「ゲーム開発で売上に満足するまで何回失敗したか」という疑問に、「飢餓賃金で我慢した」などとても世知辛い体験談集まる。生活費と資金は大事

Redditにて、ゲーム開発者志望のユーザーが質問を投稿。「開発したゲームで十分な売上を出せるまで何回失敗したか」という疑問に、開発者たちからさまざまな知見が投じられている。

海外掲示板Redditにて、ゲーム業界を志望しているというユーザーが開発者に向けて質問を投稿。「開発したゲームで十分な売上を出せるまで何回失敗したか」といった素朴な疑問を訊くスレッドには、開発者だというユーザーたちからさまざまな知見が投じられている。

今回、ゲーム開発者志望のユーザーが質問を投じ、さまざまな意見が寄せられたのはRedditのゲーム開発に関するコミュニティr/gamedevだ。質問を投稿したのは、現在シニアハイスクールの最終学年にあたる12年生だというユーザーのOk_Distribution_7719氏だ。同氏は卒業後ゲーム開発者になって、将来的に自分の会社を作りたいと考えていたそうだが、周囲の影響で工学系の大学に進学することになったという。

同氏はそれでもゲーム開発の夢を諦めていないようで、ゲーム開発者たちに「それなりの利益を上げられるようになるまで何回失敗したか」を質問。さらにゲーム開発のためにすべきこと/すべきでないこと、モチベーションアップの方法などのアドバイスを求めている。


スレッド内には本稿執筆時点で約100件のコメントが寄せられており、なかにはゲーム開発者からの経験談や助言もみられる。たとえばKobold’s Keepという名義でitch.ioにてさまざまなゲームを展開しているThomas Keene氏は、ゲーム開発者であっても(商業的には)失敗続きだと言及。これまで12作品をリリースしたものの、無料作品を含めていずれも採算の取れない作品であり利益はまだ上げられていないそうだ。また60作品が未完成のプロジェクトだという。

とはいえThomas氏は人気ホラーゲーム『Five Nights at Freddy’s』の生みの親であるScott Cawthon氏を例に挙げ、Cawthon氏が同作以前に60本以上のゲームをリリースしていたことを示している。ヒットを収めるまでに数多くの作品を手がけた開発者もいるため、めげずに作品を作り続けることが必要だと考えているようだ。一方でThomas氏は現実的な話として、ゲーム開発で生活費を賄えるまでは本業を辞めないことや、緊急時に備えた貯金の必要性も説いている

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byu/Ok_Distribution_7719 from discussion
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ほか、リードゲームデザイナーだというユーザーのMeaningfulChoices氏は、まずはゲームスタジオに就職することをおすすめしている。同氏は就職すれば最初の給料がそのまま“利益”になると説明。またスタジオで働けば、ゲーム会社をつくるために何が必要かを考えることもできると伝えている。さらに、ゲームづくりの工程についても素早く多くのことを習得できるうえ、管理職になればスタジオの運営方法も学べることにも言及。自分の貯金ではなく“会社のお金”を使ってスタジオの運営方法を学ぶ方がいいとの見解を述べている。自費で会社を興してから運営に失敗するリスクも軽減できるといった考えのようだ。

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byu/Ok_Distribution_7719 from discussion
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シミュレーションゲーム『Spinnortality』の開発者であるJames Patton氏は、自身が手がけてきたプロジェクトを細やかに説明。10代のころから開発をはじめ、満を持して発売されたリソース・時間管理ゲームでの売上は“2か月分の家賃”になったとのこと。その後別プロジェクトでは、とある「成功した開発者」の後押しも受けつつ、Kickstarterでのクラウドファンディングを達成。同作の売上ではフルタイム開発に移れるほどの生活費を賄えたそうで、一時はスタッフを雇って開発に臨んでいたそうだ。

その後、業界のつてでフリーランスの仕事も請け負いながら運営したものの、資金不足からスタッフは解雇。Patton氏は、本当に安定するまではスタッフを雇ってはいけないことを教訓として伝えている。また運営のために、自分自身はギリギリ最低限の飢餓賃金(starvation wages)しか受け取っていなかったことも赤裸々に明かされている。同氏は自身が普通の賃金を受け取っていれば数年で活動が頓挫していただろうとして、「自分のスタジオで成功するためには、犠牲が必要である」との意見を伝えている。

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byu/Ok_Distribution_7719 from discussion
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なおスレッドでは(インディー開発者にとっては)そもそも「相応の利益」の定義が難しいといった考えも複数寄せられている。たとえばあるユーザーは初開発作品で2万ドル(約300万円・現在のレート)を売り上げたと報告。一件成功を収めたように見えるものの、同作は兄弟と本業をこなしつつ2年間かけて作り上げたとのこと。2年間で2万ドルでは、兄弟二人がとうてい生活もできないとしている。たとえゲームが大きく売れたとしても、かかった時間や費用などを埋め合わせる「相応の利益」を上げることの難しさもうかがえる。

このほかにもスレッド内では個人開発者やスタジオ所属の開発者など、さまざまな立場のユーザーが実体験やアドバイスを寄せられている。ゲーム業界での働き方の多様性も垣間見えるだろう。一方で業界の厳しさが垣間見える投稿も複数みられ、特に資金面での教訓やアドバイスとして伝える投稿は散見される。開発者志望だというスレッド投稿者に、業界における酸いも甘いもが共有される場となったようだ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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