Electronic Arts(EA)は10月31日、『Apex Legends』において、Linux、そしてLinuxを利用するSteam Deckのサポートを打ち切ることを発表した。このことにより、WindowsがインストールされていないSteam Deckや、Linuxを搭載したマシンで『Apex Legends』をプレイすることは不可能になる。
『Apex Legends』は、EA傘下のRespawn Entertainmentが手がけるオンラインFPSだ。基本モードとなる3人部隊のバトルロイヤルでは、20部隊総勢60人のプレイヤーがチャンピオンを目指してしのぎを削る。プレイヤーキャラとして、個性豊かで性能の大きく違うレジェンドたちが登場する点が特徴。
FPSなど対人の試合をベースとしたゲームでは、たびたびチートによる不正などがおこなわれることがある。『Apex Legends』においては、EAはアンチチートソフトとして、Easy Anti-Cheatを導入している。またEAは今年8月に公開したチート対策の最新情報のなかで、2019年のリリース以来、600万件以上のアカウントを停止し、毎月平均10万件以上のアカウントを停止していることを発表した。
しかしながら本作におけるチート行為の根絶には至っておらず、現在でも多くのチート行為が報告されている模様。EAによれば、今後もアカウントの停止件数が増え続けると予測しているようで、新ツールや新テクノロジーの導入もおこなっているという。
今回発表された、Linuxから『Apex Legends』へのアクセス禁止措置は、こうしたチート対策の一環としておこなわれるようだ。Dev Team Updateでは、影響の大きいさまざまなエクスプロイトやチートがLinux由来のアクセスであると確認したと明かされている。また正規のSteam Deckと、Steam Deckからアクセスしているように見せかけるチートの区別が難しい、とも述べられている。
こうした事情もあってか、Linuxからのアクセスそのものを禁止する対応に踏み切ったようだ。EAが述べたところでは、Linuxユーザーの中には普通に遊んでいるプレイヤーもいるものの、チートなどが検出される割合が多く、『Apex Legends』のプレイヤーの総人口との比率を天秤にかけ決断せざるを得なかったとしている。EAによれば、少数でも有意にLinuxユーザーからのチート行為が多かった、という見立てだ。
この措置により、Linuxを利用しているユーザーはただちに(immediately)『Apex Legends』をプレイできなくなるとしている。そのほかSteam Deckでは「SteamOS」と呼ばれるLinuxOSがデフォルトとなっている。このOSはArch LinuxというLinuxディストリビューションをベースとしているため、今後Steam Deckなどで本作を遊びたい場合には、Windowsのインストールが必要となる。
チート行為は『Apex Legends』に限った現象ではないものの、本作は長らくチートに悩まされており、対策のひとつとして、“OS締め出し”という思い切った施策がおこなわれるかたち。今回の対応によってチートの報告・検出の件数がどの程度減少するのかといった結果を含め、今後の動向を注視したいところだ。
『Apex Legends』では現在シーズン22「ショックウェーブ」が開催中だ。
【UPDATE 2024/11/1 14:05】
SteamOSに関する記載を修正