人気FPSの「エンブレム自作機能」、撤廃傾向か。『CoD: Black Ops』シリーズや『バトルフィールド』シリーズではユーザーによる差別や性的表現が横行

 

Call of Duty: Black Ops 6』にて、「エンブレム自作機能は復活すべきではない」との指摘が注目を集めている。同機能が採用されていた過去の『Black Ops』シリーズ作品では倫理的に問題のあるエンブレムも多数観測されていた。そのため、そもそも『Call of Duty: Black Ops 6』でエンブレム自作機能が復活するかどうかは現時点で不明にもかかわらず、復活すべきではないとの意見が投じられたようだ。

『Call of Duty: Black Ops 6』は、FPS『Call of Duty』(以下、CoD)シリーズの最新作だ。同シリーズの中の『Black Ops』シリーズを手がけてきたTreyarch Studiosが中心となって開発されている。本作の舞台となるのは、冷戦が終結し、超大国としての米国が台頭する1990年代初期の世界。世界政治の転換と激動の時代にあたり、キャンペーンモードでは多種多様な環境における、イチかバチかの強襲や、隠密行動が求められるスパイ活動など、刻一刻と変化するダイナミックなゲームプレイが楽しめるという。

またマルチプレイモード、および「Black Ops」シリーズではおなじみのゾンビモードも収録。さらに、ダッシュ・スライディング・ダイビングを全方向に可能な新たなシステム「オムニムーブメント」が用意されているとのこと(関連記事)。


そうして『Call of Duty: Black Ops 6』の情報が明かされている傍らで、かつて存在したエンブレム自作(custom emblems)機能が復活するかどうかが注目されている。エンブレム自作機能は、『Black Ops』シリーズに用意されていたシステムだ。公式に用意された多種多様なパーツを拡大・縮小したり色を変えたりしながら重ねあわせ、ユーザーがエンブレムを自作可能。設定したエンブレムはマルチプレイの際にもほかのプレイヤーにも表示される。用意されたパーツの種類は限られるものの、ユーザーが創造力をはたらかせて多彩なエンブレムが制作されていた。

エンブレム自作機能は2018年発売の『CoD: Black Ops 4』以前の『Black Ops』シリーズなどに存在し、シリーズおなじみの機能となっていた。一方で同シリーズ最新作『CoD: Black Ops Cold War』では撤廃。またナンバリング新作となる『CoD: Black Ops 6』にて復活するかどうかといった公式による言及も現時点ではない。


そんなエンブレム自作機能について、Xユーザーのbob.氏が「『CoD: Black Ops 6』にエンブレム自作機能が復活すべきではない4つの理由」として、『CoD: Black Ops 4』におけるユーザー制作エンブレムを紹介。このなかにはレイプ(Rape)といった文言を含む下品なジョークのほか、差別用語を交えて特定の人種や性的少数者を口汚くののしる表現などが含まれている。仮にエンブレム自作機能が復活した場合、こうした非倫理的なエンブレムがふたたび蔓延しうることを問題視する指摘だろう。また同作では文字での表現のほかにも、限られたパーツを用いて性器を模したイラストが描かれたエンブレムなども存在していた。

先述のとおりこうしたエンブレムは、あくまでユーザー側が既存のパーツを素材として組み合わせて制作したものだ。またたとえば『CoD: Black Ops 4』ではセキュリティポリシーにて、性的画像や文化を侮辱する素材、暴言などを含む、一般的に見て不適切と考えられるエンブレム/ペイントを作り出したユーザーは処罰の対象とされていた。公式もそうしたエンブレムの存在を問題視して、禁止していたわけだ。

ただ、それでも蔓延していた点を見るに、作成されるエンブレムをすべて取り締まるのは難しい側面はあったのだろう。そうした背景から、『CoD: Black Ops Cold War』ではエンブレム自作機能が撤廃された可能性はある。『CoD: Black Ops 6』でも引き続き同様の方針がとられる可能性もありそうだ。

ちなみに同じく人気対戦FPSである『Battlefield』シリーズでは、2016年発売の『Battlefield 1』を最後にエンブレム自作機能が撤廃。2018年発売の『Battlefield V』や2021年発売の『Battlefield 2042』ではエンブレム自作機能が用意されていなかった。

『CoD: Black Ops 6』


対戦FPSにおけるエンブレム自作機能はパーツ制限があるなかで創造力をはたらかせる遊びとして、コミュニティで親しまれていた機能といえる。一方でエンブレムは主に“キルした相手が見る”仕様もあってか、自作機能にて敵を煽るようなエンブレムが生み出されやすい傾向もあった。そうした中で差別表現や性的な表現を含むエンブレムさえ出現していたこともあり、近年の作品では自作機能が用意されなくなっている傾向はあるのかもしれない。

『CoD: Black Ops 6』では先述のとおり、本稿執筆時点でエンブレム自作機能が復活するかどうかは不明。たとえばAIによる判別など、問題のあるエンブレムの作成・投稿に対するモデレーションを大幅に強化する仕組みが導入されれば、課題が解消される可能性はある。いずれにせよエンブレム自作機能は『Black Ops』シリーズおなじみのシステムであり、どのような判断がおこなわれるかは注目されるところだろう。

『Call of Duty: Black Ops 6』は、PC(Steam/Battle.net/Microsoft Store)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに10月25日発売予定だ。Xbox Game Pass向けにも提供される。