謎の「哲学的オペラ」ゲーム『ALL ADRIFT』正式発表。苦境でも創作を続けてきたクリエイターによる、“失くしてしまったかもしれない希望”にまつわる物語

Vittgenは11月29日、『ALL ADRIFT』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、2026年にリリース予定。

韓国のプロダクションスタジオVittgenは11月29日、『ALL ADRIFT』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、2027年にリリース予定。日本語字幕にも対応予定となっている。発表にあわせて、Steamのストアページや動画が公開されている。

『ALL ADRIFT』は、人間が消えぬ罪の記憶の中でいかに生き延びるかを問う、一篇の「哲学的オペラ」とされるシミュレーション・アドベンチャーゲームだ。本作のメインキャラクターであるシアン・ライトチェイサーは、永遠に生きる呪われた種族の生存者。シアンはアルウィン帝国に捕まり、宇宙の歴史を手術することを強いられていた。

本作で彼女は、停戦交渉から四世紀を経ても膠着し続ける、終わりゆく戦争の宇宙を漂う。アルウィンの永遠の権威と支配層の神格化のため、宗教を想像する職責に縛られ、被害者かつ加担者として宇宙の歴史を上塗りする。文学的テキストと絵画的なグラフィック、クラシックと現代音楽によって、宇宙規模の耽美的な大叙事詩が繰り広げられる。

プレイヤーは、シアンの運命を辿っていく。ストアページによると、シアンは己の民族を虐殺した者たちのため、アルウィン教を創り上げるべく幾多の宇宙へ派遣された存在なのだという。彼女は不可解な宇宙の万物や歴史に直面。諸惑星の過去と現在を変えていく中で、罪悪感とアイロニーを探求するそうだ。物語中心のアドベンチャーゲームとして、哲学的なストーリーが展開されるのだろう。

本作は、Bae Sang Hyun氏による韓国のプロダクションスタジオVittgenが手がけている。過去作としては、ゲームを解体して革命するとともに、ゲームが偉大な芸術であると証明しようとする作品『Chasing Light』をリリース。記事執筆時点では、Steamのユーザーレビュー223件中86%の好評を得てステータス「非常に好評」を獲得している。同作ではディレクターである開発者の視点から表現された問いかけを含むストーリーやシュールなグラフィックなどが展開されていた。

本作『ALL ADRIFT』は、Bae Sang Hyun氏による5年ぶりの新作となる。Steam上にて公開されてきた情報によれば、同氏は『Chasing Light』のリリース後、ずっとゲームを作り続けていたという。しかし前作が収益面であまり良い結果を残せず、開発資金の調達失敗などもあり、5年間で7つのプロジェクトが頓挫。大切にしていたゲームや本を売りながら創作を続けてきたとのこと。本作では失くしてしまったかもしれない希望について、また正面から向き合えなかった感情について、前作以上にずっと強烈で感動的な体験が届けられる。

制作にあたっては、Bae Sang Hyun氏がプロデューサー/監督/脚本/ゲームデザインディレクター/アートディレクター/音楽プロデューサーを担当。Woo Gi Hun氏がゲームデザインおよびプログラム、Park Na Hyun氏がコンポーザーを務めている。なお8月時点で物語は出来上がっているそうだ。

『ALL ADRIFT』は、PC(Steam)向けに2027年リリース予定だ。また本作関連では、韓国向けにクラウドファンディングもおこなわれているようだ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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