戦乱中国・復讐旅ADV『飢えた子羊』、23万本売れていた。盗賊と少女が歩む陰惨な旅路、中国発の新作インディーゲームで“トップの売れ行き”

 

デベロッパーのZerocreationGameは、『飢えた子羊(饿殍:明末千里行)』の売上が23万4000本を記録したことを報告した。さらに同スタジオによると、Steam上で今年発売された中国発のインディー作品のなかで、本作はもっとも大きな売上を見せているという。

『飢えた子羊』は、1632年の明朝末期の中国を舞台とするアドベンチャーゲームだ。当時の中国では国外からの侵略に抗戦していただけでなく、国内でも戦が巻き起こっていたとされる。くわえて災害の影響もあり、飢饉や反乱の絶えない混乱状態にあったという。


主人公となる良は、そんな時代において盗賊として生きていた。そしてあるとき良は、仲間とともに人買いからの依頼を受け、4人の少女を「華州」から「洛陽」まで運ぶことになる。その道中、良は穂という少女から、少女たちの買い手が豚妖という人食いであることを告げられる。穂によると、彼女の姉もまた豚妖に食われてしまったという。良は姉の復讐に力を貸すように頼まれるものの、穂が秘密を隠しているように感じた彼は旅の中で情報を収集し、やがて決断を迫られることになる。

本作は今年4月23日にリリース。Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約1万2400件中96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを得ている。陰鬱な舞台設定で展開される緊張感のあるシナリオの完成度やボリュームの満足感のほか、フローチャートといった、ノベルゲームとしての便利機能が用意されていることなども評価を受けている。また日本語表示に対応しており、翻訳品質の高さについても日本語ユーザーから好評が寄せられている。


そんな本作は好調な売上を見せているようだ。開発元であるZerocreationGame(零创游戏)は 5月22日に、Steamの本作公式ニュースにて売上が23万4000本に到達したことを報告。リリース記念セールの後も7万本の売上を上乗せしたといい、根強い人気で売り上げを伸ばしているようだ。ZerocreationGameによれば、一部プレイヤーが二次創作をおこなっていることが人気の維持に繋がっているという。

さらにZerocreationGameは5月29日にSteamの本作公式ニュースにて、今年Steam向けに発売された中国産のインディーゲームの中で、本作が現状売上トップを飾っていることを報告した。投稿された画像によると、1月発売の“『逆転裁判』風”探偵ゲーム『山河旅探 – Murders on the Yangtze River』や、2月発売のローグライトドリンク屋経営ゲーム『Feed the Cups』よりも高い売り上げを見せているとのこと。ニュースではユーザーへの感謝も綴られている。

ちなみにSteamストアページ内の記載によれば、本作には今年の下半期に日本語吹替が実装予定だという。また本作にはDLCの予定はないものの、続編が計画されていることも伝えられている。新作の題材となるのは明清交替の時代に王秀楚が著した「揚州十日記」とのこと。新たな主人公を迎え、明朝末期を舞台として青年と美女が“人間の本性と動物の本性”を探求する物語が描かれるそうだ。新作については、2025年5月にはデモ版を配信できる見込みとのこと。大ボリュームで想定されており、デモ版が先にリリースされる可能性が高いそうだ。


発売後高い評価と人気を博し、売上が23万本を突破しているという『飢えた子羊』。日本語および英語向けに展開されていることから、グローバルな人気を獲得しているのかもしれない。また『山河旅探 – Murders on the Yangtze River』や『Feed the Cups』といった中国発の新作ゲームがそれぞれ20万本以上を売り上げているとみられる点は興味深い。両作は日本語には対応していないものの英語に対応しており、世界を見据えた展開が売上に繋がっているのだろう。活況を見せる中国内のインディーゲームシーンの、今後の動向も注目される。

『飢えた子羊(饿殍:明末千里行)』はPC(Steam)向けに発売中だ。


なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。