『ヘルダイバー2』プレイヤーたちに「新武器か“子ども救出”か」を選ばせる命令登場、一致団結して作中の子どもの命が救われる。開発者も見習って募金

 

HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』における前回の「全体命令」を巡る動向が注目を集めている。全体命令においてはコミュニティが団結し、新武装追加の可能性を投げうってまで作中の“子どもの救出”を達成。このことを受けて開発元スタッフが実在の慈善団体への寄付をおこなうなど、ゲーム内にとどまらない広がりを見せている。海外メディアPolygonなどが伝えている。

本作は、見下ろし視点型シューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。プレイヤーはスーパーアース連邦のエリート部隊ヘルダイバーの一員となり、宇宙生物のムシ(ターミニッド)や、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。自由と管理民主主義を守るため、銀河を舞台とした戦いに身を投じるのだ。PC版とPS5版の間でのクロスプレイがサポートされており、最大4人でのオンライン協力プレイに対応している。


本作には指定期間内にサーバー内のプレイヤー全員で達成を目指す「全体命令」という目標が存在。見事達成された場合、命令に貢献したプレイヤーは報酬を獲得可能だ。本作ではこれまでさまざまな全体命令が発令されており、なかでも6月11日の全体命令は注目を集めていた。同日の全体命令は、オートマトンの占領下に落ちたふたつの惑星の緊急救援要請であったが、サーバー全体で救えるのは2つのうち最初に目標が達成された惑星のみとなる。プレイヤーはどちらの惑星を救うかの2択を迫られていた。

片方の惑星マルファルクには巨大な爆薬庫があるとされ、解放することで共通の報酬となるメダルに加えて、新たな戦略支援武器「MD-17 対戦車地雷」が実装されることが伝えられていた。対戦車地雷は以前の全体命令でも報酬となっていたものの、命令失敗となったことで実装が“お預け”となっていた戦略支援武器だ。一方、もう片方の惑星ヴァーナン・ウェルズではスーパー市民アンネ重病小児病院の残骸に数千人の市民が閉じ込められているとして、解放によって子供たちを救うことができると説明。ただこちらについては、特に追加報酬は示されていなかった。

一方、解放を目指して多くのプレイヤーが詰めかけたのは子供たちを救うことができるヴァーナン・ウェルズの方であった。Redditや公式Discordサーバー上の本作コミュニティ内ではヴァーナン・ウェルズ解放の呼び掛けも発生。そうした動きもあってか圧倒的に多くのプレイヤーがヴァーナン・ウェルズ上でミッションを進行していたとみられ、最終的には約75%も進行度の差をつけてヴァーナン・ウェルズは解放に至った。ゲーム内の戦況報告では重病の子ども4311人すべてを含め、何千人もの市民の大半が生存しており、救出作戦がおこなわれていることが伝えられている。


そしてヴァーナン・ウェルズの解放活動を受けて、Arrowhead Game Studiosの最高クリエイティブ責任者(CCO)であるJohan Pilestedt氏が反応している。同氏は本作のコミュニティが子どもたちを救う選択をとったことを受けて“同じことをする”と宣言。現地時間6月14日に同氏個人で、世界中の子どもたちを支援する慈善団体「Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)」に4311ドル(約68万円)の寄付をしたことが報告されている。

このほか本作の公式Xアカウントもプレイヤーコミュニティの選択に反応。ゲーム内のスーパー市民アンネ重病小児病院の子どもたちからのメッセージとして、絵手紙とともにプレイヤーへのお礼が伝えられている。メッセージには“地雷”や命を犠牲に払ってまで救ってくれたことへの感謝が綴られているほか、大人になったらヘルダイバーになりたいという想いも示されている。


新たな地雷型の戦略支援武器に目もくれずに子どもたちの救出を優先した『HELLDIVERS 2』コミュニティ。命がぞんざいに扱われる殺伐とした世界観の本作ながら、団結したロールプレイで正義が果たされたかたちだ。本作では作中の世界観も交えつつ、メタ的にコミュニティとの関わりがおこなわれている点も特徴。ゲーム内でのコミュニティの決定や、それを受けた寄付は、本作ならではのムーブメントといえそうだ。

なおあるユーザーはJohan氏に対してもし地雷を選んでいたらどうなっていたのかを質問。同氏は「知らない方がいい……」と返答しており、ゲーム内の戦況報告などがどうなっていたのかは気になるところだ。またコミュニティが実装を逃してきた対戦車地雷が今後実装を迎えるかどうかも注目されるところだろう。


『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに配信中だ。