ゲーム開発者や3Dモデラー間で「バーチャルハンバーガー作り」が謎のブームに。プロが作る“おふざけ3Dバーガー”続々
「3Dハンバーガー制作チャレンジ」がネットミーム的な流行を見せている。

3Dモデルクリエイターたちによる、「3Dハンバーガー制作チャレンジ」が12月19日現在、X(Twitter)上でネットミーム的な流行を見せている。趣味で3Dモデルを作っているユーザーのほか、企業などに所属しているプロのクリエイターも参加してさまざまな“3Dハンバーガー”が制作されている状況だ。一風変わったアイデアも炸裂しており、今回はその一部を紹介したい。
流行の発端となったのは、ゲーム開発者kaanu devs氏による「ハンバーガーとフライドポテトのテクスチャー作ったから、使ってみてよ(hamburger and fries texture. make yourself a one)」という投稿。同氏は、以前からトルコ圏のスイーツ「バクラヴァ」やオニオンリングのテクスチャーを公開して注目を集めていた。ただ今回は、ハンバーガーという多くの人に“刺さる”食べ物を選んだからか、更なるブームの広がりを見せている様相だ。
kaanu devs氏が公開したテクスチャーの使い方は、この流れに反応したクリエイターによって千差万別。王道のハンバーガーとポテトを作って公開する人もいれば、自分流の“アレンジ”を加える人も現れるなど、それぞれの個性が際立つ結果となっている。
まずは、王道のハンバーガーである、DanielDarkness氏の作例を紹介する。包装紙に置かれているのはダブルチーズバーガー。ポリゴンで作られたパテと野菜類、チーズが交互に挟まり、それがパンズによって包まれているという美味しそうな仕上がり。トマトのテクスチャーを上手くアレンジして、ポテト用のケチャップを作っているのも見所だ。
ゲーム開発者のAngel Perez Guzman氏による一品も、注目されている王道バーガーの一つ。ローポリゴンながらも、丸いパンズに厚みのあるパテ、丁寧に敷かれた包装紙と、我々がハンバーガーという言葉を聞いて連想するものが、このCGにはすべて詰まっている。
ただGuzman氏によると、ハンバーガーに物理演算を組み込んだところ、PCが悲鳴をあげる結果になってしまったそうだ。“着陸”時の処理落ちっぷりを見る限り、バンズとそれぞれの具材がすべて分かれたハンバーガーを物理演算込みで描写するのは、かなりのマシンパワーを要求されるのかもしれない。
一方で、“不真面目な作例”も数多く作成され、ユーザーの笑いを誘っている様子。本項執筆時点で、特にいいね数が伸びている(約3万回)のが、ZLo Sov氏が作った“板バーガー”だ。すべての食材が、板ポリでつくられたその姿は、まさに軽量化の極み。板ポリとは、3Dモデリングにおける、その名の通り厚みがまったくない板型のポリゴンのこと。本来であれば葉っぱや草などを描画処理を軽くしつつ表現したい場合に用いられることが多い。今回は厚みがあるはずのハンバーガーのバンズやパティまで板ポリになる豪快な軽量化ぶり。さらに、ふんわりと下りてくるアニメーションも設定することで、その軽さを際立たせている印象だ。ちなみにポテトについては「フライヤーの中に置いたまま」とのこと。作るのがめんどくさかったのかもしれない。
ハンバーガーの形は保っているものの、テクスチャーの使い方でおふざけをする投稿もみられる。その一例が、Threevee氏とtramdrey氏だ。下記の画像を見ても分かる通り、ハンバーガーやポテトはしっかりと作りつつ、パンズが包装紙になっていたり、ポテトの容器がレタス化して中身がパティになっていたりと混沌とした様相だ。“テクスチャーの貼り間違い”が発生するとグラフィックの印象が大きく変わってしまうことを示しているだろう。ちなみにThreevee氏は“初心者のふり”をしつつ投稿しているものの、3Dモデルはちゃんとしている。
さらに一歩進んで、ハンバーガー自体を“超越”してしまったモデルを作った人も現れている。Einzelkampf氏は、なんとハンバーガーを二足歩行化。美味しそうなチーズバーガーの下になぜか体まで付いており、包装紙の鎧をまとい、パンズを盾、ポテトを剣として構えてレタスをマントのように羽織る“チーズバーガーマン”になっている。波打つ包装紙アーマーと踏ん張っている足が、かなりの躍動感を醸し出している。
また次に紹介するChrisQuay氏は、kaanu devs氏のテクスチャーを使いつつ、全く違う食べ物を作ってしまった。同氏が作ったのは、ドリンクカップとホットドッグ。包装紙はカップになり、ポテトのテクスチャーは、マスタードの表現として使用されている。ちなみにChrisQuay氏は、ゲームスタジオWraith Gamesでアートディレクターを務めている人物。本職のクリエイターが、ユーモアを発揮した一品というわけだ。それぞれハンバーガーを真面目に作らない大喜利のような反応となっているが、普通にハンバーガーの3Dモデルを作る以上の技術が必要そうな作品も寄せられているかたち。
なお3Dハンバーガーの制作には、モデリングツール「Blender」を使用している人が多いようだ。同ツールはアマチュアからプロのクリエイターまで幅広い層が使っていることで知られており、モデリングのほかアニメーション作成などにも対応している。また話題になるにつれて、日本国内からチャレンジに参加する人も現れている。しばらくの間「3Dハンバーガー制作チャレンジ」の流行は続きそうだ。
ちなみにゲームにおいてもジャンルを問わずさまざまな作品の食事シーン、あるいは背景描写として3Dモデルの食べ物は登場してきた。現代的な世界観のゲームではまさにハンバーガーが登場する場合もあり、その描かれ方もさまざまだ。処理を軽減するためにたとえば具材とバンズが一体化したような3Dモデルが用いられる場合もあり、ハンバーガー単体で3Dモデルを作る今回の作品群とゲーム中のハンバーガーたちを見比べてみるのもおもしろいだろう。

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