『ウィッチャー4』はコンソール版をより優先して開発中、「PS5で60fps動作」を目指して。“過去の問題”を経た教訓として
『ウィッチャー4』では、コンソール版を優先した開発体制がとられているという。

ゲームの技術解析などで知られるYouTubeチャンネルDigital Foundryは6月14日、Unreal Engine 5を用いて開発中の『ウィッチャー4』に関して、開発元のCD PROJEKT REDとEpic Gamesへのインタビュー映像を公開。この中で、コンソール版を優先した開発体制などについて語られた。
『ウィッチャー4』は、オープンワールドRPG『ウィッチャー(The Witcher)』シリースの最新作だ。シリーズお馴染みのキャラクターであるシリを新たな主人公とし、ダークファンタジーの世界を舞台とする新三部作の新章が始動する。

『ウィッチャー4』の対応プラットフォームは未公表であるが、先日開催されたEpic Gamesのイベント「Unreal Fest 2025」にて『ウィッチャー4』のテックデモが公開され、PS5の実機上で60fpsで動作していることが明らかにされた。イベントでは実際のゲームプレイが披露されたわけではないものの、本格的なゲーム内映像が初めて公にされた格好だ(関連記事)。
今回のDigital FoundryとのインタビューにてCD PROJEKT REDの技術担当バイスプレジデントCharles Tremblay氏は、これまで同スタジオはまずPC向けに作り込み、その後コンソール向けにスケールダウンさせる手法を取ってきたと述べる。ただその結果、過去には多くの問題を抱えることになったため、『ウィッチャー4』ではコンソール版をより優先した開発体制(more console-first development)にしようと考えたのだという。そしてEpic Gamesなどのパートナーとも協力し、PS5上で60fpsで動作させることを目指して取り組んでいるところだそうだ。

同スタジオのアート担当バイスプレジデントJakub Knapik氏は、スケールダウンさせるよりも、スケールアップさせる方が簡単であるとコメント。LumenなどのUnreal Engine 5の技術も、スケールアップにおいて一貫した表現を実現する助けになっており、まずはビジュアルおよび技術の面で一定の基盤を構築することが目標だとした。一方で両氏は、CD PROJEKT REDは常にPCの限界に挑戦する姿勢でいるとし、PCゲーマーに最高の体験を提供したいとも述べている。
またTremblay氏は、披露したテックデモにはバトル要素などのゲームコンテンツが実装されていない状態だとし、製品版での60fps動作を明言することは時期尚早であるが、実現に向けて全力で取り組んでいるとした。なお先述のEpic Gamesのイベントでは、発売されるすべてのプラットフォームで、テックデモにて披露された機能と技術がサポートされる予定だと伝えられている。
Charles Tremblay氏が言及した過去の問題とは、主に『サイバーパンク2077』のことを指しているものと考えられる。2020年12月に発売された同作では、PS4/Xbox One版のパフォーマンスの低さがユーザーから指摘。その結果、PS4版はPlayStation Storeから一時的に取り下げられた上で返金対応がおこなわれ、Xbox One版については「パフォーマンス上の不具合が生じる可能性があります」との注意書きがMicrosoft Storeに掲載されるという異例の事態となった(関連記事)。
その後CD PROJEKT REDは、バグ修正を含む改善パッチの開発に追われることに。さらに、PC版の映像をもとに発表およびプロモーションしてきたことから、「コンソール版のパフォーマンスを隠して発売した」として投資家から集団訴訟が提起(のちに和解)。これらの対応には多額のコストがかかったものと想像される。こうした経緯もあって、『ウィッチャー4』ではコンソール版をより優先した開発体制を取ることにしたのかもしれない。
『ウィッチャー4』の対応プラットフォームは未定。発売時期については2027年以降とされている。