「EAが『The Witcher』のCD Projekt REDを買収」と海外で怪しい噂が広まる。CDPR側は否定、ファンは激しい拒絶反応

2015年5月に『The Witcher 3: Wild Hunt』をリリースし、国内外のメディアとプレイヤーから賞賛を浴びたポーランドのゲーム企業「CD Projekt RED」。米国の巨大ゲーム企業「Electronic Arts」が同社を買収するのではないかという怪しい噂が、インターネット上を中心に海外で広まっている。

2015年5月に『The Witcher 3: Wild Hunt』をリリースし、国内外のメディアとプレイヤーから賞賛を浴びたポーランドのゲーム企業「CD Projekt RED」。米国の巨大ゲーム企業「Electronic Arts」が同社を買収するのではないかという怪しい噂が、インターネット上を中心に海外で広まっている。CDOR側はすでに噂をやんわりと否定しているが、ユーザーたちは激しい拒絶反応を示しているようだ。

EAがCDPR買収の噂、怪しく

ことの発端は、小規模ながらも長年運営を続けているゲーム情報WebサイトDSOGamingが掲載した1つの記事だ。この記事のなかでDSOGamingが語るには、同サイトはCD Projekt REDの従業員を名乗る人物とコンタクトを取り、給与明細を見せてもらうなどし本物の関係者であることを確認したという。そして彼から興味深いメッセージを受け取ったと伝えている。

「私はCD Projekt REDの従業員です、共有できる悪いニュースがあります。我々の経営陣はElectronic Artsと”引き継ぎ(take over)の可能性”について話し合っているようです。Electronic Artsの代表者は、現在我々のスタジオを訪れており、経営陣のトップとミーティングしています。我々は当分ゲームをリリースする予定はありません、だからこれはパブリッシングに関する契約ではないでしょう、つまり彼らがここに居るのは、我々を買収したいからです」

リーク情報に定評のあるKotakuやSiliconeraなどと比較すると、DSOGamingは業界と太いパイプがあるわけではない。DSOGamingはかつて騒動となった『The Witcher 3』のグラフィックダウングレードのニュースを先頭に立って報じてきたが、とはいえこのような重大な情報をメディアへ流す際に、情報提供者が小規模な同サイトを選択するのかには疑問が残る。また証拠として見せてもらったという給与明細も、簡単に偽造することが可能だろう。

そのためかDSOGaming自身も、今回の情報は噂の範疇であるとしている。情報提供者の言うとおり買収契約が進められているのか、あるいはCD Projekt REDの次回作『Cyberpunk 2077』のためのパブリッシング契約が進められているのかも不透明だとDSOgamingは伝えている。

ざわめくファンたち

確たる証拠の無い怪しい噂ながらも、この件はSNSや海外フォーラムを通じて即座に広まっている。海外フォーラムNeoGAFReddit各Subredditでは、「EAがもし本当に買収されるのなら最悪だ」、「目的は?」「金」とユーザーたちが語り、事実が明らかになる前から早々と「RIP CDPR」とつぶやいている状況だ。WestwoodやBullfrog、Visceral MontrealにMaxisなど、EAには過去にスタジオを買収しては潰してきた過去があり、ユーザーたちはCD Projekt REDがその新たな例になるのではと激しい拒否感を示している。

EAからすれば、『The Witcher 3』のような有力なタイトルを開発できるスタジオがあり、さらにSteamとは異なる路線で展開されている「GOG」を所有するCDPRは魅力的な存在だ。とはいえCDPRは反DRMや無料の小型DLCなどユーザーフレンドリーな姿勢を貫いている存在である。また今年6月、業界メディアDevelopのインタビューにて、CDPRには買収の話が定期的にあるものの、我々は独立系を貫いてゆくつもりだととコメントしていた。

最終的に今回の件は、海外のCDPRファンがスタジオスタッフに直接問い合わせることとなった。コミュニティマネージャーのMarcin Momot氏は焦るファンからの質問に対し、「さっきMarcin Iwinskiにばったり会ったばかりだよ。彼は(噂を)知らなかったようだ。CD Projekt REDの創設者よりも”情報提供者”の方がものを知っているみたいだね」と伝え、噂を間接的に否定した。対するDSOGamingは、『The Witcher 3』におけるグラフィックのダウングレード騒動の際、Marcin Momot氏はグラフィックダウングレードは事実ではないと嘘をついていたと指摘している。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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