世界最悪のクソゲーと称された『Big Rigs: Over the Road Racing』Steam版、まさかの「好評率約80%」。ただし“最悪さ”は当時のまま

Margarite Entertainmentは4月8日、Stellar Stoneが手がけた『Big Rigs: Over the Road Racing』をSteam向けにリリース。本作は「世界最悪のクソゲー」とも評された一作だが、なぜか好評が集まっている。なお特にゲーム内容は改善されていない。

パブリッシャーのMargarite Entertainmentは4月8日、Stellar Stoneが手がけた『Big Rigs: Over the Road Racing』(以下、Big Rigs)をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応していないが、ゲームのほとんどの場面で言語は必要ないため、問題なくプレイ可能だと思われる。

『Big Rigs』は、パトカーからの追跡を振り切って他のトラックよりも早く荷物を運ぶという設定のレースゲームである。2003年にPC(Windows)向けにリリースされ、ゲームのレビューサイトGameSpotでは10点中1点、Metacriticでのメタスコアは100点中8点と、圧倒的な低スコアを記録したことで知られており、ついたあだ名は「世界最悪のクソゲー」である。その品質の低さを象徴するかのような、画面にでかでかと表示される文法ミスを含むフレーズ「YOU’RE WINNER!」はネットミームとして世界中に広がっていった。

『Big Rigs』はレースゲームではあるが、ほとんどその体を成していない。対戦相手となるCPUのトラックが1台存在しているが、ゴール手前で静止するため必ずプレイヤーが勝利するようになっている。また、建物や橋などの構造物のほとんどには当たり判定がないため、すり抜けてしまう。対戦相手のトラックにさえ当たり判定は存在していない。さらに、前進時には設けられている速度制限がバック走行時には設定されていない。そのため後退するときに限り、ほとんど無限に加速することが可能だ。

今回あらためてリリースされた『Big Rigs』は、2003年にリリースされたものとほぼ同じだという。上記のものも含め、数々の動画などで紹介された奇怪な現象をすべてそのまま体験することができる。ゲーム本体と同時リリースの無料DLC「YOU’RE WINNER」を導入すれば、「Bonus content」として建物などに当たり判定が追加された新モードを遊べるほか、4つの車と4つのバイクの計8種の追加車両を選択可能となる。「leaderboard」ではタイムを他プレイヤーと競い合うことも可能。初リリースから約22年の時を経て、ゲームプレイに“深み”が生まれたかたちだ。

そんな本作のSteamユーザーレビューは本稿執筆時点で147件、驚くべきことにそのうち78%が好評とする「やや好評」のステータスを獲得している。しかし、これはほとんどゲームとしての評価ではない。高評価のほとんどは、動画や噂でしか確認できなかった「世界最悪のクソゲー」を実際に味わうことができることそのものを評価している格好となっている。つまりゲームの出来が良いと評価されているわけではなく、本作のはちゃめちゃさを面白がって好評を投じているものと思われる。

なお不評とするレビューの中には、パブリッシャーそのものや権利関係の怪しさを疑うものもある。ストアページに数多く並んでいる実績についても、ダウンロードするだけで達成できるようで、ゲームプレイとは何の関係もないようだ。価格も、到底ゲームの品質に見合うものではない。とはいえネットミームとなったことで中古市場では数十ドルもするプレミア価格となっていた作品である。今回の再リリースで手頃な価格で体験できるようになったため、自分で味わってみたい場合には手に取ってみるのも良いかもしれない。

『Big Rigs: Over the Road Racing』はPC(Steam)向けに配信中。現在はリリース記念セールを開催中で、定価の20%オフの税込784円で購入可能だ。また、同時リリースのDLC「YOU’RE WINNER」は無料でダウンロードすることができる。

Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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