メモリ品薄でゲーミングPCの価格が「1か月で3~5万円程度上昇」したとの調査報告。PCメーカーも“警告”する異例の事態、構成によっては30万円以上の値上げも

ゲーミングPC検索サイト「gg」を運営する合同会社気づけばは、ゲーミングPCの相場価格の動向をまとめたレポートを公開した。1か月で平均数万円の値上げが伝えられている。

ゲーミングPC検索サイト「gg」を運営する合同会社気づけばは1月12日、ゲーミングPCの2025年12月における相場価格の動向をまとめた月次レポートを公開した。それによれば、エントリー・ミドル・ハイエンドのそれぞれの価格帯において、1か月で相場価格が数万円規模で急上昇しているようだ。パーツ構成によっては30万円以上上昇したものもあり、世界的なメモリ不足の影響が深刻化している。

昨今ではAI分野での需要急増により、世界的なメモリの品薄も発生。先月3日には、DRAM(PCメモリモジュールの核となる半導体メモリ)製造にて大きなシェアを誇っていた半導体企業Micronが、AIデータセンター向け事業に注力するためコンシューマー向け事業から撤退すると発表(関連記事)。PCブランドのDell、ASUSも一部製品の価格改定をおこなうなど、各所に影響が及び始めていた(関連記事1関連記事2)。

今回のレポートは、ゲーミングPC検索サイト「gg」が提供する「ゲーミングPC相場チェックツール」での12月の価格変動をまとめたものだ。レポートでは、BTOメーカーのゲーミングPCについて、GPU性能を基準に「エントリー」「ミドル」「ハイエンド」の3クラスに分類し、それぞれの中央値を相場価格として算出している。なお、相場価格は各時点で在庫のあるモデルのみを対象としている。

レポートによれば、すべての価格帯で相場価格が大きく上昇しており、特に12月中旬に急激な変動が見られた。まず、RTX 5060やRX 9060 XTなどのGPUを含むエントリークラスでは、相場価格が12月1日時点の20万3345円から、31日時点には22万9905円へと上昇。約2万5000円の値上がりとなった。比較的手に入りやすいはずのエントリー帯でさえ、短期間で大きく上昇している。

2025年12月のエントリークラスBTOパソコンの相場推移

続いて、RTX 5070やRX 7800 XTといった人気GPUを含むミドルクラスでは、12月1日の26万9980円から、31日には32万4980円へと上昇。約5万5000円の値上がりと、3クラスの中で最も大きな上昇幅を記録した。

2025年12月のミドルクラスBTOパソコンの相場推移

ハイエンドクラスも例外ではない。RTX 5090やRTX 5070 Ti、RX 9070 XTなどを含む構成では、12月1日時点ですでに41万4800円と高額だった相場価格がさらに上昇。25日には一時約47万円に達し、31日時点でも44万8000円と、月初から約3万円の値上がりとなった。

2025年12月のハイエンドクラスBTOパソコンの相場推移

今回のレポートで特に注目されるのは、12月18日から21日にかけて、エントリーからハイエンドまで全クラスで相場価格が一斉に急上昇している点だ。この時期は、メモリ価格の高騰を背景にした“駆け込み需要”によって、複数のBTOメーカーで工場がひっ迫し、販売停止の報告が相次いでいた(関連記事)。特に12月10日には、マウスコンピューターがPC購入を検討しているユーザーに対し、「なるべく早めの購入」を勧める異例の注意喚起をおこなっていた。今回のデータは、そうした警告どおり、わずか10日ほどで市場価格が大きく変動した事実を裏付けるものといえる。

なお、レポートで算出されている相場価格は在庫のあるモデルが対象となっている。そのため、メーカーによる値上げだけでなく、比較的安価なモデルが売り切れ、高価格帯の構成が残ったことで相場が押し上げられた可能性もある点には留意が必要だ。

レポートでは、GPUとCPUの組み合わせごとに価格変動が大きかった構成も紹介されている。もっとも値上がり幅が大きかったのは、「RTX 5090」と「Ryzen 9 9950X」の組み合わせだ。「gg」に掲載されているメーカーのみの数値ではあるが、月初の相場が約80万円だったのに対し、月末には約112万円となり、1か月で約31万円の上昇となった。

Image Credit: MDL.make on Web

この値上げの理由には、DRAM不足から波及して、メモリ以外のパーツが高騰していることも挙げられる。たとえばSSDに関しては、SamsungがSSDに使われるNANDフラッシュの製造を縮小しDRAMに注力すると明らかにするなど、半導体メーカーがDRAMを優先する動きを見せ、在庫不足により価格が上昇しているという側面がある(PC Watch)。

またGPUについても同様で、NVIDIAは生産に必要なGDDR7メモリを確保できないという理由で、「GeForce RTX 50」シリーズの生産量を削減する予定であることが報じられている(ASCII.jp)。また、NVIDIAからはコンシューマー向け新型GPUも長期間発表されていない(関連記事)。こうした一般消費者向けPCパーツの全体的な供給不足に、日本特有の要因として円安による輸入コスト増も重なり、特にゲーミングPCの価格を押し上げていると考えられる。

ちなみに「gg」に掲載されているうちでは、値下がりした構成も存在する。もっとも変動幅が大きかったのは「RTX 5080」と「Core i9 14900KF」の組み合わせで、月初の約50万円から月末には約40万円へと、約10万円の値下がりを記録した。メモリ価格は考慮されていないものの、急騰が続く現在の市場環境においても、条件次第では「狙い目」となる構成があることがうかがえる。

いずれにせよ今回のレポートでは、以前から話題となっていたメモリ不足と、それに伴うゲーミングPCの高騰傾向が具体的な数字として可視化された。なお市場調査会社はメモリ不足がまだ続くと予想しており、供給が正常化するのは2027~2028年ごろとする声もある(JETRO)。少なくともあと1~2年は、PCゲーマーにとって逆風となる状況が続きそうだ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

記事本文: 339