傑作パズルゲーム開発者、“新発売したリマスター作品の売れ行きは最悪”と赤裸々に明かす。著名クリエイターでも売れるとは限らない厳しい状況


デベロッパーのTheklaが手がけるパズルゲーム『Braid, Anniversary Edition』。同作の開発者でありThekla の代表を務めるJonathan Blow氏は、今年5月にリリースした本作の売上について、会社を存続させるには届かない“酷い状況”であると語った。海外メディアVGCが報じている。

『Braid, Anniversary Edition』は、2008年にリリースされたアクションパズルゲーム『Braid』のリマスター版。今年5月14日にPC(Steam)PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switchおよびモバイル向けに配信された。オリジナル版は、時間を巻き戻すといった操作を使ったゲームプレイと、心に残る印象的な物語などが高い評価を受けた。リマスター版では、オリジナル版のグラフィックを刷新し、高解像度に対応。アニメーション・オーディオ面にも手が加えられ、新たなパズルや開発者コメンタリーといったコンテンツ追加もおこなわれている。

『Braid, Anniversary Edition』はそんな好評であったオリジナル版と同様に高い評価を獲得。Steamユーザーレビューでは約640件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスとなっている。オリジナル版『Braid』のユニークなメカニズムと、詩的で深い文脈をそなえたストーリーの良さはそのままに高い評価を得ており、かつ開発者のオーディオコメンタリー機能の追加でオリジナル版をプレイしたユーザーにも楽しめるものとなっているとの声が上がっている。なお、発売当初はリマスター版で追加された新規翻訳の質にユーザーから不評が寄せられていたものの、現在はオリジナル版の翻訳への差し替えが行われており、翻訳の質はおおむね安定しているようだ(関連記事)。

そんな好評の本作だが、開発者のJonathan Blow氏によると、売り上げは非常に芳しくない結果となっているようだ。YouTubeユーザーのBlow Fan氏がまとめた、Blow氏のTwitch配信からの切り抜き動画の中で、Blow氏が本作の売り上げについて語る様子が示されている。

動画の中では、『Braid, Anniversary Edition』発売後の同氏の配信の複数のクリップが収録されている。発売から34日経った、6月17日の配信のクリップでは、Blow氏は視聴者から「ゲームの売れ行きは良かったか(Did Braid sell well?)」と尋ねられている。それに対し同氏は「売れ行きは最悪だった(No, it sold horribly)」と端的に答えている。

続けてBlow氏が語ったところによると、売れているかどうかの基準は人それぞれであると前置きした上で、売上本数自体は、他のレトロゲームなどと比較すれば、はるかに売れていると語った。しかし会社の経営上必要になる売上と比べると、本作は「最低最悪の売上(sold like dog shit)」であったと赤裸々に語っている。

同氏の立ち上げた開発スタジオTheklaは現在『The Witness』、『Braid, Anniversary Edition』を配信している。『The Witness』についてもSteamユーザーレビューでは「非常に好評」ステータスを獲得しており、Thekla及びその代表を務めるBlow氏はパズルゲームの名手として定評を得ている。しかしその同氏が発売した新作であっても、会社を支えるほどの売り上げには至らないという厳しい現状があるようだ。

なおBlow氏は自身のXアカウント上にて、先日のHumble Gamesで行われたレイオフの報によせて、業界は非常に厳しい状況であり、ゲームを売ってお金を稼ぐことは非常に難しいともコメント。『Braid, Anniversary Edition』の売上状況が芳しくないという自身の状況も踏まえ、このようなコメントを寄せたと思われる。Blow氏のような人気作を手がけた著名なクリエイターであっても、新作ゲームが期待のいく売上をあげるとは限らないようだ。昨今のゲーム業界の厳しい状況が垣間見える一幕ともいえるだろう。

『Braid, Anniversary Edition』はPC(SteamPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switchおよび、iOS/Android(Netflix Games)向けに発売中。