Unity、批判を受けた料金システムRuntime Feeを完全撤回。一方でUnity ProやUnity Enterpriseはライセンス料値上げへ、Enterpriseは25%アップ


Unityは9月13日、新料金システム「Unity Runtime Fee」を撤回したことを発表した。料金体系を、従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻すという。一方で一部のライセンス料は値上げとなるようだ。

Unity Runtime Feeは、Unity利用者が開発したゲームが、エンドユーザーによってダウンロード・インストールされた回数を基準として適用。ゲームの過去12か月の収益が最小しきい値を超えており、かつ累計インストール数が最小しきい値を超えている場合、さらにインストールされるたびに規定の料金の支払いが求められる仕組みだ。つまり、たくさんインストールされたゲームの開発・運営元から、収益を得ようという仕組みだった。

同システムは昨年9月に導入が告知され、支払いの仕組みやその不明瞭さ、規約の無断改定など多岐にわたる点含め、既存のUnityユーザーから大きな批判を受けた。Unity側は説明を重ねたうえで、Unity Runtime Feeそのもののシステムを大きく変更(関連記事)。ある程度コミュニティは落ち着きを見せたものの、これまでのUnityの利点やユーザーとの信頼を壊すような手法であるという批判を受け、少なくない開発者が「Unity離れ」を起こしていたわけだ。

そして導入決定から1年が経った今、問題のUnityはなんとRuntime Feeを撤回するという。現Unity CEOのMatthew Bromberg氏は「お客様と対立する形をとってまでそのミッションを追求するべきではなく、信頼に基づいたパートナーシップこそが、本来の優先事項である」とコメント。この3か月、多くのユーザーから強い Unity であってほしいという声や、価格の引き上げはゲームの発展を促進するために必要だ、などの意見を聞いたという。

Bromberg氏は「Unity は、適正な価格と正しい方法で価値を提供することで、今後も皆様に安心して製品をご利用いただけるパートナーであり続け、皆様の長期的なビジネス構築をお手伝いしていきたい」とし、料金体系を従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻すことを決定したと告知した。

一方で、Unity Pro および Unity Enterpriseのライセンス料金は来年1月1日より引き上げられる。Unity Proライセンスは8%、Unity Enterpriseは25%値上げとなる。Unityのライセンス料値上げは国内向けには3月に実施されていたが、今回はグローバルな価格引き上げとなる。また年間の総収益および調達金額が 2500 万米ドルを超える利用者はUnity Enterprise の利用が必須となる点も留意したいところだ。

変更内容は以下のとおり(Unity発表から引用):

Unity Personal:昨年発表したとおり、Unity Personalは引き続き無料でご利用いただけます。これまで設定されていた総収益および調達金額の上限を現在の 10 万米ドルから倍の 20 万米ドルに引き上げます。これにより、より多くの方に Unity を無料でご利用いただけるようになります。また、年内に予定されている Unity 6 のリリースをもって、Unity Personal で開発されたゲームでの「Made with Unity」スプラッシュスクリーンの使用は任意となります。

Unity Pro および Unity Enterprise:2025 年 1 月 1 日より、サブスクリプション価格、年間の総収益および調達金額のしきい値が変更されます。これらの変更は、2025 年 1 月 1 日以降に新規、または既存の Unity Pro および Unity Enterprise のお客様が、サブスクリプションを購入・アップグレード・更新した際に適用されます。

Unity Pro:Unity Pro ライセンスは、8% の価格引き上げが適用され、シートあたり年間 2,200 米ドルとなります。※ 年間の総収益および調達金額が 20 万米ドルを超えるお客様につきましては、Unity Pro のご利用が必須となります。

Unity Enterprise:Unity Enterprise ライセンスは、25% の価格引き上げが適用されます。※米ドル価格の場合。年間の総収益および調達金額が 2,500 万米ドルを超えるお客様につきましては、Unity Enterprise のご利用が必須となります。また、サブスクリプションの最低購入数が適用される場合がございます。このライセンスは最も多くのお客様にご利用いただいていますが、各お客様が独自のニーズをお持ちで、Unity の製品やサービスを多数ご利用いただいているため、今後すべてのお客様にご連絡をし、カスタマイズされたパッケージについてご相談させていただく予定です。