『Cities: Skylines II』次の無料大型アプデで「賃料が高い苦情」多発問題を解消するため、家主が存在ごと抹消へ。突如職を失う“仮想家主”たち

 

デベロッパーのColossal Orderは6月10日、『Cities: Skylines II』において次回のアップデートで導入予定の新たな経済システムについての情報を公開した。その中では、頻発する「賃料が高い」という通知に対処するため、“仮想の家主”たちが存在ごと削除されることになるという。

『Cities: Skylines II』は、高い評価を得た都市開発シミュレーションゲーム『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)』の続編だ。プレイヤーは居住区やインフラなどを整備し、さらに産業を活性化させながら街を一から建設。市民の生活や経済などが複雑にシミュレーションされ、それらのニーズや状況変化に対応しながら街を発展させていく。

本作は発売前に「目標とするベンチマークに達しないまま」リリースされることが告知されていた。結果として本作は最適化不足という課題を抱えたままPC版のみが発売されるかたちとなり、PS5/Xbox Series X|S発売は延期。PC版発売後にもパフォーマンス問題や不具合の報告が寄せられており、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約4万件中52%が好評とする「賛否両論」ステータスとなっているなど、さまざまな課題を抱えている状況となっている。本作の課題は開発元も認識しているようで、無料アップデートを通して改善に取り組んでいく姿勢が表明されていた(関連記事)。

そういった本作の改善に向けての無料アップデートの一環として、次に行われるという大型アップデート内容についての新情報が今回発表。次のアップデートは「Economy 2.0」と称されており、経済システムの調整を中心とした大幅な変更が加えられるという。


その中ではまず、家賃に関わる経済システムが変更される。『Cities: Skylines II』においては、各世帯は世帯の規模や構成を考慮して住む場所を選択する。そして家賃は、地価や建物の価値のほか、通勤時間や買い物までの時間、世帯の幸福度や都市の税率など複合的な要素に基づいて決定される。

この際、そして地価の上昇などによって世帯年収で支払える額以上の賃料になると、「賃料が高い」という通知が発生。これまで、さまざまな原因により「賃料が高い」という通知が頻発し、プレイヤーを悩ませてきた実情があったようだ。

この問題に対処するため、「Economy 2.0」ではまず「仮想の家主(virtual landlord)」が削除されるという。これにより建物の維持費はすべての賃借人によって平等に支払われるようになるとのことだ。内部的な計算を改善するためか、家賃問題を解決するため“家主の存在”が削除されるという、風変わりな調整となるようだ。


そして家賃の計算方法も変更。さらに「賃料が高い」という苦情の通知条件についても調整をするという。これによって家賃が世帯収入で支払える額を上回った場合にのみ「賃料が高い」という通知が発されるようになる見込み。収入上賃料を払えるはずの世帯は、苦情を上げる代わりにまず資源消費に使う金額を減らすようになるとのことだ。住民たちは苦情を言う前に、まずは家賃のために節約するようになるのだろう。

街で頻発する傾向もあった「賃料が高い」という通知に対処するため、次回アップデートでは“家主の削除”と“倹約令”といった大鉈が振るわれるかたちだ。そのほか、住宅の需要パラメータにも調整が入るとのことで、シミュレーションを続けていけば「賃料が高い」という通知のほとんどは解消され、各世帯が適切な住宅に居住することになるという。突然職を失うことになった“仮想の家主たち”にとってはほんのり気の毒な気もするものの、プレイヤーには快適な都市経営がもたらされることになるだろう。


そのほか、アップデートでの変更内容は市の財政システムや、教育やビジネス、建物のアップグレードの解放など多岐にわたるようだ。「Economy 2.0」アップデートの詳細については、本作のSteamニュースページ上の開発レターを確認されたい。いまだ課題を抱える本作。アップデートを通して改善され、現在の評価を払拭することになるのかどうか、今後の動向も注目されるところだろう。

『Cities: Skylines II』は、PC(Steam/Microsoft Store)向けに発売中。PC Game Pass向けにも提供されている。