Windows 10ゲーム独占販売が続く「Windows Store」の抱える問題点、Microsoftは”GfWLの再来”を防げるのか?

MicrosoftのXbox部門ヘッドPhil Spencer氏は、Windows 8.1やWindows 10向けに展開されている「Windows Store」の改善プランがあることを明らかにした。「Windows Store」では『Quantum Break』といったWindows 10ゲームの独占販売が続いているが、Steamなどの競合サービスと比較すると様々な問題点や欠点があるとの批判が出始めており、その声に対してSpencer氏がTwitter上で返答した。Microsoftはかつて「Games for Windows Live」でPCゲーマーからの信頼を失ったが、今後「Windows Store」と共にどのような動きを見せるのだろうか。

進む「Windows Store」での独占販売

「Windows Store」とは、Windows 8.x以降のOSに搭載されているMicrosoftのアプリストアのことだ。いわゆるAppleのApp Storeのような存在であり、ユーザーはこの「Windows Store」から様々なアプリを購入しインストールすることが可能。さらに現在Micorosoftは、パブリッシングを担当しているWindows 10ゲームをWindows Storeでのみ販売する方針を進めつつある。前述したRemedy Entertainmentの最新作『Quantum Break』に加え、2016年にリリース予定の『Gigantic』もXbox One/Windows Storeにて独占販売であり、2015年8月には『Fable Legends』のWindows版が「Windows Store」でのみ販売されることが明らかされていた。現時点で発表は無いが、今春にリリース予定とされている『Gears of War: Ultimate Edition』や『Killer Instinct』のPC版も、このままの方針でいけば「Windows Store」でのみ販売されると見てよいだろう。

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「Games for Windows Live」

MicrosoftがPCゲームを自社のサービス下に集中しようとする動きは、今回が初めてでは無い。同社は2007年から2014年ごろまでPC向けにXbox LIVEを改修した「Games for Windows Live(以下、GfWL)」を展開し、パブリッシング担当タイトルへの統合を続けていた。しかし「GfWL」は面倒なログインやDRM仕様などの様々な問題を抱えており、大部分のPCゲーマーから批判を浴び最終的にサービスは廃止へといたった。

この「GfWL」が一旦の区切りを迎えたあと、Phil Spencer氏を含むMicrosoftの幹部らはGDCなどのおおやけの場で、「Steamなどとは競合しないPCゲーミングへの参画」を予定していると伝えていたが、ここ最近の「Windows Store」独占販売の動きはそれらの発言とは相反する動きだ。

「Windows Store」が現在抱える問題

ただ、スクウェア・エニックスがパブリッシングを担当している『Rise of the Tomb Raider』にSteam版とWindows Store版の2種類が存在するように、”サードパブリッシャー製タイトル”がWindows Store独占販売となる例は今後そうそう登場しないのではないかと考えられる。またパブリッシング担当タイトルを自社のサービス下でのみ販売する動きは、決してめずらしいことでは無い。たとえばElectronic Artsは『Battlefield 4』などを「Origin」でのみ販売しているし、Ubisoftも自社パブリッシングのタイトルには「Uplay」を統合している。そういった意味では、Microsoftが「Windows Store」で自社のゲームを販売することは、ユーザーにとっては利用するサービスを1本化できない歯がゆさがあるものの、それほど問題はないように見える。

しかし現状の「Windows Store」とPCゲームの相性はとても悪い。これが最大の問題だ。「Windows Store」にて販売されているアプリは、「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(以下、UWP)」上にて構築されている。そして先に販売された『Rise of the Tomb Raider』のWindows Store版では、アップデートパッチの配信が遅れるなどの問題がすでに生じているのだ。Steamの公式フォーラムでは、同作の開発チームが「現在のUWPフレームワークではVsyncを切ることがサポートされていない」と伝えている。またRedditのスレッドでは、同作のWindows Store版ではボーダーレスのフルスクリーンモードが強制されており、SLI/Crossfireが非対応、またSteamや動画撮影ツールなどのオーバーレイも許可されていないなど、問題点を相次いで指摘しており、編集部側でもこれらの問題の多くを実際に確認している。

このほかにも「UWP」アプリの特徴として、インストール先を各ディレクトリ下に作られる特定のフォルダにしか指定できない点や、格納されているファイルがプロテクトされており改造つまりはModding出来ない点がある。現状の「Windows Store」にて販売されているWindows 10ゲームは、ほかのサービス上では出来る当たり前のサポートや機能が不足しており、「Windows Store」とPCゲームの相性は悪いと言わざるを得ない。

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またXbox LIVEのリワードプログラムがあるもの、Mod対応を進めラインナップも十分にある「Steam」や「Origin」などと比較すると、PCゲームにおける「Windows Store」と「Xboxアプリ」のサービスの充実度や利便性は見劣りする

Xbox Oneとのクロスバイや連携は評価できるが

ここ昨今のWindows 10とXbox Oneの動きを見ると、Microsoftが「GfWL」からより便利なサービスを生み出そうとしている姿勢は理解できる。たとえばWindows 10とXbox One上ではクロスバイ機能が『Quantum Break』などで導入される予定となっており、片方のプラットフォームにて購入したゲームは、買い直す必要無くもう片方のプラットフォームにてプレイすることができるようになる。「Xboxアプリ」を通じて双方のプラットフォームの垣根を無くし、より便利にゲームが遊べるようにしたいというMicrosoftの動きはとても活発だ。

ただ、現状の「Windows Store」にWindows 10ゲームを縛る行為は、”GfWLの再来”と言わざるを得ない。このままでは、利用したくも無いが統合されているため「GfWL」を仕方なく利用していた過去のように、「Windows Store」を仕方なく利用するユーザーが後を絶たない状況となるだろう。そして上記した問題の改善が進まなければ、MicrosoftはPCゲーマーたちからの信頼をさらに失うことになる。Spencer氏が語るようにMicrosoftが今度「Windows Store」の改善を推し進めるのか、期待と不安を抱えつつその動向を見守りたい。

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