YouTube公式、『Balatro』の一部動画の“18禁指定”を撤回へ。意図せぬ年齢制限だったとして
YouTubeにおいて『Balatro』を扱った一部動画には年齢制限の措置がとられ、波紋を広げていた。一方でYouTubeの公式サポートアカウントは意図せぬ措置であったことを明かしている。

先日のGoogleのポリシー改定に伴ってか、YouTubeにおいて『Balatro』を扱った一部動画には年齢制限の措置がとられている。本作を手がけるLocalThunk氏はXへのポストでこのことに苦言を呈しており、ユーザー間で波紋が広がっていた。そんな中、YouTubeの公式サポートアカウントは4月8日、同氏のXポストに返答。『Balatro』のゲームプレイを扱った動画の年齢制限について、意図せぬ措置であったことを示した。
『Balatro』はトランプのポーカーを題材にしたデッキ構築型ローグライクゲームだ。Playstackが販売を担当し、開発はLocalThunk氏が手がけている。本作では基本的にデッキからカードを8枚引き、そこから最大5枚選択してポーカーの役を作る。そして150種類にも及ぶジョーカーカードなど、多種多様な効果を持つ特殊カードを活用し、カードの相乗効果で膨大なスコアを叩き出してノルマの達成を目指す。
『Balatro』の動画を投稿するYouTubeチャンネルBalatro Universityは4月5日、YouTube上で一部の動画が18禁指定の年齢制限を受けたことへの不満を動画で共有。同チャンネルに投稿された606本の動画のうち119本の動画が年齢制限を受けたほか、それに対する異議申し立ての大半が却下され、担当者とのやりとりの機会すら与えられなかったことを明かした。
この事態の背景と見られるのが、YouTubeにて3月19日におこなわれたポリシーの改定だ。改定により、かねてより設けられていたオンラインギャンブルサイトやアプリへの誘導禁止がさらに強化。そしてオンラインギャンブルの宣伝・描写などをおこなうコンテンツについては、「年齢制限のあるコンテンツ」に指定され、18歳未満の視聴が制限されることとなった。『Balatro』にはオンラインギャンブル的な要素はまったくないものの、ポーカーを題材としていることなどから、この影響を受けたものとみられる(関連記事)。
そしてこの報告動画の内容には『Balatro』を開発するLocalThunk氏もSNS上で言及。YouTubeの不透明な裁定に疑問を呈した。同氏はかねてより『Balatro』をギャンブル系のビジネスには絶対に転用させないと明言してきた人物だ(関連記事)。かねてより本作におけるポーカーはモチーフにすぎないことも伝えており、ギャンブルを奨励するような意図はまったくないのだろう。
そんな中、YouTubeのサポートチームの公式アカウントがLocalThunk氏のXでのポストに返信。『Balatro』のゲームプレイを扱った動画への年齢制限が、YouTube運営元の意図しない措置であったことを示した。また、該当する動画の年齢制限を見直すほか、プラットフォーム全体の再調査も実施していくとしている。
ちなみに『Balatro』といえばゲーム自体のレーティング審査でも“ギャンブルを想起させるかどうか”を巡ってたびたび耳目を集めてきた作品だ。過去には「18歳以上対象」にIARCレーティングが引き上げられたことで、コンソール版が一部地域で販売停止されたこともある。一方で現在は販売が再開されており、CEROでは「A:全年齢対象」、PEGIでは「12歳以上対象」と、レーティング審査機関によって審査結果が大きく異なる点も特徴であった(関連記事1、関連記事2)。

今回はYouTubeでもギャンブル風表現を巡って、本作の動画に一時的に年齢制限が設けられたのかもしれない。YouTubeでは各種判断にアルゴリズムを用いた自動化も多く取り入れられているとみられるが、今回の動画に発生した年齢制限は、そうしたアルゴリズムの不具合だったということなのか、はたまた批判を受けて『Balatro』をギャンブル関連コンテンツとみなす姿勢を撤廃したのかは不明だ。いずれにせよYouTube公式よりそうした判断が誤りであったことが伝えられており、現状年齢制限を受けた一部の動画も、今後制限が撤廃されていくのだろう。『Balatro』のギャンブル風表現を巡っては各プラットフォームが異なる見解を出しており、興味深いところかもしれない。
『Balatro』はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けに配信中。Nintendo Switch/PS5向けにはパッケージ版も販売されている。