滅亡間近の星々から資源をかっ払うアナーキーな高難度2Dアクション『RunGunJumpGun』のモバイル版が登場

横スクロール型の2Dガン&プラットフォームアクション『RunGunJumpGun』のモバイル版が11月10日にリリースされた。iOS版は360円、Android版は340円で発売中だ。

横スクロール型の2Dガン&プラットフォームアクション『RunGunJumpGun』のモバイル版が11月10日にリリースされた。iOS版は360円、Android版は340円で発売中だ。開発を担当したのはカナダの3人組デベロッパーのThirtyThree。今回発売されたモバイル版は、2016年9月にPC(Steam)向けに発売された同タイトルをiOS/Android向けに移植したものとなっている。

『RunGunJumpGun』は鋭い反射神経と集中力を問われる完成度の高い2Dアクションゲームだ。クレイジーなキャラクターと『Hotline Miami』から影響を受けたであろうサウンドトラックが良いスパイスとなっている。左右の指の操作だけに集中させるシンプルなゲーム性と、トリッピーでカラフルなビジュアルは、プレイヤーをトランス状態へと誘う。

本作の舞台となるのは、膨張しはじめた太陽が星々を飲み込みつつある太陽系Extax。破滅のときが刻一刻とせまり、Extaxの住民たちはパニックに陥っている。プレイヤーはこの混沌の中で、Extaxのエネルギー源である「アトミクス」を集めるジャンク屋として星々を駆け回っていく。彼らの言葉から察するに、エネルギー源の「アトミクス」こそが太陽の暴走を止めるカギとなるようだが、はたしてExtax、そしてジャンク屋の運命やいかに。

各ステージの合間にはクレイジーな住民たちとの会話シーンが挟まれている。簡潔かつインパクトのあるセリフの数々はステージクリアのご褒美だ。
各ステージの合間にはクレイジーな住民たちとの会話シーンが挟まれている。簡潔かつインパクトのあるセリフの数々はステージクリアのご褒美だ。

プレイヤーはジャンク屋が持つガトリングガンのような武器を操ることで障害を乗り越えていく。各ステージは自動スクロール制であり、ジャンク屋は左から右へと自動的に移動していく。銃を真下に撃つとジャンク屋は反動で宙に浮き、銃を前方に発射すると障害物を排除することが可能だ。真下撃ちによる飛翔には、浮上しすぎず落ちすぎずのバランスを取る『Flappy Bird』のような繊細な操作が求められる。操作はこの2つだけで、モバイル版では画面左側をタップすると真下撃ち、画面右側をタップすると前方撃ちする仕様だ。画面タップ操作という性質上、PC版よりはジャンク屋を細やかに操るのが難しいが、レスポンスは良いので操作から生まれるストレスは少ないだろう。

本作にはギミックの異なる3つの星が用意されており、それぞれ40ステージの合計120ステージから成り立っている。各ステージに10個前後配置されている「アトミクス」をすべて集めると、さらにボーナスステージが解放される仕組みだ。

各ステージではトゲ床、回転ノコギリ、バーナー、戦闘機、タレットからの砲撃などがプレイヤーの行く手を阻み、どれに当たっても一撃死。倒れるとステージの始めからやり直しとなる。トライアル&エラーが基本となり、何度も死ぬことになるが、リトライ時の待ち時間はほとんどない。1つのステージは数十秒で終わるコンパクトなつくりで、スキマ時間を埋めるモバイルゲームに合った設計だ。どのステージもレベルデザインが卓逸しており、歯ごたえはあるが理不尽さは感じさせないよう、テストと調整にかなりの時間を費やしたと思われる。中毒性もバツグンで、スキマ時間どころかあと一回だけと繰り返すうちに時間が過ぎていくだろう。

死亡すると時間を巻き戻すような形でスタート地点に戻っていく
死亡すると時間を巻き戻すような形でスタート地点に戻っていく

チュートリアルとなる序盤のステージは優しい作りになっているが、徐々に新しいギミックが追加されていき、カオスさが増していく。画面上端まで飛ぶと画面下端にワープする星、上下逆転操作がある星など、訪れる星によって異なる攻略手段が求められるため、最後までゲームプレイの新鮮さは失われない。新しい星は「アトミクス」を一定量集めるとアンロックされる仕様で、どうしてもクリアできないステージはスキップできる。この仕様のおかげで、どこかのステージの攻略に詰まったとしても挫折せずに済む。またステージ内の「アトミクス」をどこまで回収しにいくかで難易度が大きく変わる点も、カジュアル層からハードコア層まで幅広いプレイヤーに対応するデザインといえよう。

本作のリプレイバリューとしては、「アトミクス」をコンプリートする以外に、リーダーボードでスコアを競い合う「マラソンモード」がある。ひとつの星を通しでプレイし、回収した「アトミクス」の数と死亡回数でスコアが決まる。ハイスコアを狙うためには失敗が許されず、かなりの緊張感を味わえる。

『Hotline Miami』の影響が見られるサウンドトラックはアドレナリンの放出を誘い、400円で味わうには贅沢すぎるほどの出来栄えだ。Steamで販売されているサウンドトラックには40分以上の楽曲が収録されている。とくにヒップホップ色の強い「Aqueous Malicious」という楽曲は、ゲーム終盤でエスカレートしていく難易度に対して「やってやろうじゃないか」と思わせてくれる熱い一曲となっている。

300円台ながらすべての側面で完成度の高い『RunGunJumpGun』は、デベロッパーのThirtyThreeが影響を受けたというインディーズの高難度2Dアクション『Super Meat Boy』や『VVVVVV』と名を連ねてよい良作といえるだろう。現在モバイル版のリリースを記念して、Steam版が11月21日まで60%オフのキャンペーンを実施中。通常798円のところ319円で購入できる。サウンドトラック付きの『RunGunJumpGun Special Atomik Edition』も996円から517円に値引き中だ。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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