「ピカチュウ」の中国名変更が思わぬ騒動に発展、“ Bei-kaa-chyuを守る”ため香港ではデモ行進がおこなわれる

『ポケットモンスター』シリーズ(以下、ポケモン)は今や『スーパーマリオ』シリーズに勝るとも劣らない任天堂の看板タイトルだ。1996年に『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されてから、世代交代にも成功しながら、長年に渡ってそのブランド価値を高めてきた。その人気は世界的なものとなり、欧米はもちろん、中国でも『ポケモン』のファンは多く存在する。
しかし、中国では『ポケモン』の呼称は統一されてこなかった。香港ではペットの精霊という意の「寵物小精靈」という名前を持ち、「小精靈」と呼ばれることが多い。同様の意味を持ち簡体字で表記した「宠物小精灵」とも呼ばれることもある。台湾では「神奇寶貝」という名前で普及しており、これはふしぎなかわいこちゃんという意味がこめられている。また、ポケットモンスターの直訳である「口袋妖怪」と呼ぶユーザーも存在し、とにかく中国の中でも『ポケモン』の呼び名はバラバラな状態となっている。
ようやく呼称が統一され『ポケモン』の中国での人気が拡大されるかと思われたが、そう容易くはいかなかった。中国のユーザーはこれまで自分たちが呼んできた名前に愛着を持っており、新たな名前に抵抗を示す者も多かった。また、新たな呼称自体の人気も低く、実際に「精灵宝可梦」という名はまだまだ浸透していない状況にある。
さらに大変なのは、ゲームのタイトル名のみならず『ポケモン』に登場するモンスターの名称すらも変更してしまったことだ。言わずと知れた人気キャラクター「ピカチュウ」、この黄色くかわいらしい電気ネズミの名前を変更したことから、新たな騒動が生まれてしまったことをQUARTZが伝えている。
任天堂は地元の文化を尊重しなければいけない。皮卡丘はいらないんだ、比卡超を返してほしい。そうしなければ今後任天堂の製品を買うことはない!
彼らの活動はFacebookページで閲覧することができ、この反対活動の声は中国のみならず世界へと届きつつある。また、すでに6000名もの署名が集まっており近日中には任天堂香港に提出されるようだ(リンク先はPDF)。小さな名前の変更が、文化を守る戦いへと様変わりしつつある“ピカチュウ事件”。今回の騒動は、どのような結末を迎えるのだろうか。