EAによるマーベル「ブラックパンサー」のゲーム、開発中止との報道。ベテラン集う新スタジオで開発されるも、ひっそり中止&スタジオ閉鎖
EAは開発中であった「ブラックパンサー」のゲームについて、開発を中止するようだ。IGNが報じている。

Electronic Arts(以下、EA)の責任者の1人が、開発中であった「ブラックパンサー」のゲームの開発中止と担当スタジオの閉鎖、および人員削減を実施することを社員にメールで通達した。海外メディアIGNが報じている。
EAはアメリカを拠点とするゲームパブリッシャー。『Battlefield(バトルフィールド)』シリーズや 『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』をはじめとする多数の人気作品をリリースしてきた。
IGNによると、EAのエンターテインメント&テクノロジー部門責任者を務めるLaura Miele氏は、開発中であった「ブラックパンサー」のゲームの開発中止と担当スタジオの閉鎖、および人員削減を実施することを社員にメールで通達したとのこと。なお、IGNがEAに対して人員削減の影響を受ける正確な人数について確認したところ、同社は回答を控えたという。

「ブラックパンサー」はマーベル・コミック作品のキャラクター。マーベル・スタジオでは複数の映画に登場し、その後2023年7月に、EA傘下の新スタジオであるCliffhanger Gamesによってゲームが開発されることが発表された。同作はシングルプレイ向けの3人称視点アクションアドベンチャーゲームであることが明かされていた。
なお同作が開発中止となったことにともない、Cliffhanger Gamesは閉鎖されるとのこと。Cliffhanger Gamesは元Monolith ProductionsのKevin Stephens氏がVice President(VP)兼ゼネラルマネージャーとして率いていた。そのほか開発スタッフには『Call of Duty』『God of War』『Halo Infinite』に携わった人員もいるなど、業界のベテランが多く揃っていた(関連記事)。
またMiele氏のメールには、今後『Battlefield』『ザ・シムズ』『skate.』『Apex Legends』などの少数のシリーズに注力していくとの方針が記されているという。一方で、Motiveが開発する「アイアンマン」のゲームとRespawn Entertainmentが開発する『STAR WARS ジェダイ』シリーズの第3作への投資は継続されるとのこと。さらに、同じく傘下のBiowareが手がける『Mass Effect』の次作の開発も続けられるそうだ。
今回、IGNの取材に対しEAは声明を発表。マーベルとのパートナーシップは依然として強固であり、複数のタイトルでの長期的な協力関係が続いていくとしている。なお、EAとマーベルの契約は、「アイアンマン」「ブラックパンサー」のゲームに続く未発表の3作目を含んだものだと報じられていた。そのため「ブラックパンサー」のゲームが開発中止になったとはいえ、まだ提携はおこなわれるのだろう。Miele氏は「アイアンマン」のゲームを継続して開発していく意向を示しており、マーベル・コミック作品のゲーム化については今後も注目される。

ところで、EAは4月末にも300人から400人におよぶ大規模な人員削減を実施している。特に同社の傘下スタジオであるRespawn Entertainmentは大きな影響を受け、初期段階の2つのプロジェクトが中止されたという。中止されたプロジェクトの1つは『Titanfall』シリーズの新作と見られている(関連記事)。このたび中止が報じられた「ブラックパンサー」についても、選択と集中の結果とはいえ、リリースを期待していたユーザーからは落胆の声も聞かれそうだ。現時点ではEAおよびCliffhanger Gamesからの公式な声明は発表されておらず、続報を待ちたい。
【UPDATE 2025/5/29 12:05】
ブラックパンサーの記述について調整