パブリッシャーのHumble Gamesは7月24日、従業員のレイオフ(一時解雇)を実施した。それによってHumble Gamesからパブリッシングされている『ボウと月夜の碧い花』も少なからず影響を受けている模様。しかし同じくHumble Gamesとパブリッシング契約を結ぶデベロッパーから宣伝される一幕も見られ、影響を受けた開発者間での応援がおこなわれている。
『ボウと月夜の碧い花』は探索型2Dアクションゲームだ。開発はタイのデベロッパーSquid Shock Studiosなどが手がけている。本作では妖の国という和風世界が舞台となっている。プレイヤーはキツネで「テンタイハナ」と呼ばれる存在の妖怪、ボウを操作し、世界を旅することとなる。
また日本の民話を題材にしたとされており、妖怪や、日本の伝説などをモチーフにした怪物などが登場する。そしてボウの耳飾りはさまざまな武器に変化。武器種によって攻撃や行動が変わり、それを活かして、より広い範囲を探索できるようになるのだ。
本作は今年7月18日にPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Xbox Series X|S向けにリリース。Humble GamesはPC(Steam)およびXbox Series X|S向けのセールスを担当している(Nintendo Switch版およびPS5版はマーベラスが担当)。ところがそのパブリッシングを担当しているHumble Gamesは7月24日、従業員のレイオフ(一時解雇)を実施し事業再編をおこなったと明らかにした(関連記事)。
開発元のSquid Shock Studiosもこのニュースは寝耳に水だったようだ。リリース直後ということもあり、コミュニティからは本作の今後サポートやアップデートなどが不安視される状況にあった。そんな中Squid Shock Studiosが7月25日に発表した声明によれば、コンソール向けへのアップデートは遅れが生じる可能性があるとしつつも、今後も開発は継続していくとした。
リリース直後からパブリッシャーの事業再編に巻き込まれるかたちとなった『ボウと月夜の碧い花』およびSquid Shock Studios。しかしながら、そうした大変な状況にある本作と開発元を応援する動きも見られる。
X上でSquid Shock Studiosを応援する声明を寄せたのは、育成MMORPG『Temtem』などを手がけるデベロッパーのCrema。『Temtem』は『ボウと月夜の碧い花』と同じくHumble Gamesがパブリッシングを担当している。
Cremaは『Temtem』公式アカウントにて、多くの開発者が不安を感じ、打撃を受けているが、より大きな打撃を受けたのは、リリース間もない『ボウと月夜の碧い花』を抱えるSquid Shock Studiosだろう、と述べた。続けてCremaは、もし『ボウと月夜の碧い花』を気に入ったのなら彼らをサポートしてほしいとユーザーに向けて呼びかけ、Squid Shock Studiosや影響を受けたほかのデベロッパーに対し、応援の言葉を贈った。
SNS上では、インスピレーションを受けた作品やコラボ作品などの公式アカウントが互いに交流しあう場面も見られる。ただ今回のように、デベロッパーが別作品の公式アカウントで直接応援および宣伝をするといった例は珍しいだろう。Cremaが『ボウと月夜の碧い花』を応援するメッセージには、今回の声明で本作を知ったというユーザーもいるようで、宣伝としても一定の効果をあげているようだ。作品を担当するパブリッシャーが突如事業再編をおこなうという、喜べない事態に巻き込まれてしまったデベロッパーたちながら、互いに応援しあうといったような、助け合いをおこなう場面も見られている。
『ボウと月夜の碧い花』はPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Xbox Series X|S向けに販売中だ。