格闘ゲーム大会Evo公式YouTubeチャンネルにて5月31日、『GUILTY GEAR -STRIVE-』のプロデューサー宮内健氏と開発ディレクターの片野旭氏へのインタビュー動画が公開された。動画内では、シーズンパス3にて登場したA.B.A(アバ)やスレイヤーについての話や、ゲーム内バランス調整や新システム導入などの経緯、意図などについて語られている。
『GUILTY GEAR -STRIVE-』は対戦格闘ゲーム『ギルティギア』シリーズの最新作だ。従来シリーズ作の奥深いゲームプレイを掘り下げながら、シンプルかつ直感的なゲームデザインを採用。新たなバトルシステムや、オンライン対戦をより快適に楽しめるロールバックネットコードも導入されている。
本作は2021年6月に発売され、現在は複数回にわたるアップデートやプレイアブルキャラクターの追加を経て、シーズン4を迎えようとしている。シーズン3では、新たなバトルシステムとして、バーストゲージを使用したワイルドアサルトとディフレクトシールドが追加された。いずれもバトルの展開を継続したり、仕切り直したりするのに重要なツールとなっており、よりバーストゲージを管理する重要性が増したといえる。
宮内氏は、この新システムの追加にあたっては、以前よりプレイヤーに向けたアンケートを実施しており、ユーザーから「ゲームプレイの変化」に関するたくさんの要望もあったと明かしている。さらに片野氏によれば長期の運営となっている本作では、ゲームの環境が固定化されていたそうで、上述した新システムはバトルに“変化”をもたらす意図での調整であったとのこと。また新システムは、基本的に「本作を“今”一番やりこんでいるユーザー」が活用できるようなシステムを想定していたという。運によって努力が壊されることのないような上級者のニーズに応える狙いもあったようだ。
とはいえ片野氏によれば、上級者のやりこみや努力が強さに反映されるシステムが盤石すぎると、新規プレイヤーにとっては「わざわざ今から本作を始める意味がなくなってしまう」として、バランス調整の難しさを明かした。そのため本作では、競技プレイヤーやカジュアルなプレイヤーなどさまざまな意見を踏まえて、議論を重ねながらアップデート方針が検討されているとのこと。
なおユーザーからのフィードバックについて片野氏は、近年ではSNSやストリーム文化の発展により「あまり本作をプレイしていないユーザー」からもゲームに対する感想が寄せられる傾向にあるとの見解を伝えた。そうしたユーザーは、プロゲーマーや大手ストリーマーなどが発信した意見やリアクションと同じような感想をもつ傾向にあるという。開発においてはそうした実際にプレイした上での感想とは違う、“ゲームの外”に飛び出した本作への意見や感想も分析し、考慮する必要があるとのこと。このため昔と比較して調整が非常に難しくなっている状況もあるそうだ。
ライブサービス型作品において長期にわたって広がっていくコミュニティには、新規層のほか、特に競技シーンが盛り上がる作品ではいわゆる“観戦勢”もいるだろう。今回宮内氏および片野氏が述べたような、既存のプレイヤーに向けて努力が報われるバランスも確保しつつ、新規層や動画配信で楽しむコミュニティへの配慮は、昨今ではジャンルを問わず対戦ゲームにおいて検討されているところかもしれない。またそうした点から、昔よりも調整が難しくなったという見解が伝えられている点も興味深い。
ちなみに『GUILTY GEAR -STRIVE-』では今年6月11日に発売3周年を迎え、4年目へと突入する。今回の動画ではシーズン4の開発の発表や、2024年内に3対3で戦う新たなバトルモードの実装も予告されている。多くのプレイヤーを集め、長く展開されている本作の今後についても注目したい。ちなみに動画内では、A.B.A(アバ)の伴侶であるパラケルスの声優変更や、本作ユーザーコミュニティの世界的な広まりなどについても語られている。気になった人は、動画を視聴してみるのもいいだろう。
『GUILTY GEAR -STRIVE-』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに販売中だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。