15年後、ビデオゲームはオリンピック競技となるか?欧州賭博サイトで賭け始まる。『Hearthstone』は99倍、『CS:GO』は49倍


15年後の2030年には、第26回となる冬季オリンピックが開催予定である。この冬季オリンピックにて、「ビデオゲーム」が種目として登場するかという賭けが、欧州でスポーツ賭博やポーカーなどを取り扱う最大手「Betway」にてスタートした。賭けはゲーム毎に行う仕組みで、オッズは『Hearthstone』が99倍、『Dota 2』が79倍と続く。

欧州でe-Sports賭博が本格始動

Betwayはすでにe-Sportsの賭博セクションを開設しており、サッカーやテニス、クリケットやゴルフの試合に賭けるのと同様に、『League of Legends』や『Dota 2』、『StarCraft II』のトーナメント大会などにお金を賭けることができる。単純な勝敗だけでなく、たとえば世界最大のe-Sports団体「ESL」の『CS:GO』英国トーナメント大会では、全マップが16-0で決着するかにどうか賭けることすら可能で、的中すると20倍のオッズで配当金を得ることができる。

今回発表された2030年の冬季オリンピックにおける賭けでは、『Hearthstone』が99倍、『Dota 2』が79倍、『Counter-Strike: Global Offensive』が49倍となっている。『World of Tanks』は499倍の大穴。

現実味が感じられない賭けに見えるかもしれないが、Betway側はそうは思っていないようだ。今回の一件を報じた海外メディアEurogamerに対し、Betwayは「オリンピック競技になるには、その競技が40か国以上および3大陸以上で幅広くプレイされている必要がある、とオリンピック憲章に記されています。『Hearthstone』はどちらの項目も満たすでしょう」とコメントしている。「『Hearthstone』が2030年冬季オリンピックの一部になるというのは、あながち不可能だとは思いません。実際に99倍のオッズは、おそらくかなり気前がいいと言えるでしょう」。

参考記事: オリンピック競技にビデオゲーム採用すべき 元Blizzardの『World of Warcraft』開発者が語る

昨年12月、Blizzard Entertainmentの元開発者Rob Pardo氏が「オリンピック競技にビデオゲームを採用すべき」と発言したのは記憶に新しい。長い歴史を持つ「チェス」などのマインドスポーツすらオリンピック競技とはまだなっていないが、Pardo氏はe-Sportsの方がより視覚的であることを長所として挙げていた。

e-Sportsがすでに巨大な市場とコミュニティを築いているのは言うまでもない。『League of Legends』では優勝賞金100万ドルの大会が毎年開催されており、月間のアクティブプレイヤー数は6700万人。同じくMOBAジャンルの『Dota 2』世界大会「The International」では、ユーザーによる観戦チケットなどの購入費の一部が賞金に上乗せされるシステムを採用している。2015年度は総賞金額は1800万ドル以上となり、優勝したチームEvil Geniusesには660万ドル以上が贈られた。ただe-Sportsが競技となるには、「e-Sportsはスポーツである」という世論に後押しされることは必須で、そもそも「どのビデオゲームを競技にするのか」といった問題が噴出することも予想される。

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なお今回のニュースには、e-Sportsの賭博が大々的にスタートしたという側面もあり、一部のユーザーにとってはそちらの方が大きいと言えるだろう。Betwayの言葉を借りれば、同社はe-Sportsの賭博をスタートさせた始めての主要なブックメーカー(賭け屋、いわゆるノミ屋)となった。お隣の韓国では八百長と共に問題視されてきたe-Sportsと賭博だが、Betwayはイギリスやイタリア、スペインやドイツなど賭博が合法化されている地域にてサービスを展開している。世界最大級のe-Sportsリーグ「Electronic Sports League(通称ESL)」のお膝元である欧州とエリアは重なり、今後一大ビジネスとして発展してゆくことを予感させる。


初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。