初心者でもわかりやすいスチームパンク囲碁『ファクトリ囲碁』が注目集める。周りを囲まれると大爆発、知的でスリリングな工場建設バトル

ひらじ氏は10月24日、『ファクトリ囲碁』をリリースした。itch.ioにて公開されており、ブラウザから無料でプレイすることができる。

デベロッパーのひらじ氏は10月24日、『ファクトリ囲碁』をリリースした。itch.ioにて公開されており、ブラウザから無料でプレイすることができる。

『ファクトリ囲碁』は、碁石を置く代わりに工場を建設するスチームパンク風のボードゲームである。プレイヤーは黒または白の工場を建設し、相手よりも多くの工場を建設することを目指す。ただし、工場には「排気口」があり、すべての排気口を塞がれてしまった工場は内圧を逃がすことができずに大爆発を起こしてしまう。自分の工場同士はつながって排気口を共有できるので、うまく工場をつなげて排気口を確保するのが重要となる。シンプルながらも奥深い対戦型のボードゲームだ。

本作のルールは基本的には囲碁と同様だが、日本で一般的に打たれている囲碁とは違い、「地(じ)」ではなく石の数を競うかたちになっている。地とは自分の石で囲んだ陣地のことだが、囲碁に馴染みのない人にはやや理解しにくい概念でもある。そこで、本作ではわかりやすさのために置いた石の数同士を競うわけだ。いわゆる中国式のルールで、先手と後手が公平になるように設定されるハンデ「コミ」は7.5目となっている。

ほかにも本作にはルールをわかりやすくする工夫が凝らされている。たとえば、黒と白それぞれの工場の排気口は少しだけ明滅する光を放っている。あと1つ排気口を塞がれると爆発してしまう場合には、光の明滅が激しいものに変化し、工場が危機的な状況にあるとプレイヤーに教えてくれるのだ。

また、囲碁には自分の石で完全に囲まれた陣地「眼(め)」を2箇所作ることで、相手に絶対に石を取られなくなる「二眼(にがん)」という形が存在する。この概念を本作では「大型工場」と表現。自分の工場で完全に囲まれた場所が2箇所できると煙突が作られ、大型の工場に変貌を遂げるのだ。大型工場になれば他の場所をどれだけ囲まれようとも排気口を塞がれることはない。

本作は10月21日にコード管理サービス「GitHub」が提供するホスティング機能を使って初公開された。公開を知らせるSNS上のポストは瞬く間に話題となり、本稿執筆時点で6000件以上のリポストと、1万4000件以上のいいねを獲得している。本作のルールは囲碁そのままだが、わかりやすいように「工場建設」という世界観や、排気口の光、排気口を塞がれてしまった工場の爆発する音など、さまざまな演出が加えられている。そうした工夫により、「わかりやすい」「初めて囲碁が理解できた」「爆発が爽快」と話題になっていたのだ。

その後、寄せられたフィードバックをもとに改善が加えられ、今回のリリースに至ったかたち。ひらじ氏のポストによれば、リリース後最初の日曜日となった10月25日には対戦モードであるランダムマッチが3702局、特定のコードを通じて対戦相手を招待できる招待戦が184局、CPU戦が1万1191局と、合計で1万5000局を超える対局がおこなわれたとのことだ。

ちなみに、本作が話題となっている背景には、兼ねてよりSNS上で意見が交わされてきた日本の囲碁プロ組織の財政問題がある。その一因として、囲碁の競技人口減少も影響していると考えられており、どうにかして新規プレイヤーを獲得することは囲碁界全体の課題となっている(読売新聞)。そこへ初心者でもわかりやすい工夫が凝らされた本作が登場し、話題となったかたち。本作が今後の囲碁普及につながる一手となるかどうかにも注目していきたい。

『ファクトリ囲碁』は、ブラウザから無料でプレイ可能だ。

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Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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