NVIDIAのボス、波紋広げるDLSS 5について「ゲーム開発者がちゃんと制御できる」と強調。“オンにすると別モノ級”技術デモ映像への反応にアンサー
DLSS 5発表時の技術デモ映像が波紋を広げる中、NVIDIAのCEOが海外メディアに向けて回答を寄せている。

NVIDIAは3月17日、超解像技術DLSS 5を発表し、2026年秋に提供開始すると告知した。あわせて紹介された技術デモ映像は元のグラフィックからの“変貌”ぶりが確認できる内容となっており、批判的な声も寄せられることに。そうした中でNVIDIAのCEOが海外メディアTom’s Hardwareの取材に回答し、各ゲームの開発者がアートスタイルに応じて調節可能であることを強調している。
DLSS(Deep Learning Super Sampling)とは、NVIDIAが提供するいわゆる超解像技術だ。低解像度でゲーム画面をレンダリングし、独自アルゴリズムによってアップスケールすることで、GPUの負荷を抑えながら高画質を得られるとされる。
今回発表されたDLSS 5ではリアルタイムのニューラルレンダリングモデルが導入され、写実的なライティングとマテリアル描写を実現。これまでハリウッド映画のVFXでのみ用いられていたような、新水準の写実的なCGを提供できるようにするとアピールされている。手作業で作り込まれたレンダリングと生成AI技術を融合させ、アーティストの創造的な表現のために制御可能性を保ちつつ視覚的なリアリズムを飛躍させることが可能とのこと。
そんなDLSS 5を『バイオハザード レクイエム』『ホグワーツ・レガシー』といった作品で用いた場合の技術デモ映像もお披露目。オリジナルのグラフィックからかなりの変貌ぶりであり、「生成AIによりオリジナルのアートスタイルを無視してグラフィックが変化しているのではないか」といった憶測と共に否定的な見方も多く寄せられることに。またそうした中ではDLSS 5のON・OFF時の比較を揶揄する画像投稿がネットミームのような様相となり、ゲーム業界の各社の公式Xアカウントも“便乗”する事態となった。
そうしたなかでNVIDIAのCEOであるJensen Huang氏が、Tom’s Hardwareの取材に回答している。批判が渦巻いている状況について訊かれた同氏は、「まず第一に、彼らは完全に間違っている(First of all, they’re completely wrong)」とコメント。DLSS 5はジオメトリやテクスチャなど、ゲームのあらゆる制御可能な要素に生成AIを融合する技術であり、さらに開発者は生成AIを細かく調整してアートスタイルを保つことができるという。
またHuang氏はDLSS 5について「フレーム単位のポストプロセスではなく、ジオメトリレベルの生成的制御」であるという点も強調。すでにレンダリングされた画像に対して上乗せするように適用される、ポストプロセスとは異なる技術というわけだ(関連記事)。NVIDIAの公式ニュース記事によると、物体の表面の構造やライティングといった複雑なシーンの意味情報を理解したうえでフレーム間で一貫性を保ちつつ、元のシーンの構造と意味を保持した映像を生成できると謳われている。

そのため開発者により制御可能であることもアピールされており、強度、カラーグレーディング、マスキングなどの詳細な調整が可能とのこと。各ゲームの固有のアートスタイルを維持するために、どこをどのように強化するかアーティストが決定できるようになっているという。Huang氏によればトゥーンシェーダーにしたり、あるいはゲーム全体を“ガラス製”にしたりすることも開発者次第とのこと。同氏はDLSS 5においてすべてはゲーム開発者が直接的に管理可能であり、一般的な生成AIとは大きく異なる“コンテンツ制御型の生成AI(content-control generative AI)”であると説明している。
DLSS 5を開発者が調節可能であることは先述したとおり公式ニュース記事でも説明されていたものの、今回は改めてHuang氏により強調されたかたち。一連の説明を見るに、披露されたNVIDIAによる技術デモ映像とは異なり、実際に各作品に実装されるにあたっては開発元がアートスタイルを保てるような調整が可能とみられる。オリジナルのグラフィックからの“変貌ぶり”はゲーマーコミュニティに衝撃を与えているもののあくまで技術デモ映像であり、各作品での実際の仕上がりは今年秋の提供開始に向けて明らかになっていくだろう。
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