Steamで大ヒットしたゲーム開発者は「Valveからチョコを貰える」と話題に。“売上ティア分け”でチョコが豪華になってそうと、やらしい推理白熱
Steamを運営するValve社から、一部のゲーム開発者に「チョコレートの詰め合わせ」が届けられたとして、SNS上で話題となっている。

ゲーム配信プラットフォームSteamを運営するValve社から、一部のゲーム開発者に「チョコレートの詰め合わせ」が届けられたとして、海外SNSを中心に話題となっている。また、売り上げによってチョコレートの「グレード」が変化するようで、その基準に関してさまざまな推測がおこなわれている。
チョコレートのプレゼント報告をしたうちのひとりは、『パルワールド』の開発元として知られるポケットペアのコミュニケーションディレクター兼パブリッシングマネージャーのBucky氏。同氏は12月15日、Xアカウントにて「Valveからクリスマスチョコレートをもらった」と感謝を述べつつ、リボン付きのチョコレートの箱が複数映った写真を投稿。協力登山ゲーム『PEAK』の開発元であるAggro Crab Gamesはこれに反応し、同様にValveから贈られたというチョコレートの写真をアップした。同封のメッセージカードの名前が「Aggro Crob」とスペルが間違っていることに対し「冗談ならよかったのに(i wish i was kidding)」とジョークを交えたこの投稿は、現時点で2万9000いいねを得るなど注目を集めている。
この事象に対しあるRedditユーザーは、ゲーム開発者の兄弟が毎年Valveからチョコレートをもらっているとコメント。基準は不明ながら1度きりのものではなく、売り上げの高いデベロッパーにとって、Valveからの「クリスマスプレゼント」は毎年の恒例行事であるようだ。
一方で、贈られるチョコレートの“グレード”が開発者ごとに異なるのではないかという噂も浮上している。たとえばローグライクオートバトル『ドワーフオートバトル』を手がけたHamma Studiosのichbinhamma氏がValveから贈呈されたとみられるのは、フランスの高級チョコブランド「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)」製のチョコレートボックス。これは公式サイトによると93ユーロ(約1万7000円)のもので、洋菓子のギフトとしてはすでに高級な部類に思える。
対して先述のポケットペアやAggro Crab Gamesが贈呈されたと思われるのは、アメリカの高級チョコブランド「FRAN’S CHOCOLATES」製のギフトボックスだ。公式サイトでは245ドル(約3万8000円)となっており、日本円換算で先ほどのチョコレートの約2倍の値段とさらに高額。さらに、ライブ壁紙ツール『Wallpaper Engine』を手がけるWallpaper Engine Teamの開発者はRedditにて、Valveから700ドル(約11万円)の食べきれないほど大きなギフトボックスを毎年贈られているとコメントしている。たしかにデベロッパーごとに、贈られるチョコレートの値段には幅があるようだ。

これらのギフトは、一部の開発者の間で知られている「チョコレート・ティア(Chocolate-tier)」というものだ。過去にゲームのマーケティング専門家のChris Zukowski氏の講演で語られたところによると、ValveはSteamで年間100万ドル(約1億5000万円)以上を売り上げたデベロッパーに対し、毎年300ドル(約5万円)相当のチョコレートを贈呈するという(Game Developer)。つまりSteamで大ヒットを達成したゲーム開発者に対し、Valveが感謝あるいは労いの気持ちを込めて毎年チョコレートを贈っている、ということのようだ。そしてChris氏がブログにて最近公開した独自調査によれば、総売上が約90万ドル(約1億4000万円)に達したゲームのデベロッパーには93ユーロの小箱が送られ、100万ドルを超えるとより豪華なギフトボックスにグレードアップするという(How To Market A Game)。
Redditではチョコレートのグレードに関して、「60万ドル以上売れたタイトルがチョコレート・ティア入り」するとの意見や、「推測された基準以上に売り上げたのにチョコは来ていない」という開発者の声もあり、売り上げの基準には多くの意見が飛び交っている。また、Steamで成人向けゲームを手掛ける開発者は、ゲーム自体は「かなり成功している(fairly successful)」としながらも、チョコレートが贈呈されたことは一度もないと述べており、単純に売上だけではなく、ゲーム内容が関係している可能性も指摘されている。
ちなみにSteamの非公式統計データベースGamalyticを運営するArtur Smiarowski氏によると、Steamでは今年出たゲームの40%が、100ドル(約1万5000円)の登録費用すら回収できていないと推計されていた(関連記事)。また同サイトでは本稿執筆時点で1万6729本のゲームが集計されており、収益が20万ドル~100万ドルのゲームは3.3%(534本)、100万ドル以上の収益があるゲームはわずか2%(318本)だという。チョコレート贈呈の基準であると思われる60万~100万ドルの売り上げを誇るタイトルは上位5%未満と思われ、チョコレートはその見た目以上に、限られた者しか受け取れない栄誉のようだ。

Valveによるチョコレート贈呈は、一部のゲーム開発者にとってはおなじみだったようだが、SNS上で注目されたことで改めてゲーマーたちにとっては驚きと興味を誘うニュースとなった。チョコレートのグレードや、贈呈されないタイトルの基準は定かではないが、少なくとも複数の報告を見比べると何らかの“ティア分け”がある可能性がうかがえる。
なお、実際にチョコレートを受け取った開発者たちはそれぞれValveへの感謝を述べており、チョコのグレードに関わらず特別なプレゼントになっているといえるだろう。Valveとしても、受け取ったチョコの種類をあまり開発者間で比べてほしくないのかもしれない。とはいえプレゼントの値段をついつい調べたくなる好奇心も、分析が賑わっている背景にありそうだ。
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