ワンコイン・探索推理ゲーム『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』さっそく好評集める。「カードで対話」する不思議短編ミステリ

CRITICAL REFLEXは10月6日、Bastinus Rexが手がける『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』をリリース。本作は推理アドベンチャーゲームとして、高い評価を獲得している。

パブリッシャーのCRITICAL REFLEXは10月6日、デベロッパーのBastinus Rexが手がける『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応している。

『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』は、フランス・ノルマンディー地方の民話を題材にしたポイント&クリック形式の推理アドベンチャーゲームだ。本作の主人公は、声を持たない小さな魔法使い「カリマラ」。カリマラは言葉を発することはできないが、カードを用いて相手と意思を通わせることができる。プレイヤーはカリマラの視点で、とある謎を解き明かすべく、薄暗い森に棲む者たちと対話を重ねていく。

本作の舞台は、森の奥にひっそりと佇む寂れた一軒家。暗く幻想的な景色に包まれたその場所には、老婆やフクロウといった個性的な住民たちが暮らしている。プレイヤーはこの奇妙な家で登場人物たちと交流を深め、家にまつわる謎を解き明かしていくことになる。

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ゲームプレイでは、周囲を探索して謎解きのヒントを集めていくことになる。本作ではカリマラの魔法により、フィールドに点在するオブジェクトに触れると、そのオブジェクトが描かれたカードが手札に加わる。手札のカードを使うことで、描かれたものについて登場人物に話を聞くことができる仕組みだ。たとえば庭先のローズヒップにインタラクトすれば、ローズヒップが描かれたカードを入手可能。そのカードを使うと、ローズヒップについて聞き込みをすることができるようになる。こうして少しずつデッキを構築しながら、手がかりを集めていくのだ。

そんな本作は10月6日のリリース直後から、着実に好評を集め続けている。本稿執筆時点のSteamユーザーレビューでは、約140件のうち97%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。

本作の魅力は、まずその作り込まれた舞台にある。ローポリゴンのグラフィックで表現される森閑とした不気味な風景は、プレイヤーをまるでおとぎ話の世界に迷い込ませるようだ。一見すると薄暗く、ホラーゲームらしき雰囲気を漂わせている本作。しかし登場人物たちと対話を重ねて物語を進めていくうちに、どこか温かみを感じられるようになる。そのギャップは印象的であり、プレイヤーを引き込む要素のひとつになっている。

また、カードを使って対話をおこなうというシステムも大きな特徴だ。言葉を持たない主人公・カリマラの個性を活かしたこの仕組みは、ゲーム体験として新鮮であり、不思議な一体感を味わわせてくれる。本作のボリュームは30分〜1時間ほどでさくっと遊べるコンパクトなものでありながら、重厚な世界観や独特のゲームプレイがユーザーの高い満足感につながっているようだ。さらに、価格もワンコイン以下と手に取りやすい点もポイント。掘り出し物の文学作品を読むような気持ちでプレイしてみるとよいだろう。

本作を手がけるBastinus RexことBastien Mahaut氏は、フランスのパリを拠点とする個人ゲーム開発者だ。これまでには、さまざまな自主制作のゲームをitch.toにて無料公開している。今回は、そんな同氏の作品が初めてSteamでリリースされたかたちとなる。なお、現在はレトロポップアドベンチャー『TRIP』を開発中であり、Steamではそのデモ版が公開されている。今後のリリース情報にも注目したいところだ。

『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』はPC(Steam)向けに配信中。リリース記念セールとして、10月21日までは定価の10%オフとなる税込449円で購入可能だ。

Niki Jinnouchi
Niki Jinnouchi

RPGやシミュレーションゲームをよく遊びます。一人でまったりプレイするのが好きです。

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