メカ作成サンドボックス『Plasma』、開発中止とともに無料化。“商業的に完全失敗した”ため苦渋の決断

 

デベロッパーのDry Licoriceは5月30日、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中のサンドボックスゲーム『Plasma』を無料化した。一方で、本作は“商業的に失敗した”として、アップデートなどの開発サポートを終了することも発表されている。

『Plasma』はエンジニアリングサンドボックスゲームだ。プレイヤーはゲーム内でさまざまな部品を組み合わせて、ロボットやマシンを作り出すことが可能。さらにプログラミングシステムによってそれらの動作を細かく設定することもできる。プログラミングにおいては、ノード同士を線でつなげることで条件や動作を設定していく、ビジュアルプログラミングの方式を取っているため、直感的に操作をおこなえる。

また本作では、自身の創造したメカや世界全体をSteam ワークショップで共有することもできる。ほかのプレイヤーのメカや世界にて遊んでみることも可能となっており、思いがけない知識やアイデアを発見するきっかけにもなりうるだろう。そうしたメカ作成の自由度やシェア機能などが高く評価され、本稿執筆時点では、Steamユーザーレビューで442件中88%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。


本作は2022年9月に発表され、2023年3月に早期アクセス配信を開始していた。早期アクセス配信開始以降は、複数回のアップデートを経て、不具合修正などを実施。車両のキャノピーなどに利用できるガラス部品(Glass Part)や、複数のチューブ状の部品などといった、新たな部品なども追加されていた。

しかしながら開発元Dry Licoriceは、2023年9月に資金不足を理由に一時開発を中止すると宣言。『Plasma』は2017年より開発を継続し、75万ドル以上を費やしたものの、本作の売上による収益は8万6000ドルにとどまり、差し引き65万ドル(約1億円、現在のレート)以上の損失を抱えていたという。加えて開発を続けていくには毎月1万1000ドル(約173万円)かかるとして、財政的に開発の続行が不可能だと説明されていた。


その後2024年2月には開発を再開。開発再開にあたっては、開発チームも縮小。最大7人と思われる開発体制から、Dry Licoriceの共同創設者であるPatrick Corrieri氏とMarco Bancale氏の2人だけのチームとなり再出発していた。

ただそれも長くは続かず、5月23日にゲームの開発サポートを終了するとの声明が発表された。Patrick氏とMarco氏は声明の中で、『Plasma』の開発にあたってベストを尽くしたものの「商業的なプロジェクトとしては完全に失敗した(Plasma has totally failed as a commercial project)」という現実に直面したとのこと。そして苦渋の決断として、本作の開発中止が決定される運びになったようだ。一方で、本作をより多くの人に楽しんでもらいたい想いもあるそうで、今回定価2300円で販売されていた本作の、無料配信が開始されることとなった。

なお本作を手がけていたPatrick氏およびMarco氏は、本作にてタッグを組む以前はそれぞれ『Poly Bridge』シリーズおよび『Kingdom: Classic』といった高評価作品を手がけていた。実績ある開発者がタッグで設立した新スタジオが手がける作品として『Plasma』は一定の注目を集めていたものの、売上面では苦戦を強いられていた模様。自社パブリッシングで早期アクセス作品の開発費・運営費を回収する難しさも垣間見える。

『Plasma』はPC(Steam)向けに無料配信中。


ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。