザーも話題となった(関連記事)。対して今回はSteamストアページが公開され、ひとつのタイトルとしてリリースされる予定である、という点で一定の注目も浴びている様子だ。さまざまなスキルを求められ時間もかかるゲーム開発を、生成AI頼みでおこなうという試み。デモ版の時点では課題点も見られ、実用的なアイデアかどうか、そしてユーザーに受け入れられるかどうかも含めて注目されるところだろう。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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