【UPDATE】もうひとつの「GTA Online」を作ろうとした『GTAV』のMod制作者たちがBANされる

『Grand Theft Auto V』のマルチプレイヤーMod「FiveM」を制作していた海外のMod制作者たちは、自身らがRockstar Social ClubからBANされたと報告した。

【UPDATE 2015/8/12 11:15】 Rockstar Gamesは複数の海外メディアに対して公式声明を発表した。今回問題となったマルチプレイヤーMod「FiveM」は、海賊行為を助長するコードが含まれていたため、規約に抵触したとの見解を示している。(via VG247

「FiveM」プロジェクトは海賊行為を助長するようデザインされたコードを含む非認可の別マルチプレイヤーサービスです。我々のサービス利用に関するかような規約違反へのポリシーは明白であり、関係者のSocial Clubアカウントは停止されました」

 

『Grand Theft Auto V』(以下、GTAV)のマルチプレイヤーMod「FiveM」を制作していた海外のMod制作者たちは、自身らがRockstar Social ClubからBANされたと報告した。関係者たちはRockstarが自身らを狙い撃ちでBANにしたと主張しており、KotakuPC Gamerなど多数の海外メディアがニュースとして報じている状況だ。いったい彼らとRockstarのあいだに何が起きたのだろうか。

もうひとつの「GTA Online」

「FiveM」は、「GTA Online」とは完全に分離したマルチプレイヤーモードを制作するModプロジェクトだ。Rockstar Gamesは『GTAV』にてシングルプレイヤーModを使用することを容認しているが、一方でオンラインマルチプレイヤーモードにあたる「GTA Online」での使用は許可していない。「FiveM」は、“ならば独自のマルチプレイヤーモードを作り、そこでModを使用できるようにしよう”という内容のプロジェクトである。「FiveM」を導入すれば、プレイヤーたちは『GTA Online』から完全に独立したサーバー上で遊ぶことができ、カスタムマップや独自のゲームモードをプレイできるようになる。

「FiveM」は数か月前からプレリリース版が公開されており、まだテスト段階ではあったものの実際にプレイできる状態だったようだ。海外メディアEurogamerは、「FiveM」では『GTA: Vice City』や『GTA: London』の基本マップが使用され、『GTAV』のエンジン上で動作していたと報告している。

「FiveM」のサブレディットのモデレーターQaisjp氏は、「FiveM」を制作していたNTAuthority氏や制作をサポートしていたTheDeadlyDtchi氏と共に、先週にもRockstar Social ClubからBANされたと海外フォーラムRedditにて報告した。3人にRockstarから自動送信メッセージが送られ、ほぼ同時刻にBANされたことが告げられたという。Rockstar Social ClubからBANされた場合、ひも付けされている『GTAV』や『Max Payne 3』といったタイトルはプレイすることができなくなる。

Qajsjp氏はこの件について怒りをあらわにしつつRedditへと書き込んでいる。まず「FiveM」は『GTAV』のシングルプレイヤーモードにおけるコードしか使用しておらず、『GTA Online』とは完全に分離されたプロジェクトだったという。RockstarはシングルプレイヤーModは容認し、「GTA Online」に影響を与えるようなModは規制する姿勢だが、「FiveM」は後者に該当しないというのがQajsjp氏の主張だ。

またQajsjp氏は、今回のBANは「FiveM」の使用者たちではなく、”「FiveM」の制作者”たちだけが立て続けにBANされた点も指摘している。つまりRockstarがもう1つの「GTA Online」を作ろうとしていたQajsjp氏らを、意図的にBANしたのではないかと考えたわけである。Qajsjp氏は、「良いニュースがある、RockstarはどうやらシングルプレイヤーModをただ使用しただけでみんなをBANはしないようだ。悪いニュースだ、RockstarはModコミュニティの息の根を止めようとしている」とコメントしている。

BANの理由は

過去には『Just Cause II』にてMod制作者がマルチプレイヤーモードを独自に制作したという例があるが、『GTAV』には「GTA Online」がそもそも存在しており、同じ例えとはならないだろう。非公式の「FiveM」Modが存在すれば、「GTA Online」からユーザーがそちらへと流れてしまう可能性は十分に考えられる。また、「GTA Online」では「GTAマネー」をリアルマネーで購入できるマイクロトランザクションモデルも存在している。そうやって手に入れたコンテンツが、非公式サーバーではModとして無料で使用できる可能性もあり、Rockstarからすれば「FiveM」は素直に容認できる存在ではないはずだ。

もちろん、今回本当にRockstarが「FiveM」の制作者たちを狙い撃ちにしたのかはまた別問題であり、Qajsjp氏らが気づかぬうちになんらかの形で同時に規約違反を犯し、たまたま同時にBANされていた可能性も捨てきれない。現時点でRockstarは公式声明などを出しておらず、今後の続報が待たれる。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

記事本文: 1728