「日本のゲームはデータ圧縮がうまくサイズ控えめ」として海外ゲームと比較される。それでも最近はボリューム増加傾向も

 
『Ghostwire: Tokyo』

SNS上の複数の海外ユーザーが「日本の開発元のゲームはデータがしっかり削減されている」との見解を投じ、注目を集めている。日本のゲームでは圧縮・最適化がおこなわれているとして、データが最小限に抑えられているという考えのようだ。

そうした意見が集まっている発端は、『Call of Duty: Black Ops 6』(以下、CoD: BO6)の必要ストレージ容量の「おおよそのサイズ」とする記載が公開されたことにあるとみられる。昨日6月10日、同作は10月25日に発売されることが発表され、さっそく各ストアページが公開。Microsoft Storeでは本作のインストールに必要なストレージ容量について「おおよそのサイズ」が“309.85GB”と記載されていることが注目を集めていた(関連記事)。

一方『Call of Duty』シリーズのアップデート情報を伝える公式Xアカウントは本日、309.85GBという記載についてはシリーズ統合アプリ向けの過去作品やすべてのコンテンツパック、全言語のローカライズデータを含むサイズであると説明。一般的なプレイヤーがインストールするデータ量ではなく、実際の推定データ量は後日発表されることが伝えられた。


実際に想定されているデータ量ではなかったものの「約300GBの新作」というトピックは大きな注目を集めたようだ。そして海外SNS上ではこのトピックをもとにして“データ量が巨大なゲーム”との対比に、日本の開発元が手がけるゲームを挙げるユーザーも複数みられる。日本のゲームはしっかりとデータが圧縮されていることなどから海外のゲームよりもサイズが控えめ、といった認識が一部のユーザーにあるようだ。

たとえばあるユーザーはTango Gameworksが手がけ2022年に発売された『Ghostwire: Tokyo』を例示。同作はオープンワールドゲームながら、データ量はプラットフォームによって多少異なるものの20GB程度。また同じオープンワールドゲームの例としてフロム・ソフトウェアが手がけ同年に発売された『エルデンリング』を挙げるユーザーもみられ、同作のサイズは50GB弱となっている。


なお同年発売の海外の開発元のオープンワールドゲームとしては『Horizon Forbidden West』や『サイバーパンク2077』などが存在。それぞれ当時60GB~90GB前後になっていた。ボリュームやグラフィック品質などによって差は生じると考えられるものの、それを踏まえても『Ghostwire: Tokyo』や『エルデンリング』はゲームの規模に比べると比較的控えめなサイズという印象を与えているようだ。データの圧縮や最適化によってか、サイズが削減されていることもうかがえる。

なお海外掲示板Redditのゲーム開発者向けコミュニティr/gamedevでは2018年にユーザーから同様の見解が投じられていた。投稿者は、海外の開発元が手がける当時の新作ゲームが50GBを超えるサイズであると言及。一方、フロム・ソフトウェアが手がけ2015年に発売された『Bloodborne』のほか、コナミが手がけた2015年発売の『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』や2017年発売の『ウイニングイレブン2018』は、それぞれ30GB未満であると比較している。ちなみにフロム・ソフトウェアが手がけ2019年に発売された『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は約20GBであった。


ゲームのデータサイズの差にはジャンルやボリューム、グラフィック品質やそもそもの開発規模の違いなど、さまざまな要因が考えられる。プラットフォームごとにサイズが違う場合や最適化される場合もあり、一概に比較はできないだろう。とはいえ上述したような投稿からも、日本のゲームは海外のゲームに比べてサイズが控えめといった印象が一部に根付いている様子が見受けられる。

一方で昨今では、コンソール版が現行機であるPS5/Xbox Series X|Sのみに向けて発売される国産ゲームも存在。このなかには約150GBの『FINAL FANTASY VII REBIRTH』や約65GBの『ドラゴンズドグマ2』など、従来よりもデータサイズが大きめの国産ゲームが複数みられる。現行機向けにグラフィックやボリュームが追求された結果、国産ゲームと海外産ゲームのデータサイズの差が縮まっている傾向もありそうだ。

最近では、特に大規模開発ゲームではグラフィック品質やボリュームの基準が高まっていることもあり、ゲームデータのサイズは増加傾向にあるだろう。ちなみに先述した『CoD: BO6』では、高品質なグラフィックを提供しつつストレージ容量を削減するためとして、オンライン常時接続によるテクスチャストリーミング機能が標準実装予定だという(公式サポートページ)。国内に限らず、海外の開発元でもサイズ削減が重要視されていることがうかがえる。


なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。