ある人気遊園地シムで「乗車時間が194クアットルセプトゥアギンティリオン年」のコースターが作られる。宇宙より長い“降りられない地獄”

『RollerCoaster Tycoon 2』にて、乗車時間があまりにも長すぎるコースターを作り上げたユーザーが現れ、注目を集めている。

RollerCoaster Tycoon 2』にて、あまりにも長すぎるコースターを作り上げたユーザーが現れ、注目を集めている。乗車時間は194クアットルセプトゥアギンティリオン年(約1.94×10の227乗年)におよぶといい、宇宙の年齢(約138億年、0が10個程度)と比べても、比較にならないほど桁外れの長さとなっているようだ。海外メディアDexertoなどが報じている。

『RollerCoaster Tycoon 2』は、Chris Sawyer Productionsが手がけ、Atariより展開されている遊園地経営シミュレーションゲームだ。オリジナル版は2002年10月15日に発売。さまざまなアトラクションや売店を設置しつつ、来園客の満足度や利益を管理しながら理想のテーマパークを作っていく作品である。現在は拡張コンテンツ込みの「Triple Thrill Pack」もPC(Steam)で配信されている。

今回話題となっているのは、本作のやり込みや検証動画で知られるYouTuberのMarcel Vos氏だ。同氏は4月上旬、「The Googol Coaster – Longest Ride in RollerCoaster Tycoon」と題した動画を公開。『RollerCoaster Tycoon 2』における“最長のコースター”を目指して作り上げた施設を披露している。

もっとも、単純にコースを長く敷けば達成できるわけではない。ゲーム内にはマップサイズや設置物の上限があるため、Vos氏はコースターそのものを延長するのではなく、ライドの発車条件や来園客の行動を利用して待ち時間を際限なく増幅させる仕組みを構築したという。あるライドが別のライドを待つ設定を連鎖させつつ、さらに来園客ごとの激しさ耐性や吐き気の感じやすさまで利用し、特定の客だけが次の段階を進めるよう誘導。そうした区画を100段階つなげることで、とてつもない所要時間を実現したそうだ。

Image Credit: Marcel Vos on YouTube

しかもこの仕組みは、ただ置けば動くようなものではなかったようだ。来園客は空腹になったり、疲れたり、不機嫌になって帰宅したりするため、そうした要素で計画が破綻しないよう、園内の食事や休憩、ライドの数値、さらには天候まで細かく調整する必要があったという。加えてVos氏は、オープンソースで再現されたOpenRCT2環境において、来園客の挙動が原作と一致しない問題も洗い出していたそうで、今回はそうした知見も活かされたとみられる。

そうして計算され尽くした設計により、来園客は決して帰宅せず、客ごとの好みに応じて同じライドを循環し続ける。そんなライドが数多く複合化された中で、194クアットルセプトゥアギンティリオン年もの乗車時間を強いられるのは“最終コースター”となるBob Slayの乗客たちだ。Bob Slayは、ほかの100を超えるライド群の動きに応じてごくわずかに進んでいき、途中の駅で降りられず、乗車駅に戻ってくるまで降車できない。さらにBob Slayは31編成あるため、乗客はほかの30本ぶんの出発も待たされる。この遊園地が生み出す“遅延の連鎖”をすべて受け止める設計になっているわけだ。結果として不運にもBob Slayに乗ってしまった客は、天文学的な時間をコースター上で過ごす羽目になる。

Vos氏は完成したコースターを“Googol Coaster”と呼んでおり、もはや遊園地のアトラクションというより、ゲーム内の仕様を使って巨大な数値を生み出すための装置に近い。なおVos氏は動画内で、かつてネットミームとして知られた「Mr. Bone’s Wild Ride」へのオマージュも仕込んでいると明かしている。途方もない時間を経てようやく終点が見えてきた乗客たちを待つのは、感動のゴールではない。なんと最後には列車がクラッシュするよう作られているそうだ。実に皮肉なブラックユーモアを備えた締めくくりといえるだろう。

Image Credit: Marcel Vos on YouTube

『RollerCoaster Tycoon 2』は20年以上前の作品ながら、こうした限界検証や珍妙な遊び方がいまなお生まれているようだ。自由度の高い設計と、シンプルながら奥深いシミュレーションがあったからこそ、常識外れの“194クアットルセプトゥアギンティリオン年コースター”なるものまで実現してしまったのだろう。なおMarcel Vos氏の動画は公開から数日で大きな注目を集めており、今後さらにこれを上回る奇妙な記録が現れるのかも気になるところだ。

『RollerCoaster Tycoon 2』はPC(Steam/GOG.comなど)向けに配信中だ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Motoharu Ono
Motoharu Ono

隠れた名作に目がない一方で、話題作にもすぐ手を伸ばすミーハー気質のゲーマー。『ゴースト・オブ・ツシマ』では本編よりもマルチプレイにハマり、アーマードコアの新作を心待ちにしている。

記事本文: 29