高評価推理ADV『未解決事件は終わらせないといけないから』開発者、“最後の作品”になる覚悟で作ったと明かす。またとない余暇で「ゲーム開発」に打ち込む

韓国に拠点を置く個人開発者のSomi氏は6月4日、同氏の最新作『未解決事件は終わらせないといけないから』について、自身の最後の作品になるつもりで制作したことを明かした。

韓国に拠点を置く個人開発者のSomi氏は6月4日、同氏の最新作『未解決事件は終わらせないといけないから』について、自身の最後の作品になるつもりで制作したことを明かした。

『未解決事件は終わらせないといけないから』は証言の話者と時系列を整理し、事件の真相を解き明かす推理アドベンチャーゲームだ。12年前に起きた未解決の「犀華ちゃん行方不明事件」をめぐり、当時の捜査担当であった主人公はおぼろげな記憶から過去の事件捜査を思い出そうとする。しかしバラバラになった記憶は時系列も話者もままならない状況。はっきりと思い出せることはただひとつ、証言者全員が嘘をついていたということ。彼らが何のために嘘をついているのか、そして事件の真相は明かされるべきなのか。当時の記憶を巡りながらそれを解き明かしていくことになる。


本作を手がけたの個人開発者のSomi氏は6月4日、自身のXアカウントでポストを投稿。同氏の最新作『未解決事件は終わらせないといけないから』が2016年に発表した同氏の過去作品である『Replica』を超える3000件のレビューを寄せられたことについてコメントした。その中で同氏は本作にレビューを寄せたユーザーに感謝を伝えるとともに、本作の制作にあたっての胸中を述べている。

ポストの中でSomi氏は、『未解決事件は終わらせないといけないから』は同氏の最後の作品になることも考えて制作に取り組んだと明かしている。というのも、昨年には同氏の職場生活の変化で、幸運にも余裕をもてる時間が数か月間あったという。その中で「開発者としての歩みの締めくくりになるゲームを世に出す」といった覚悟をもって本作の制作に取り組んだとしている。

なおSomi氏は『未解決事件は終わらせないといけないから』のほかに、これまで『リーガルダンジョン』や『Replica』、『The Wake』をSteam上でリリースしてきた。これらの作品群は「罪悪感三部作」とも呼ばれている。誰もが持つほの暗い罪悪感という感情に深く切り込んだものとなっており、自身も法執行の仕事に携わっているというSomi氏自身の実体験も織り込まれた、繊細なストーリーテリングとメッセージ性の高い作風がSteamストアレビューでも評価を受けている。


そんな罪悪感三部作に続くかたちでリリースされた本作は、先述したとおりバラバラな証言の時系列と話者を特定して事件の真相に迫る推理アドベンチャーゲームだ。プレイヤーは証言をパズルのように並び替えていき、未解決事件の真相に迫っていく。そうした特徴的なシステムやシナリオの完成度などが高く評価され、Steamレビュー上では本稿執筆時点で約3000中97%のレビューが好評を投じる「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。これは同氏の作品中もっともユーザーレビュー数が多く、かつもっとも高い評価ステータスとなっている。“最後の作品”になるかもしれないといった思いは作品の品質に反映されたのかもしれない今回のSomi氏の投稿を受けて寄せられたリプライには、Somi氏に感謝を伝える声もある一方、同氏の新作をプレイできない可能性を示されたことを惜しむ声も寄せられている。

なおSomi氏はあわせて、本作へのユーザーレビューひとつひとつは、もう一度ゲームを作るかもしれない希望を抱かせてくれる、大きな意味をもつとも言及。ただ同氏いわくゲームを開発できるような機会は二度と来ない可能性もあるといい、そうした希望に虚しさを覚えるときもあるようだ。同氏にもとにふたたびゲーム開発をおこなう機会が訪れるかも含め、今後の動向は注目されるところだろう。

『未解決事件は終わらせないといけないから』は、PC(Steam)向けに発売中。通常価格は税込800円。

Jun Namba
Jun Namba

埼玉生まれBioWare育ちです。悪そうなやつはだいたいおま国でした。RPG全般が好きですが、下手の横好きでいろいろなジャンルに手を出しています。

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