研究施設サバイバル『Abiotic Factor』、売上60万本突破していた。販売元は「“メディアに頼らない”集中アピール戦略で売上伸ばした」と手ごたえ明かす
パブリッシャーのPlaystackは8月7日、Deep Field Gamesが手がけるサバイバルクラフトゲーム『Abiotic Factor』の売り上げが60万本に達したと発表した。本作はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。ゲーム内は日本語表示に対応している。
本作は今年5月3日に早期アクセス配信が開始され、わずか10日ほどで売り上げ25万本を突破。それから約3か月経ち、今回60万本にまで到達した。この好調な売れ行きの背景について、開発者向けメディアGameDiscoverCoが報じている。
『Abiotic Factor』は、1990年代SF風の世界観をもつサバイバルクラフトゲームだ。ソロプレイおよび最大6人でのオンライン協力プレイに対応。科学実験の失敗に端を発して、超自然生物が異次元からポータルを介して現れ、またオーダーと呼ばれる秘密軍事組織などの敵が侵入した地下施設を舞台に、取り残された研究所職員であるプレイヤーは、そうした脅威に立ち向かいながら、施設からの脱出を目指す。
プレイヤーキャラクターには、それぞれ特徴の異なる複数のクラスから選択可能。施設内を探索し資源を集めて、武器・防具などの装備品やツール類、あるいは乗り物や拠点を作ってサバイバルする。また、空腹度や喉の渇き、体温などのほか、睡眠や排泄欲といったステータスの管理も求められる。キャラクターは、獲得したポイントを割り振って追加的な特性を習得させることが可能だ。
本作は、PC(Steam)向けに今年5月3日に早期アクセス配信が開始。本稿執筆時点で、Steamユーザーレビューには約1万件が投じられ、その内の96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。キャラクタービルドやクラフトなどにおける選択肢の豊富さや、まだ開発途上ながらすでに完成度が高いことなどで高評価を得ている。
リリースから約3か月で売り上げ60万本を達成した本作の好調ぶりに関して、開発者向けメディアGameDiscoverCoの取材を受けた開発元Deep Field GamesのデザインディレクターGeoff Keene氏は、他作品からの影響を隠していないことに言及している。
たとえば、相互接続されたルートや予想外なショートカットなどが存在するレベルデザインはソウルライクジャンル作品から、キャラクターのフィーリングは『Project Zomboid』、協力プレイ面は『Sven Co-op』や『Halo』、そしてソーシャル要素は『Lethal Company』や『Valheim』から影響を受けているという。また、アートスタイルについて同メディアは『Half-Life』を彷彿とさせると指摘し、Keene氏もこれに同意している。人気作の良いところを上手く取り入れていることは、Steamユーザーレビューでも評価されているポイントだ。
ただ、販売元PlaystackのマーケティングマネージャーShawn Cotter氏によると、リリース前に大きなイベントで公開した本作のトレイラーへの反応は薄く、当時はメディアからもあまり興味を示されなかったという。そこで、プレイテストの実施などを通じて、直接ゲーマーに本作を試してもらう機会を作ったそうだ。
この際には、『Lethal Company』や『Content Warning』のプレイ経験があるインフルエンサーを招待したり、段階的にコンテンツを追加したりなど、適切な人気配信者により長くプレイしてもらうための施策を打ったとのこと。そこに多くのマーケティング予算を割り当てたという。その結果、本作はTwitchにて視聴数上位に食い込むことに。そうしたマーケティングも、本作の成功に大きく寄与しているはず。また、事前にたくさんプレイしてもらえたことは、開発への良いフィードバックにもつながったとCotter氏は述べている。
ちなみに、本作の国別のプレイヤー数において、現在日本は全体の4%にあたることも明かされている。1位は米国(38%)、2位は中国(21%)で、次いで英国・カナダ・ロシア・日本が4%で並んでいるそうだ。以下、ドイツ(3%)、オーストラリア(3%)という順になっている。
『Abiotic Factor』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中。この夏には、新たなエリアや敵キャラクター、資源、アイテムなど、さまざまなコンテンツを追加する大型アップデート「Crush Depth」の配信が予定されている。