欧米ゲームメディアにもレイオフの波。IGNやKotaku、GamesIndustryの「編集長・シニア級」が退職するなど社員減少傾向
欧米ゲームメディアにもレイオフの波がきているようだ。大きな動きとしては複数メディアを運営するグループZiff Davis傘下のメディアで、ベテランスタッフたちが退職を報告している。また最近ではKotakuも経営がスケールダウンしていることが報じられている。Aftermathなどが報じている。
今回報告されたのは、IGNとGamesIndustry.bizの主要スタッフの離職だ。動画発信にも強みをもつ、業界最大手IGNではサイト側の要職スタッフが離れるようだ。シニアニュースエディターのAlex Stedman氏がInstagramにて、12月13日をもってのIGNの退職を報告。休暇をとってから次の仕事を探すとした。
また要職へのインタビュー記事なども多く、より業界誌色の強いGamesIndustry.bizにおいては、なんと編集長級のスタッフが退職するという。同誌の編集長を務めていたJames Batchelor氏が12月をもっての退職を報告。また主任を務めていたChristopher Dring氏がXにて12月をもって退職すると報告。ビジネスメディアに愛着があるので、来年またそういった場所に戻るとした。
Aftermathによると、こうした退職はZiff Davisが秋口に内部メールで掲げていた「人員削減」に紐づいたものだという。経営のスリム化を目的とし、スタッフらに退職オプションを提案していたようだ。IGNおよびGamesIndustry.bizでは、彼らだけでなく複数人のスタッフが退職を決めているという。GamesIndustry.bizでは3人のスタッフが同サイトを離れ、IGNでは6人以上が離職提案を受け入れたとのこと。GamesIndustry.bizは、これでフルタイムスタッフは1名になるという。
ゲームメディアにおいては、Kotakuにおいても先月レイオフが報告されていた。シニアエディターのAlyssa Mercante氏が退職を報告。また複数の新人ライターが突然解雇を通告されたという。同サイトのフルタイムスタッフは現在6人とのこと。
Kotakuにおいては、保有会社G/O Mediaと主要スタッフの衝突もあり、ここ1年で3度の編集長交代が発生。今年3月には「ニュースよりゲーム攻略記事を優先し検索流入を稼いでPVを上げよ」という上層部命令に反発したJen Glennon氏が編集長をやめてから、7月末まで「編集長不在」という体制で運用が続けられてきた。ここ数年で主要スタッフも一部を除いてほぼ入れ替わっており、今年に入ってからもレイオフが幾度もあった。方針が固まらない状態がずっと続いていることから、今回の件も同サイトにおいてはそう珍しいことではないかもしれない。
ゲーム業界全体が不況ともいえる状態であり、ゲームメディアもまた例外ではない。大作の減少によるビュー数減少や広告単価の減少、ゲームメディアそのものの権威の低下、インフルエンサーの台頭などもあり、苦境を強いられている領域のひとつである。中小規模サイトの再編や閉鎖も相次いでいる。IGNやGamesIndustry.bizは、そうした中では存在感を見せた大手サイトであったが、Ziff Davisの経営方針もあり、フルタイム=常勤社員を減らすことで固定費を減らすというスケール・コストダウンが進められているようだ。
Ziff DavisはIGNやGamesIndustry.bizのほかHumble Bundleなどを保有しており、こちらでもレイオフが実施されたとのこと。なおIGNは5月にEurogamerなどを保有するメディアグループGamer Networkを買収していた(関連記事)。複数のゲームメディアを保有するGamer Network系のサイトにもこうした余波が及ぶことが懸念される。