『ポケモン』全作を“終末世界でも遊べるケース”を作った人あらわる。世界が終わってもポケモンは不滅

“世界の終末”に備えるという名目で、『ポケットモンスター』シリーズの本編作品をすべて厳重に保管するユーザーが現れ、海外で話題となっている。

“世界の終末”に備えるという名目で、『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)シリーズの本編作品をすべて厳重に保管するユーザーが現れ、海外で話題となっている。1メートルを超える巨大ケースに、ゲームソフトや本体、周辺機器、さらには電源確保手段まで詰め込まれたその姿は、単なるコレクションの域を超えた、異様なまでに徹底した「ゲーム保存」の一例として注目を集めている。

『ポケモン』は、1996年に『赤・緑』が発売されて以降、世代ごとに完全新作の本編作品が展開されてきたRPGシリーズだ。最新世代である第9世代の『スカーレット・バイオレット』に加え、リメイクやスピンオフも数多く展開されており、2025年3月時点でシリーズ累計出荷本数は4億8900万本以上に達している。また2025年10月には『Pokémon LEGENDS Z-A』が発売され、初週で売上580万本を記録した。

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』

海外掲示板Redditにて、こうした『ポケモン』シリーズの主要作品を「世界の終末に備えて保存している」と語るユーザーの投稿が注目を浴びている(TheGamer)。投稿者のAByteOfLogic氏は、「もし終末が訪れても、必ずポケモンを生き残らせる(If the apocalypse ever happens, I’ll make sure Pokémon survive)」と宣言。巨大なケースの中に整然と収められた『ポケモン』シリーズ作品の写真が添えられている。

使用されているケースは、カメラ機材や精密機器の輸送・保管に用いられることの多いPelican Products社製のハードケースだ。写真に写る品番から、Air Caseシリーズの1745サイズとみられ、公式情報によれば全長は約1.1メートル。防水・防塵・耐衝撃性能に加え、気圧調整弁まで備えた、堅牢な構造を持つ。外装にはAByteOfLogic氏によってかモンスターボールのマークがあしらわれており、『ポケモン』専用のケースと分かりやすい。

Image Credit: 株式会社エミック on Web

ケース内部には、1998年に海外で発売された『赤・青』をはじめ、各世代の本編作品、リメイク作『Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』、そして最新作『Pokémon LEGENDS Z-A』に至るまで、主要な『ポケモン』タイトルが一通り収められている。内部のウレタンフォームは、銃器保管用の緩衝材を製作する業者に特注したものだそうで、ソフト1本1本の形状に合わせてくり抜かれている。持ち運びや長期保存も想定したと思われる、貴重品並みの扱いだ。

これらのソフトはいずれも実際にプレイしてきたものだという。投稿者は「これまで捕まえたすべてのポケモンを、今も持っている(Still have every Pokémon I’ve ever caught)」と語っており、単なる未使用品の収集ではなく、個人的なプレイの履歴と結びついた保存である点も特徴だろう。

Image Credit: AByteOfLogic on Web

ケースは2段構造となっており、下段には『ポケモン』を遊ぶためのゲーム機本体が収納されている。ゲームボーイカラーやゲームボーイアドバンスミクロなど、初期作品に対応するハードは複数台用意されており、通信交換なども想定しているようだ。さらに、充電式乾電池やソーラーパネルといった機器も確認でき、電源の確保まで含めた“自己完結型”の運用が想定されているという。通信ケーブルや「ポケウォーカー」などの周辺機器、さらには『ポケモンピンボール』といった関連作は、上段のモンスターボール型ケースに収納されているとのことだ。

Image Credit: AByteOfLogic on Web

投稿では“終末への備え”という言葉が用いられているが、こうした表現はアメリカを中心に広がる「プレッパー」と呼ばれる文化とも重なる。プレッパーとは、災害や社会的混乱に備えて物資や設備を用意する人々を指す言葉だ(現代ビジネス)。終末世界を描いた荷物配送ゲーム『DEATH STRANDING』においても、シェルターに住む「プレッパーズ」がゲームソフトの配送を依頼してくる、という一幕がある。ただし、今回の事例が実際に終末を想定したものなのか、それとも極端に厳重なゲーム保管をユーモラスに表現したものなのかは定かではない。

『DEATH STRANDING』

なおゲームを失われやすい文化的資産として捉え、保存しようとする動き自体は、企業や団体でもおこなわれてきた。たとえば、CRYSTAL DYNAMICSなどを傘下に持つEmbracer Groupは、8万点以上のゲームやコンソール、周辺機器を収蔵する大規模アーカイブを運営している(Embracer Games Archive)。また、アメリカのVideo Game History Foundationは、ゲームソフトだけでなく、ソースコードや開発資料を含めて歴史的に保存・デジタル化する取り組みを進めている(Video Game History Foundation)。精密機器であり劣化の影響を受けやすいゲームを、どのように次世代へ引き継ぐかは業界全体に共通する課題だ。

今回の投稿がそうした組織的な保管と異なるのは、「思い出」が保存対象に含まれている点だろう。投稿者によれば、ケース内に2本収められている初代『ピカチュウ』バージョンのうち1本は、子供の頃に初めて手に入れたカートリッジだという。誤って洗濯してしまい、現在は起動しない状態だが、セーブデータを抽出してPCやクラウド、スマートフォンに保存したうえで、思い出の品としてケースに収めているそうだ。またそのほかの作品では、カートリッジだけでなくプレイした作品内のポケモンも保存する試みとなるのだろう。

Comment
byu/AByteOfLogic from discussion
inpokemon

有事の際、音楽や本といったエンターテインメントが心の支えになるという話は珍しくない。ゲームもまた、そうした役割を果たし得る存在だろう。電源や通信環境がなければ遊べないという制約はあるものの、今回のケースはそうした条件すら可能な限り織り込んだ構成となっている。“終末世界”を想定したポケモンケースという風変わりなアイデアとは裏腹に、その中身は、ゲームを確実に残し、遊び続けるための実務的な保存計画と言えるのかもしれない。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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