高評価ゲーム『ダレカレ』、アプデで起動時に「警告文」追加。「心に余裕があるときにプレイしてほしい」との配慮案内

高い評価を受けるインタラクティブノベルゲーム『ダレカレ』に、起動時の「警告文」が追加された。開発者がその背景を明かしている。

講談社ゲームクリエイターズラボは9月10日、『ダレカレ』PC(Steam)版に向けてアップデートを実施した。起動時に「警告文」が追加されている。Nintendo Switch版に向けても後日反映される見込み。

『ダレカレ』は、人の認識の「歪み」を体験するインタラクティブノベルだ。さまざまなギミックにふれながら、物語を進めていく。全3章形式で、1時間でクリア可能とされている。

本作の物語は、女の子が朝起きるところから始まる。普段ならリビングでお父さんが仕事の準備をしているはずだが、そこにいるのは知らないおじさん。女の子はお父さんを探すが、何かがおかしい。女の子視点で異変について探っていく。

本作は7月24日に発売され、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で478件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを得ている。600円と手ごろな値段であり、ネタバレなしでのプレイを推奨する口コミも広がっている。

一方で今回、そんな本作のストアページと、起動時の画面に「警告文」が追加されることになった。警告文の内容としては、本作がフィクションではあるものの、現実を思い起こさせるような表現を含んでおり、人によっては心に重く感じられることがあるという注意喚起だ。安心できる環境で、心に余裕のあるときにプレイするように推奨されており、プレイ中に心がつらくなった場合には無理をせず中断するようにと記載されている。

本作の開発者であるyona氏は自身のnoteにて、ネタバレを含む記事として警告文を追加した背景を説明している。以下、本稿にも作中のネタバレを含むため留意されたい。

 










yona氏はまず、本作に好評が寄せられたことへの感謝を報告。一方で、本作の物語が「病気」をテーマとしていることに対して、「突然見たくもない重い内容をぶつけられた」といった反応も寄せられていたそうだ。同氏はそうした意見を受け止め、考えが至らなかったとして謝罪を綴っている。

本作の真なる主人公は認知症を患う年配の女性だ。認知症によって認識や記憶が不安定になった主人公の目線から、彼女の混乱と夫の苦悩を描き出している。

とはいえ本作では、主人公が認知症であることは明言されない。ゲームプレイを通して、次第にプレイヤーが気づくような演出が散りばめられているかたちだ。ゲームの当初から不穏さは示唆されているものの、温かな雰囲気のアートワークなどから別の展開を期待したうえで重いテーマを知り、心を痛ませたユーザーもいるのだろう。

yona氏はそうした声を受け止めつつも、病気と介護を扱った内容であることを最初に明かしてしまうのは、作品の意図とは異なるとも説明。パブリッシャーと相談の上、ネタバレのない警告として、今回の警告文表示が決定されたそうだ。また同氏は、改めて極力メンタルが優れているときにプレイしてほしいと伝えている。

なおnoteの記事でyona氏は、親族が難病を抱えていたという同氏自身の体験が本作の制作の背景にあったことを伝えている。そうして生み出された描写のリアリティも評価を受けている一方で、今回は重いテーマに触れる前に心の準備ができるような警告文も設けられたのだろう。ネタバレのない範囲で慎重に検討されたこともうかがえ、事前情報なしでのプレイ体験も尊重しつつ、幅広いユーザーに配慮する珍しい対応となっている。

このほかyona氏のnoteの記事では本作の制作の意図やユーザー反応を受けた感想なども綴られている。本作をプレイした人はチェックしておくといいだろう。

『ダレカレ』は、PC(Steam)/Nintendo Switch向けに発売中だ。販売価格は税込600円となっている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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