大ヒットRPG『Clair Obscur: Expedition 33』主要開発者「GOTYは主な目標ではない」との哲学を明かす。自分がGOTY推薦するなら『Megabonk』
『Clair Obscur: Expedition 33』の開発スタッフたちが、同作のアワード受賞の可能性についてコメントした。

『Clair Obscur: Expedition 33(クレール・オブスキュール:エクスペディション サーティースリー)』の開発スタッフたちが、海外メディアPCGamesNのインタビューに応え、同作のアワード受賞の可能性についてコメントした。受賞できればもちろん嬉しいが、目標にはしていないという。
『Clair Obscur: Expedition 33』は、今年4月24日に発売されたターン制RPGだ。パリィなどのアクション制が取り入れられた戦闘システムのほか、フランス風の要素を取り入れた世界観やUnreal Engine 5による美麗なグラフィックなどが高い評価を獲得。10月8日には売上が500万本を突破したことが報告されている話題作である。

同作はゲーム業界人からも高く評価されており、たとえば『ステラーブレイド』のディレクターとして知られるキム・ヒョンテ氏は今年の5月に、『Clair Obscur: Expedition 33』が自分のGOTYだとする内容をXにポストしている。同作のファンのあいだでも今年の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)」に推す声が多くあがっており、今年のGOTYの注目候補のひとつとなっているわけだ。
そうしたなか海外メディアPCGamesNは、同作の開発元であるSandfall Interactiveにインタビューを実施。同スタジオのCEO兼クリエイティブディレクターの Guillaume Broche氏と、COO兼プロダクションディレクターであるFrancois Meurisse氏が、『Clair Obscur: Expedition 33』のアワード受賞の可能性について訊かれ、コメントしている。

同インタビューによると、Broche氏ら開発チームはGOTYについて「とりわけ目標とはしていない(isn’t something we really aim for)」という。優れたゲームを作った結果として手に入るものであり、目標にするものではないと考えているとのこと。同氏のゲーム開発における目標は、人々の心を揺さぶる共鳴を生み出すことなのだという。そんなBroche氏のもとには『Clair Obscur: Expedition 33』のプレイヤーより、「この作品が人生を変えた」「辛い時期を乗り切る支えになった」といったメッセージが寄せられており、望んだ以上の反響が得られているとのこと。同作の開発における目標はすでに達成できたと感じているそうだ。
そして仮に『Clair Obscur: Expedition 33』がアワードを受賞できたとしたら、それは「ちょっとした嬉しいボーナス(nice little bonus)」のようなものであるとコメント。今年は優れたゲームがたくさん存在しているため、同作が受賞できなくてもまったく問題はないと話している。
Meurisse氏もこの意見に完全に同意するとして、受賞自体が目的ではないと改めて言及。同氏はノミネートや受賞があればもちろん嬉しいが、どちらかというと自分たちというより、ファンへのご褒美になると考えているそうだ。 Meurisse氏は『Clair Obscur: Expedition 33』をアワードに推すファンの声の多さに感動しているそうで、もしなにか受賞できればファンがとても喜ぶだろうと想像しているという。

またBroche氏は、半ば冗談めかしつつも、個人的なGOTYとしては『Megabonk』を選ぶとした。『Megabonk』は9月19日にSteamにてリリースされた、3Dローグライクアクションゲーム。マップを駆け巡ってさまざまなアップグレードを入手しつつ、敵の大群をさばいて出来るだけ長く生き残ることを目指す。個人開発の小規模作品ながら、リリースから2週間で売上が100万本を突破したことが報告されている人気作だ(関連記事)。
同作は強化と戦闘を繰り返すゲームループが好評を得ており、Steamユーザーレビューでも「やめられない」と“中毒性”を伝える声が多数寄せられている。Broche氏は「本気で選んだと言えるかはわからない(I don’t know if it’s a serious one)」と前置きしつつも、現在進行形で『Megabonk』には多大な時間をつぎこんでいるのだという。同作が「自分の人生になっている(It’s my life)」と表現しており、かなり熱中していることがうかがえる。同氏にとってはまさしくGOTY級の作品となっているようだ。

これから年末に向けていよいよ、各種アワードの動きが本格化していく。今年はこれまで数多くの注目作がリリースされており、たとえば『エルデンリング ナイトレイン』『スプリット・フィクション』『Hollow Knight: Silksong』『ゴースト・オブ・ヨウテイ』などの作品は広く人気を獲得。また10月16日には『Pokémon LEGENDS Z-A』の発売も控えており、書ききれないほどの候補がアワードを争っている状況だ。『Clair Obscur: Expedition 33』や『Megabonk』がノミネートや受賞を果たすのかも含めて、賞レースのゆくえが注目される。